原題:『Olympus Has Fallen』
監督:アントワーン・フークア
脚本:クレイトン・ローテンベルガー/カトリン・ベネディクト
撮影:コンラッド・W・ホール
出演:ジェラルド・バトラー/アーロン・エッカート/モーガン・フリーマン/リック・ユーン
2013年/アメリカ
敵対国としての北朝鮮の「使い勝手」
ストーリーの軸となるエピソードはメインとして描かれる事件の18ヶ月前までさかのぼる。かつてシークレット・サービスの主任としてアメリカ大統領一家を護衛しており、ベンジャミン・アッシャー大統領とも昵懇の間柄であったマイク・バニングは、クリスマスイヴにキャンプデーヴィッドから一家でキャンペーンパーティーに参加するために、吹雪の中を走行中に不慮の事故が起こり、大統領の救出は出来たが、大統領の横に座っていたマーガレット大統領夫人を救うことが出来ず、シークレット・サービスの任を解かれて、今は財務省で働いている。
翌年の7月5日のリー韓国首相の来訪時、ワシントンD.C.上空に現れた謎の輸送機をきっかけに、韓国首相の警備員を装いホワイトハウスへの侵入に成功していたカンたち北朝鮮の武装集団がアッシャー大統領たちを人質にテロを企て、夫人を助けられなかったという悔恨の念がバニングをホワイトハウスへと突き動かすことになるのである。
最近何かと敵としてフューチャーされる北朝鮮ではあるが、本作においてその位置づけが絶妙と思われる点は、例えば、ホワイトハウスに侵入してきたバニングに関して、すぐさまに彼のデータを収集し、妻で看護婦のリーア・バニングの存在を突き止め、名前を出してバニングを脅そうとするのではあるが、実際にリーアを捕らえようとまではしない。これがイスラム武装勢力であるならば、さらなる動員によってリーアを捕らえるはずで、自爆テロまではしないという北朝鮮の‘体質’同様にその武力の規模が知れているためにアクション映画のストーリー内において‘使い勝手’が良いのであるが、それが本作を佳作にしているかどうかはまた別の問題である。