笑福亭仁鶴さんが亡くなられたと新聞に出ている。
ボンカレーのコマーシャルの「3分間まつのだぞ」「じっと我慢の子であった」という子連れ狼をもじったセリフが流行したと新聞に出ている。
僕もあのころはボンカレーのコマーシャルよく見ていた。
仁鶴さんがコマーシャルで喋っていたもっと長いセリフも僕、暗記している。
こんなセリフだ
「ボンカレー湯の中チャポーン
どこ行くのやー
ちょっとそこまで」
このセリフ仁鶴さんが透明のお鍋の中にボンカレーを本当にチャポンと入れながら話していた。
だから、「ちょっとそこまで」というのはお鍋の底とちょっとそこまでの そこ の掛詞であることはテレビの映像を見ていれば子供でもわかった。
この仁鶴さんのセリフがとても僕の印象に残っていた。
小学校の休み時間に、その「ボンカレー湯の中チャポーン どこ行くのや? ちょっとそこまで」を実際に僕がしゃべってみたら、周りにいたみんなに意外なほど受けて自分でもびっくりしたことを覚えている。
そして、関西に来て、漫才などを心斎橋と難波の中間くらいのところにあった角座などで見るようになって、このセリフを使ったギャグがよく出てくることも知った。
典型的なのはこんな感じ
「関西人の会話
どこ行くのや
ちょっとそこまで
へえ、そないでっか、、、
何言うとるか、結局わかれへん
そこではどこかわかれへんのに
そないでっかと返事しとる」と。
こんな漫才でのやりとりを聞くたびに子供の頃に覚えた仁鶴さんのセリフを思い出していた。
寅さんのセリフ
例えば
「四角四面は豆腐屋の娘。色は白いが水臭い」なども僕は暗記している。
仁鶴さんのセリフや寅さんのセリフを僕が暗記してしまうのは、僕の記憶力もまあ、平均よりはいいほうだと思うのだけれど、それよりも、セリフを語るときの仁鶴さんや渥美清さんの節回しが巧みだから、記憶に残るというよりは耳に残るのだと思う。
同じことを語っても、あの人の節回しだからこそ面白い、そんな役者さん少なくなったなと思う。
そして節回しが印象深く聞こえる前提として
四角四面は豆腐屋の娘 にしても ボンカレー湯の中チャポーン にしても多少の字余りはあるものの基本は五七調あるいは七五調であることも忘れてはいけないと思う。
五七調や 七五調の言葉も最近減ったなと思う。
「土曜の夜は立ち稽古 桑田佳祐のやさしい夜遊び」みたいなちょっと微妙に字余りの七五調は最近聞いたような気がするけれど、、、。
そういえば桑田佳祐さんも寅さん好きだと言ってたっけ。
仁鶴さんの「3分間待つのだぞ」「じっと我慢の子であった」ももちろん僕の記憶に定着していた。
そして、それが僕の潜在意識にあったのだと思う
会社のお昼休みにボンカレーではなくカップヌードルを買ってきて、お湯を入れてタイマーを三分間かけて、カップヌードルのカップの前でじっと背筋を伸ばして無言で座っていたら、それを見ていたM係長が思わず吹き出してしまったことがある。「フヒョヒョヒョヒョ」という感じで。
きっとM係長の心のどこかにも3分間じっと我慢というのがあって、文字通り僕がそれを実践したからあのときM係長はおもわず吹き出したのだと思う。
なつかしいな。
本当に仁鶴さんのおかげで僕も人生の中で何回かひとに受けたことがあって、感謝したい。
心よりご冥福をお祈りいたします。
いちにち いちにち 無事で健康に過ごせますように、それも願っていきたい。