武漢にあるウィルス研究所の研究員である石正麗(Shi Zhengli)が家族と共に、フランスのアメリカ大使館に亡命していたことがわかった。
研究員は1000近くもの極秘書類を持って保護を要請。
これ本当だとしたら、中国がこんな重要人物を逃すか?
新型コロナウィルスの発症が研究所だと判明したら、中国はヤバイだろうに。
石正麗は1990年から武漢ウィルス研究所で
研究実習員助手として働いており、
2000年以降は研究員に就任している。
新型ウイルス最初の感染者といわれる、
武漢病毒研究所の黄燕珍さんの行方も不明だと。。
2年前、研究所に対し米大使館員が警告していた
《コウモリのコロナウイルスを研究する武漢研究所 「安全性を懸念」国務省が外交電で警告》
そんな見出しの記事が米国の有力紙ワシントン・ポストに載ったのは4月14日のことだ。
米国発の国際ニュースチャンネルCNNなどは、同紙の記事を引用しながら、トランプ大統領が新型コロナウイルス拡大を防げなかった責任論を避けるため、荒唐無稽な陰謀論を主張し始めた、というようなトーンで報道。日本メディアもその見方に相次いで追随したが、それは、読み込み不足だろう。
<figure class="image-area figure-none"> <figcaption>4月17日撮影 武漢ウイルス研究所 ©時事通信社</figcaption> </figure>ワシントン・ポストの記事の内容はこうだ。
新型コロナウイルスによるパンデミック発生の2年前、米大使館員が中国中部・湖北省武漢市にある中国科学院武漢病毒研究所を何回も訪れ、2回にわたって不適切な安全管理について警告を発した。BSL-4(生物学的安全レベル4)に準拠した中国最先端の研究所はコウモリのコロナウイルスに関する危険な研究をしていた。
コウモリのウイルスは人間にも感染する可能性がある構造をしており、SARS(重症急性呼吸器症候群)のようなパンデミックを新たに起こす可能性がある、とホワイトハウスへの報告は警告していた。
<figure class="image-area figure-none"> <figcaption>武漢の研究所でコウモリのコロナウイルスを研究していた ©AFLO</figcaption> </figure>しかも、研究所の所員らはこの大使館の専門家に対し、「研究所の安全性を保つための技術者や査察官が不足している」と訴えたという。記事はウイルスが「開発された」という証拠はなく、動物に由来することに多くの科学者が同意していることにも触れながら、動物由来のウイルスが研究所から漏出した可能性を否定するものではないことも研究者の発言を引用しながら伝えている。
数カ月前に囁かれた陰謀論と決定的に異なる点
研究所はSARSがコウモリに由来するウイルスであることをいち早く遺伝子解析などで明らかにした後も中国内の洞窟を回ってコウモリを探し、ウイルスを採取しては研究を続けてきた。今年に入り、新型コロナウイルスの遺伝子がコウモリから採取された別のコロナウイルスの遺伝子に酷似していると指摘したのもこの研究所だ。そんな研究所などがウイルスの発生源ではないか、と疑う記事なのだ。
では、なぜ、CNNなどが陰謀論で片付けようとするのか。それは数カ月前に似たような話が陰謀論として片付けられたことに由来するのだろう。2020年の1~2月、まだ新型コロナウイルスの感染者の大半が中国にとどまっていたころ、ウイルスが「この研究所で作られた中国の兵器だった」という言説がネット上で広がったことがある。
<figure class="image-area figure-none"> <figcaption>中国で新型ウイルス肺炎拡大 感染源と疑われていた武漢の海鮮市場 ©AFLO</figcaption> </figure>同じ研究所に同じような説では陰謀論と混同されるのも仕方ないかもしれないが、この従前の陰謀論と、トランプ政権が調査するとしている中国研究所起源説とには決定的な違いがある。
陰謀論ではウイルスは「兵器」として「開発」された、としているが、新たにトランプ政権が主張し始めたのは「研究」中に「ミスで漏洩」した、可能性だ。
陰謀論が提起する説に従えば、味方にも敵にも平等に移るウイルスというのは、(ワクチンが開発されていなければ)兵器としてはいかにも使い勝手が悪い。そこが陰謀論たるゆえんなのだが、研究中のミスとなれば、話は違ってくる。
<figure class="image-area figure-none"> <figcaption></figcaption> </figure>「ウイルス漏出の可能性」について言及した「幻の論文」
この「研究中ミス説」を2月16日の時点で披露した米上院議員は「良質な科学と悪質な安全性」が今回のパンデミックを招いた、と表現する。
武漢の研究所でコウモリのコロナウイルスを研究していたことは、当の研究所自体が認める事実だ。問題は、そのウイルスが研究所の外に漏出したのかどうか。
実は、この問いに答えを出そうと試みた「幻の論文」がある。中国在住の研究者が、査読前の論文などを研究者が共有するサイトに掲載したのだが、間もなく執筆者が撤回してしまったいわくつきの論文で、ワシントン・ポストも別の記事で好意的に紹介している。
その論文の内容は衝撃的
「グレー」だと明言できるだけの状況証拠は揃っている
《我々は(2つの)研究所の歴史を簡単に振り返り、この(新型)コロナウイルスがおそらく研究所から漏れ出たであろうことを提起した》
そんな導入から始まる論文は、まず、当初広まっていた武漢市の海鮮市場が発生源とする説について、この海鮮市場で感染が広がる前に感染者が確認されていることに触れ、否定する。さらに、話題になっている武漢の病毒研究所のほかに、武漢市にもう一つある研究所の名前を挙げる。それが「武漢疾病予防管理センター」だ。
<figure class="image-area figure-none"> <figcaption>武漢 ©iStock.com</figcaption> </figure>実はこの第2の研究所はコウモリのコロナウイルスを研究している点では武漢ウイルス研究所と同じだが、安全性のレベルが2段階低い。しかも、当初発生源とされた海鮮市場からわずか280メートルしか離れていないのだ。
それに加え、この研究所の研究員は採取してきたコウモリにかまれたり、尿をかけられたりしながらも研究を継続していることが、武勇伝のように2017年と2019年に現地報道で報じられているという。研究者は、こうした事故が起こるたびに感染を懸念して自主的に2週間隔離措置を取っていたという。
<figure class="image-area figure-none"> <figcaption>武漢の研究所でコウモリのコロナウイルスを研究していた ©iStock.com</figcaption> </figure>決定的な証拠はまだないが、「クロ」とはいえないまでも、グレーであるとは明言できるだけの状況証拠は揃っているといえる。
陰謀論が飛び交う段階を超え、真実は明らかになりつつある
こうした言説が流れる中、ウイルスの発生源に関しては固く口を閉ざしてきた中国も反撃を試みてはいる。最初の反撃は中国外務省報道官が明らかにした「ウイルスは米軍の研究所から漏れたという説もある」というものだ。
実は、これは冷戦時代のソ連のやり口の真似だ。1980年代にエイズを引き起こすHIVウイルスが確認されたとき、ソ連は米軍の細菌戦研究所から漏れたという説を広めた。嘘だったことが確定しているが、実際に米軍研究所がウイルスの不適切な取り扱いで処分されたこともあるから、陰謀論としての魅力は色あせていないということなのだろう。
<figure class="image-area figure-none"> <figcaption>成都のファーマーズマーケット。多くの住民があらゆる種類の野菜や食品を購入するために出掛ける ©iStock.com</figcaption> </figure>
だが、そんな手垢のついた陰謀論を返してみても、これだけ証拠が集まってきた今では、信じることは難しい。発生源を突き止める作業は陰謀論が飛び交う段階を超え、天は中国側に不都合な方の説を真実として指し示しているようにみえる。
現時点で、ウイルスの封じ込めに関しては統制主義の中国の方が欧米の自由主義国群に勝っているようにみえる。だが、陰謀論の花の下には、これまでみてきたように真実の根っ子が隠されている。その真実が根こそぎ白日の下にさらされたとき、それは自由主義が統制主義に反撃の狼煙を上げるときなのかもしれない。
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