原題:『St. Vincent』
監督:セオドア・メルフィ
脚本:セオドア・メルフィ
撮影:ジョン・リンドレイ
出演:ビル・マーレイ/ジェイデン・リーバーハー/ナオミ・ワッツ/メリッサ・マッカーシー
2014年/アメリカ
子供では見抜けない「聖人」について
主人公のヴィンセント・マッケナが悪ぶる理由は分からないでもない。ベトナム戦争で多大な功績を残し、認知症を患って8年間も施設に入っていた妻のサンディの世話を彼女の最期まで続け、娼婦のダカ・パラモバが妊娠した際も、自分の子供でもないのに産婦人科に付き添っていく。本当は助けを必要としている人を放っておけない性格なのであるが、他人の問題を抱え込まないためにわざと悪ぶって他人が近づいてこないようにしているのである。しかしやはり隣に引っ越してきた母子家庭のブロンスタイン一家を心配せずにはおれず、12歳のオリバーの面倒を見る羽目になるのである。
そんなヴィンセントの「良さ」をオリバーは見逃すことはなく、「身の回りの聖人」という学校の宿題でオリバーはヴィンセントの半生を調べて表彰するのである。本音としてはヴィンセントはありがた迷惑なのであろうが、良い人であるヴィンセントは大人しく表彰されるのである。
そのようなヴィンセントの本心や、オリバーにとって本当の「聖人」は血縁が無いにも関わらず何も言わずに育てている彼の母親のマギーと父親であることをオリバーが知るにはもう少し大人になる必要がある。