「蟹工船」日本丸から、21世紀の小林多喜二への手紙。

小林多喜二を通じて、現代の反貧困と反戦の表象を考えるブログ。命日の2月20日前後には、秋田、小樽、中野、大阪などで集う。

蔵原惟人評論集 目次

2014-11-02 21:30:44 | 多喜二と同時代を生きた人々

第1巻 芸術論 1 1966.10.20
 
まえがき
現代日本文学と無産階級‥‥‥‥‥‥‥‥ 3
政党と文学―新居格氏の無政府主義文芸論を駁す―‥‥23
文芸論上のアナーキズムとマルキシズム‥31
強権の否定か ブルジョアへの降伏か―望月百合子氏の「啓蒙」に答う―‥‥40
町人趣味の芸術観を排す―村松正俊氏の『都会趣味の芸術に就て』の批評―‥‥45
プロレタリア文学と「目的意識」‥‥‥‥53
いわゆるプロレタリア文芸運動の「混乱」について‥‥55
二つの演出―オニールの『毛猿』―‥‥‥60
マルクス主義文芸批評の基準‥‥‥‥‥‥67
林房雄創作集『牢獄の五月祭』‥‥‥‥‥78
無産階級芸術運動の新段階―芸術の大衆化と全左翼芸術家の統一戦線へ―‥‥82
一九二八年一月のプロレタリア文学‥‥‥96
左翼文芸家の総連合へ‥‥‥‥‥‥‥‥ 114
左翼文芸家総連合―主唱者の一人として―‥‥ 118
日本左翼文芸家総連合成る‥‥‥‥‥‥ 120
生活組織としての芸術と無産階級‥‥‥ 123
プロレタリア・レアリズムへの道‥‥‥ 135
片上伸の遺著『露西亜文学研究』を読む‥‥ 148
最近のプロレタリア文学界‥‥‥‥‥‥ 155
芸術運動当面の緊急問題‥‥‥‥‥‥‥ 164
コーガン教授の『プロレタリア文学論』‥‥ 177
芸術運動における「左翼」清算主義―再びプロレタリア芸術運動に対する中野・鹿地両君の所論について―‥‥ 181
『一九二八年三月十五日』について‥‥ 206
理論的な三、四の問題‥‥‥‥‥‥‥‥ 207
プロレタリア文芸の画期的作品―小林多喜二の『一九二八年三月十五日』―‥‥ 217
最近のプロレタリア文学と新作家‥‥‥ 220
現代日本プロレタリア美術―プロレタリア美術大展覧会を見る―‥‥ 229
芸術と「自由」‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 241
プロレタリア芸術の内容と形式‥‥‥‥ 246
明日の文壇を観る‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 263
一九二九年四月のプロレタリア文学‥‥ 270
作品と批評‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 274
プロレタリア演劇へ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 286
再びプロレタリア・レアリズムについて‥‥ 290
マルクス主義文芸批評の旗の下に―芸術作品の評価について―‥‥ 300
ソビエト連邦における日本文学‥‥‥‥ 311
現代文芸批評家の態度‥‥‥‥‥‥‥‥ 317
プロレタリア文学のために‥‥‥‥‥‥ 320
芸術学者フリーチェの死‥‥‥‥‥‥‥ 324
新芸術形式の探求へ―プロレタリア芸術当面の問題について―‥‥ 329
プロレタリア文芸批評界の展望‥‥‥‥ 358
注目される四作品―文芸的感想―‥‥‥ 376
*解説(水野明善)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 387
*凡例と解題‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 438
 

第2巻 芸術論 2 1968.1.25
 
一九二九年の日本文学‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3
芸術・文学・言語‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13
帝国主義と芸術‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥20
「ナップ」芸術家の新しい任務―共産主義芸術の確立へ―‥‥59
批評家当面の任務‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥69
現代文学に関する覚え書き‥‥‥‥‥‥‥71
芸術社会学の方法論―フリーチェの『芸術社会学』を読む―‥‥85
芸術大衆化の問題‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥97
プロレタリア芸術運動の組織問題―工場・農村を基礎としてその再組織の必要―‥ 109
農民文学の正しき理解のために‥‥‥‥ 137
芸術運動の組織問題再論‥‥‥‥‥‥‥ 162
芸術的方法についての感想(前編)‥‥ 180
芸術的方法についての感想(後編)‥‥ 220
芸術理論におけるレーニン主義のための闘争―忽卒な覚え書き―‥‥ 262
芸術運動における組織問題のより高い発展のために―同志勝本清一郎の所論を駁しつつ―‥‥ 272
新ロシアの芸術・文化研究‥‥‥ 301
ロシア象徴派の成立‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 301
一九二五年度モスクワ劇壇の印象‥‥‥ 324
詩人セルゲイ・エセーニンの死‥‥‥‥ 336
一九二五―二六年度モスクワ劇壇の総算‥‥ 356
最近のロシア文学‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 370
現代ロシアの批評文学‥‥‥‥‥‥‥‥ 398
新ロシア作家の印象‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 411
最近のソビエト映画界‥‥‥‥‥‥‥‥ 430
ファジェーエフの小説『壊滅』について‥‥ 440
ソビエト文壇の近況‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 451
近代象徴主義小説‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 468
社会的文芸批評確立の時代‥‥‥‥‥‥ 496
*解説(水野明善)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 525
*凡例と解題(桜井純一)‥‥‥‥‥‥ 553
 

第3巻 芸術論 3 1967.6.30
 
新しい文学への出発‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3
新日本文学の社会的基礎‥‥‥‥‥‥‥‥ 8
ジダーノフの文学批判について‥‥‥‥‥17
一九四七年の文学によせて‥‥‥‥‥‥‥22
崋山青年期の師友‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥25
作者と読者‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥43
文学と社会‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥50
小林多喜二の現代的意義―一九四八年三月七日小林多喜二記念祭講演―‥‥56
近代主義とその克服‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥68
ベリンスキーから何を学ぶか‥‥‥‥‥‥90
文学と世界観‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 102
黒島伝治の反戦文学‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 126
戦争文学の新しい段階‥‥‥‥‥‥‥‥ 136
文学運動の新しい展開‥‥‥‥‥‥‥‥ 143
プーシキンと日本文学―モスクワにおけるプーシキン生誕百五十年祭への報告―‥ 146
民主主義文学の前進のために―芸術的方法の問題を中心として―‥‥ 151
ロシア革命と文学‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 184
宮本百合子の文学―『二つの庭』『道標』を中心として―‥‥ 210
『独房』と『党生活者』について‥‥‥ 243
『海に生くる人々』について‥‥‥‥‥ 268
『一九二八年三月十五日』と『蟹工船』について‥‥ 285
『鉄の流れ』について‥‥‥‥‥‥‥‥ 305
今日における言語の問題‥‥‥‥‥‥‥ 313
宮本百合子の生涯と業績‥‥‥‥‥‥‥ 332
資本主義的創造と社会主義的創造‥‥‥ 346
社会主義リアリズムの開花―ゴーリキーとマヤコフスキー―‥‥ 358
小林多喜二と宮本百合子‥‥‥‥‥‥‥ 400
『ジプシー』と『青銅の騎手』について‥‥ 425
『私の大学』『番人』『初恋について』―ゴーリキーの三作品―‥‥ 444
『道標』の問題をめぐって‥‥‥‥‥‥ 456
*解説(水野明善)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 475
*凡例と解題(桜井純一)‥‥‥‥‥‥ 508
 

第4巻 芸術論 4 1967.10.15
 
近代日本の芸術・文化政策‥‥‥‥‥‥‥ 3
『静かなるドン』について‥‥‥‥‥‥‥28
芸術における階級的なものと国民的なもの―統一戦線の問題について―‥‥34
『貧しき人々の群』その他について‥‥‥91
『若き親衛隊』について‥‥‥‥‥‥‥ 102
渡辺崋山のこと‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 104
『母』について‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 109
宮本百合子の『ソヴェト紀行』‥‥‥‥ 135
『戦列への道』その他について‥‥‥‥ 141
『アルパートフの青年時代』について‥ 148
渡辺崋山の思想と芸術について―その生誕百六十年に―‥‥ 153
マルクスと芸術‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 177
スターリンと文学‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 191
国民文学の問題によせて‥‥‥‥‥‥‥ 208
『伸子』について‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 235
文学と思想‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 252
私小説私観‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 291
プロレタリア文学運動の評価について(1)‥‥ 298
プロレタリア文学運動の評価について(2)―野間宏君の『二十世紀文学と民主主義文学』を読む―‥‥ 319
ゴーリキーと児童文学―ゴーリキー著『児童文学と教育』について―‥‥ 354
レーニンと文学‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 371
プロレタリア文学運動‥‥‥‥‥‥‥‥ 383
*解説(水野明善)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 425
*凡例と解題(桜井純一)‥‥‥‥‥‥ 463
 

第5巻 芸術論 5 芸術書簡 1970.7.5
 
国民文学論をめぐる二、三の問題―批判者への答えとして―‥‥ 3
ナップとその時代‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥24
宮本百合子の随想について‥‥‥‥‥‥‥65
文学批評当面の諸問題―新日本文学会第七回大会報告―‥‥71
新日本文学会第七回大会を終わって‥‥‥86
偉大な政治家と芸術家の友情―『レーニンのゴーリキーへの手紙』―‥‥92
宮本百合子の先見‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥97
文学に国民性と党派性を―ベリンスキー生誕百五十年によせて その偉大な業績をたたえる―‥‥ 102
文学運動と反共思想‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 106
一部文学者党員の「声明」について‥‥ 128
政治と文学の問題―「文学独自の目」ということについて―‥‥ 141
プロレタリア芸術運動の評価をめぐって―ナップ成立三十五周年に―‥‥ 158
新日本文学会第十一回大会に参加して‥ 173
日本の新劇運動が当面する課題‥‥‥‥ 192
人民の立場にたつ民主主義文学とは何か―日本民主主義文学同盟の創立によせて―‥‥ 201
新しい文学と文学運動について‥‥‥‥ 217
創作方法、文学大衆化、批評の問題‥‥ 232
宮本百合子の「意見書」について‥‥‥ 246
ナップ結成前後‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 252
一九七〇年をまえにした民主的文化運動の課題‥‥ 269
文学者の自由ということ‥‥‥‥‥‥‥ 282
芸術書簡‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 289
1932年7月―1932年12月 ‥‥‥‥‥‥‥ 291
1933年1月―1933年12月 ‥‥‥‥‥‥‥ 392
1934年1月―1935年4月‥‥‥‥‥‥‥‥ 457
1935年5月―1940年8月‥‥‥‥‥‥‥‥ 508
*解説(佐藤静夫)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 579
*凡例と解題(桜井純一)‥‥‥‥‥‥ 605
 

第6巻 文化論 1 1969.4.30
 
プロレタリアートと文化の問題‥‥‥‥‥ 3
文化運動の展望‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥76
民主主義文化革命の諸問題‥‥‥‥‥‥‥85
東洋文化と西洋文化‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥95
政治と文化‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 117
民主主義文化戦線の展開‥‥‥‥‥‥‥ 127
官僚的文化統制の再現‥‥‥‥‥‥‥‥ 136
文化の退廃について‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 140
新しい文化運動は何をめざすか‥‥‥‥ 150
文化革命と知識層の任務‥‥‥‥‥‥‥ 157
各党の文化政策を評す‥‥‥‥‥‥‥‥ 179
当面せる党の文化スローガン‥‥‥‥‥ 183
日本における文化革命の基本的任務‥‥ 188
文化問題に関する報告‥‥‥‥‥‥‥‥ 236
文化運動の新しい展開のために‥‥‥‥ 259
文化運動‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 264
イデオロギー戦線と芸術文化‥‥‥‥‥ 317
全国党員芸術家会議によせて‥‥‥‥‥ 335
国民文化と国際文化‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 338
文化運動と知識人の問題‥‥‥‥‥‥‥ 355
正しい文化政策の樹立のために‥‥‥‥ 362
ソ同盟共産党第二十回大会と文化問題‥ 370
革命と文化‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 391
ロシア革命と文化‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 418
ハンガリー問題について‥‥‥‥‥‥‥ 422
共産主義者のモラルについて‥‥‥‥‥ 426
共産主義的人間論―「スターリン批判」をめぐる問題―‥‥ 437
共産主義者のモラルの問題‥‥‥‥‥‥ 463
文化政策の基礎的な若干の問題について‥‥ 471
社会主義と自由‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 498
*付録1 日本共産党の文化政策―一九四六年二月、日本共産党第五回大会決定―‥ 511
*付録2 文化活動の基本的方向と当面の任務―一九四七年十二月、日本共産党第六回大会決定―‥‥ 525
*付録3 日本文化の擁護と発展のために―日本共産党の文化政策案、一九五七年一月―‥‥ 540
*解説(水野明善)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 595
*凡例と解題(桜井純一)‥‥‥‥‥‥ 611
 

第7巻 文化論 2 1969.11.30
 
思想闘争における教条主義と修正主義‥‥ 3
思想と理論の戦線を強化しよう‥‥‥‥‥27
当面する思想と文化のたたかい―文化戦線に党を建設しよう―‥‥39
知識人の思想と行動‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥69
日米安保条約に反対する日本文化人のたたかい‥‥85
共産党と知識人‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 112
レーニン主義とトロツキズム‥‥‥‥‥ 121
安保闘争と知識人の思想‥‥‥‥‥‥‥ 156
一九六一年の文化的課題‥‥‥‥‥‥‥ 178
民主主義と「学問・芸術の自由」‥‥‥ 185
民族の主体性と民族の文化‥‥‥‥‥‥ 206
進歩的文化運動の現状と展望‥‥‥‥‥ 222
大衆のあいだの文化活動について‥‥‥ 230
日本の文化遺産の危機―民族文化財の保護について―‥‥ 245
文化と思想のたたかい―日本共産党創立四十周年にあたって―‥‥ 253
日本共産党と文化運動―党創立四十周年によせて―‥‥ 257
革命なき「革新」文化運動理論―日本社会党の文化政策への「ビジョン」、久保田忠夫氏の二つの論文について―‥‥ 271
大衆の糧になる文化を―新しい年によせる期待―‥‥ 300
ライシャワー氏の哲学とアメリカの「平和戦略」‥‥ 305
民族の生活と密着した文化を育てよう‥ 356
国際共産主義運動と文化のたたかい―一九六五年への覚え書き―‥‥ 362
文化闘争の正しい理解と発展のために‥ 397
学業と闘争を結びつけよう‥‥‥‥‥‥ 404
現在の文化状況と日本共産党の文化政策‥‥ 416
さらにいっそうの高揚にむかって―新しい年の進歩的、革命的文化運動に期待する―‥‥ 455
芸術・文化運動における当面する諸問題‥‥ 460
文化の分野における二つの戦線での闘争‥‥ 479
文化革命とわが党の立場‥‥‥‥‥‥‥ 487
敗戦後における党の文化政策をめぐるたたかい‥‥ 496
近代日本百年とその文化‥‥‥‥‥‥‥ 536
一九七〇年をめざして前進しよう―民主的文化運動の高まりのなかで―‥‥ 542
*付録1 安保反対闘争と知識人、文化人の活動について―全国宣伝教育、文化部長会議における報告と討論の総括―‥‥ 547
*付録2 大衆的文化活動の前進のために‥‥ 573
*解説(佐藤静夫)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 579
*凡例と解題、本評論集収録外のおもな論文の一覧(山田新市)‥‥ 592
 

第8巻 文化論 3 1979.9.5
 
民族的民主的文化の発展のために‥‥‥‥ 3
日本文化はいかにあるべきか―新しい人民的文化の建設―‥‥24
日本共産党の文化政策について‥‥‥‥‥58
一九七〇年にむかう文化運動の課題‥‥‥68
『古典文学』をどう学ぶか‥‥‥‥‥‥‥83
批評の問題をめぐって‥‥‥‥‥‥‥‥‥96
知識人、文化人の活動のひろがりを‥‥ 104
民主主義と文化の問題について‥‥‥‥ 106
生活と文学‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 112
文化革命と日本の文化‥‥‥‥‥‥‥‥ 137
現代文化の諸問題‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 160
「ナップ」から「コップ」への文化運動の組織的展開―「新教」創立・「教労」結成四十周年記念夏季集会での記念講演―‥ 197
日本共産党と文化政策‥‥‥‥‥‥‥‥ 230
日本革命の展望と文化問題‥‥‥‥‥‥ 239
日本文化と共産党‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 262
文化運動の歴史と党の文化政策‥‥‥‥ 267
民族の伝統と民族の文化‥‥‥‥‥‥‥ 295
日本文化の未来と共産党‥‥‥‥‥‥‥ 333
文化運動の新しい課題と歴史的教訓‥‥ 356
大衆的文化運動について―全活会議文化分科会での開会、閉会のあいさつ―‥‥ 367
批評活動の今日的課題―党員批評家会議でのあいさつ―‥‥ 376
七〇年代の後半期をむかえる文化活動の課題―質問に答えて―‥‥ 390
*付録 戦後の文化政策をめぐる党指導上の問題について―文化分野での「五〇年問題」の総括―‥‥ 399
*解説(佐藤静夫)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 477
*凡例と解題(小林茂夫)‥‥‥‥‥‥ 487
 

第9巻 思想論 1979.10.30
 
「平和の論理」と「革命の論理」‥‥‥‥ 3
ベトナム人民の闘い‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥26
読書のすすめ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥35
民族と人種の問題‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥40
プロレタリアート独裁と民主主義‥‥‥‥45
大学教育と「わだつみ像」の破壊について‥‥55
よみがえれ「わだつみの像」‥‥‥‥‥‥64
不屈の革命的伝統を受けついでさらに前進しよう―党創立四七周年記念講演―‥‥67
現代の課題とレーニン主義―『レーニン十巻選集』発刊にあたって―‥‥93
あるべき科学と現実の科学―「自然科学の階級性についてのシンポジウム」での発言―‥‥99
一九七〇年代のはじめに―その現実と展望―‥‥ 108
レーニンをいかに学ぶか‥‥‥‥‥‥‥ 113
レーニンの思想と現代―レーニン生誕百年記念講演―‥‥ 117
現代とレーニン‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 141
レーニンからなにを学ぶか‥‥‥‥‥‥ 165
レーニン―その人と生活について‥‥‥ 191
政治と文化のあいだ―公害の問題によせて―‥‥ 227
民主主義の思想と現代‥‥‥‥‥‥‥‥ 231
読書と書評について―「読書の友」終刊号によせて―‥‥ 240
「プロレタリア・ディクタツーラ」の訳語についての覚え書‥‥ 245
「プロレタリア・ディクタツーラ」の訳語問題とそれにたいする若干の反響について‥‥ 250
共産主義と思想表現の自由‥‥‥‥‥‥ 258
行列毛虫‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 293
批判は公正に明快に―「連合赤軍」にかんする松田道雄氏の文章について―‥‥ 303
文明と人間‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 315
「公害の公平なる分配」―田中義一と田中角栄―‥‥ 323
自然との和解‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 328
現代社会と知識人‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 339
反共宣伝と知識人‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 350
共産主義思想の源流―古代中国の平等思想―‥‥ 358
思想・文化の分野での闘争の新しい課題―日本共産党第十二回大会での発言―‥‥ 393
反共主義とのたたかいと日本の未来―質問に答える―‥‥ 398
野呂栄太郎の研究態度によせて‥‥‥‥ 423
ソルジェニツィン問題をめぐって―「三百代言批判」の批判―‥‥ 429
レーニンの人柄‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 435
古代ギリシアの民主主義と「共産主義」―共産主義思想の源流 その2― ‥‥ 440
イデオロギーの併存について‥‥‥‥‥ 472
新しい時代と青年の読書―質問に答える―‥‥ 494
社会科学研究者の現代的課題‥‥‥‥‥ 500
暗黒政治の復活を許すな―治安維持法、特高警察の暴虐を告発する集会でのあいさつ―‥‥ 504
自由と民主主義の旗のもとに‥‥‥‥‥ 509
*解説(日隈威徳)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 515
*凡例と解題(小林茂夫)‥‥‥‥‥‥ 527
 

第10巻 宗教論 対話編 1979.12.15
 
宗教論
共産主義の歴史と宗教‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3
キリスト者(カトリック)との対話田中英吉〔対談者〕‥‥22
宗教についての日本共産党の立場―「宗教と共産主義についての対話」での発言―‥36
宗教をどう見るか―京都における宗教者との懇談会での発言―‥‥52
共産主義者と宗教者の相互理解と相互協力の思想的意味―池田氏の講演にもふれて―‥‥96
宗教にかんする二、三の問題‥‥‥‥‥ 102
宗教について語る‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 124
浅野順一氏との対談‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 141
宗教の起原について‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 154
対話編
「明治百年」と日本近代文学壷井繁治,小原元,佐藤静夫〔対談者〕 ‥‥ 210
政治・文学・文学運動佐藤静夫〔対談者〕‥‥ 249
七〇年・思想と文化の課題古在由重〔対談者〕‥‥ 283
共産党の「路線転換」を問う―第十一回党大会をめぐって―青地晨〔対談者〕‥‥ 314
新しい文学運動の出発霜多正次,窪田精,佐藤静夫〔対談者〕‥‥ 341
「ナップ」結成四十五周年佐藤静夫〔対談者〕‥‥ 382
杉本良吉のこと手塚英孝,松本克平,吉田好尚,村山知義〔対談者〕‥‥ 411
*解説(日隈威徳,佐藤静夫) ‥‥‥‥ 449
*凡例と解題(小林茂夫)‥‥‥‥‥‥ 459
*蔵原惟人著作編年目録榛原憲自〔編〕‥‥ 465


蔵原惟人研究

2014-11-01 15:38:35 | 多喜二と同時代を生きた人々
1 芥川龍之介の文芸の〈内容と形式〉論―「文芸一般論」と「早春」を中心に(韓文) // LeeMin-Hee // 日本学研究
2 〈中絶〉される論争―「愛情の問題」をめぐる林房雄と宮本百合子 // 池田啓悟 // 立命館文学
3 特集 プロレタリア文学とプレカリアート文学のあいだ 運動と理論 // 野崎六助 // 解釈と鑑賞
4 魯迅と蔵原惟人 // 陳朝輝 // 東方学
5 特集 再読プロレタリア文学 魯迅が見た日本プロレタリア文学 // 陳朝輝 // 国文学
6 特集 再読プロレタリア文学 「「政治」と「文学」」を転位(dislocate)する―「芸術的価値論争」の軌跡に見出すもの // 島村輝 // 国文学
7 プロレタリア演劇がみた歌舞伎―その形式の受容を中心に // 正木喜勝 // 演劇学論集
8 古丁における翻訳―その思想的変遷をさぐる // 梅定娥 // 日本研究(国際日本文化研究センター)
9 青春の光芒―異才・高橋貞樹の生涯11 第三章 新しい出会いの時代(その二) // 沖浦和光 // ちくま
10 蔵原惟人のプロレタリア・リアリズムへの道(英文) // マッツ・カールソン // ジャパンレビュー
11 見出された「読者」―昭和初頭の横光利一をめぐって // 掛野剛史 // 都大論究
12 「文芸上の科学的合理主義」としての形式主義文学論―中河与一の〈文学〉と〈科学〉 // 上牧瀬香 // 『文学 物語・消費・大衆』
13 再考・「政治」と「文学」―プロレタリア文学における「芸術的価値」 // 島村輝 // 国語と国文学
14 特集・昭和初年代をよむ プロレタリア文学運動とソヴェットロシア文学理論―中野重治・蔵原惟人・岡沢秀虎に見る一断面 // 竹内栄美子 // 文学
15 蔵原惟人とブローク―大正時代におけるロシア象徴主義受容の一側面 // 杉浦晋 // 明治から大正へ
16 或る朝鮮との出会い(4)―民芸運動の時代 // 伊藤徹 // 京都教育大学紀要(人文・社会)
17 戦後批評と無頼派―「週刊文化タイムズ」を中心に // 島田昭男 // 無頼の文学
18 プロレタリア文学の解体 // 林淑美 // 時代別日本文学史事典現代編
19 漁書余録(50)―プロレタリア演劇の凋落(12) // 松本克平 // 日本古書通信
20 「詩人」蔵原惟人の歩み―同人雑誌「リラ」「ロシヤ文学」から「文芸戦線」に至る // 杉浦晋 // 東京成徳短期大学紀要
21 芸術大衆化のゆくえ(一)―プロレタリア大衆文学、働く読者 // 西沢正樹 // 文芸と批評
22 蔵原惟人論―芸術大衆化論争の前史に関する一考察 // 杉浦晋 // 稿本近代文学
23 蔵原惟人とロシア文学 // 草鹿外吉 // 窓
24 雑誌探索53「リラ」創刊号―蔵原惟人・蔵原伸二郎・浅野晃ら // 紅野敏郎 // 解釈と鑑賞
25 評論の系譜 蔵原惟人(遺稿) // 吉田精一 // 解釈と鑑賞
26 研究動向蔵原惟人 // 林淑美 // 昭和文学研究
27 ソヴェト芸術論と蔵原惟人の役割 // 針生一郎 // 文学
28 文学的イデオロギーとしての前衛の視点とは何か―蔵原惟人「現代日本文学と無産階級」に即して // 佐藤嗣男 // 文学と教育
29 第三次『ロシヤ文学』と蔵原惟人 // 高橋勝之 // 窓
30 蔵原惟人の批評と実踐 // 和泉あき // 解釈と鑑賞
31 多喜二揚棄―蔵原惟人との出会い― // 工藤忠彦 // 奥文論藻
32 蔵原惟人の創作方法論―その理論の付着的増殖性― // 山下嘉男 // 近代文学試論
33 プロレタリア文学運動について // 蔵原惟人 西田勝 // 文学
34 蔵原惟人―二,三の評価のしかたについて― // 小田切進 // 国文学
35 プロレタリア芸術運動理論の動向―「芸術大衆化論争」・「芸術的価値論争」および蔵原惟人の理論構造をめぐって― // 転向文学研究会 // 日本文学誌要
36 プロレタリア文学理論の評価について―野間宏君の「二十世紀文学と民主主義文学」を読む― // 蔵原惟人 // 文学
37 プロレタリア文学運動の再検討 // 蔵原惟人 宮本顕治 小田切秀雄 野間宏 本多秋五 荒正人 佐々木基一 平野謙 司会 // 近代文学
38 私小説私観 // 蔵原惟人 // 文学
39 今日における言語の問題 // 蔵原惟人 // 文学
40 蔵原惟人の論文について // 佐々木基一 // 近代文学
41 蔵原惟人「芸術論」について―プロレタリア芸術理論の確立― // 小田切進 // 文学
42 マルスとミューズ―蔵原惟人著「芸術論」について― // 荒正人 // 近代文学
43 一句を繞る感想―蔵原惟人著「芸術論」について― // 佐々木基一 // 近代文学
44 発育期の記念―蔵原惟人著「芸術論」について― // 本多秋五 // 近代文学
45 文学と現実―蔵原惟人を囲んで― // 蔵原惟人 荒正人 佐々木基一 埴谷雄高 平野謙 本多秋五 司会 // 近代文学

大阪朝日新聞 1932.4.10(昭和7)


大衆の底まで党の精神を浸潤

 

文筆を通じて巧みな宣伝

 

再建共産党の全貌


再建共産党組織の全貌は蔵原一味の取調べによって漸次明かとなった、プロレタリア文化連盟の組織は蔵原が中心で、蔵原は四・一六に続いて五・二二事件に連坐直後ロシヤに逃亡、同年八月モスクワに開催されたコミンテルン大会に出席しその席上で議決された文化運動に対する決議に本づき日本に新運動を展開すべく昨年春帰国し当時の左翼文化団体の機関雑誌「コップ」六月号、八月号に古川荘一郎のペンネームで分散しているプロレタリア文化団体を結合せしめ強力な指導部を設けねばならぬと理論的展開を試み八月号よりかねて親交のあった中野重治、村山知義、小野宮吉、大河内信威らを語らいプロレタリア文化連盟の組織運動にとりかかり同年十一月実質的にこれを結成せしめた
 加盟団体は日本プロレタリア作家同盟、同演劇、同美術家、同映画、同音楽家、同写真家、同プロレタリア科学研究所、新興教育研究所、日本戦闘的無神論着同盟、日本プロエスペランチスト同盟、無産者産児制限同盟、プロレタリア図書館の十二□□
 で事務所を神田区美土代町四の五小川ビル内に設けて活動に入り、書記局は大河内信威、牧島五郎、小野官吉、窪川鶴次郎、大森詮夫(弁護士)、磯野復が担当△出版部は壷井繁治、山内賢吾、戸台俊一、井汲花子が受持ち十二月に非合法に中央協議会を組織した、メンバーは
 作家中野重治、壷井繁治、中条百合子、川口浩、演劇村田知義、土方与志、小野宮吉、(写真)土井茂治、貴志山治、(映画)佐々元十、岩崎昶、(音楽)福田上一、山本正夫、(美術)岡本唐貴、大月源二、(エス)牧島五郎、武藤丸楠、(ブロ科)小川信一、寺島一夫、(産労)風早八十二、(無神)石川湧、佐野袈裟美、永田広志(教育)野田荘吉、新鳥繋、(産児)山本琴子、中根孝助
 でこのうち中野、壷井、村山、小野、小川、寺島、窪川らは検挙されており目下取調べ中であるが共産党員および党のフラクションと見られ、文化連盟はこれらの人物に牛耳られていたもので、福田上一は故福田徳三博士の息、牧島五郎は往年赤化防止団長に射殺された高尾平兵衛の実弟である
 なお文化連盟は中央協議会の下に青年協議会(牧島五郎ら)、農民協議会(黒島伝治ら)婦人協議会(中条百合子ら)、少年協議会(猪野省三ら)などの各専門部協議会を持ち、プロレタリア文化、大衆の友、働く婦人、小さい同志、われらのグラフなどを大衆的宣伝の機関雑誌として発行し更に文学、演劇、映画などの各新聞をもって各サークルを結成せしめ共産党を大衆の底まで浸潤せしめたもので
まだ党は三・一五、四・一六の党の如く強固に組織されなかったが、文化運動の組織網を通じて党結成の猛運動を行っていた、なおプロレタリ文化連盟(コップ)の運動は第三インターナショナルと同様国際的な共産文化運動で、名誉協議員としてはロシヤからゴルキー、クルプスカヤ、ププノフ、ヤロスラウスキー、ドイツからシュンツェンベルグ(ウイットフォーゲル)、イギリスからマイケル・ゴールド、フランスからバルピュス、支那から魯迅、日本から片山潜が推されている(東京電話)

モツブルも検挙 インテリや女性が多い

警視庁特高課では東京日本橋区旅篭町堀越商店員磯貝照(二十七年)ほか数名を数日前から検挙し取調中であるが、同人らは赤色救援会の東京地方中部地区責任者で工場、学校、銀行等の各職場をめざしてモップル運動を指導していたもので
 昨年の革命記念日には突撃隊を組織してアジ・ビラ等散布のため街頭進出を行いその後日銀、三菱、第一徴兵等から続々この一味は検挙されていたがメンバーはインテリ及び若い女性が多く活動にあたっては左翼弁護士団や保釈被告と連絡をちっていたものである(東京電話)
 殊に山田元京大教授の夫人とく子(三十二年)は一旦夫とともに検挙の憂目を見たくらい左翼運動には交渉がある、即ち同女はサウェート友の会書記局記長の肩書を持ち反宗運動の戦線に立って活躍していた、また大河内信威夫人は元帝劇の女優であり、現在河原崎長十郎一派の左翼劇団前進座のスター山岸静江(二十六年)で、時々マイクロフォンの前にも立っている、彼女は大河内の愛妻で夫が検挙されたのに心痛し警視庁特高課の中川警部へしきりに解放方を嘆願し係官をホロリとさせている、小野宮吉の愛妻は人も知る音楽家関鑑子さんである
なお富田方に身を寄せていた蔵原惟人は毎月八十円の生活費を払っていた、検挙された時は睡眠剤をのんで熟睡に入らんとしたところであった、彼女らは彼を先生々々と呼んで仕えていたようだ(東京電話)

 

中条百合子女史も重大関係で検挙

[写真(中条百合子)あり 省略]

プロ文壇の女流作家として重きをなす中条百合子女史も今回の再建共産党事件の重大な関係者として九日午後二時東京市外某署に連行留置され警視庁特高課の中川警部の厳重な取調べをうけている
 百合子さんは昭和五年サウェート・ロシヤより帰ってからナップに加盟し現にプロ作家同盟婦人部長、コップ婦人部長、「働く婦人」編輯長として重要な地歩を占めていた、サウェート・ロシヤ留学当時から同性愛とまでいわれた湯浅芳子さんとの間をこの程清算して作家同盟の理論的指導者である宮本顕治氏と輝けるローマンスをつくって結婚したことも有名である

 

女優、声楽家―赤いタイピスト 党首脳を繞る女性

共産党にはいつも若い女性がつきものだ、今度の再建共産党最高首脳部者としてプロレタリア文化連盟を牛耳っていた党中央委員長蔵原惟人(三十二年)にもうら若い女性が彼の身辺護衛者として活躍していた、その女は蔵原の隠れ家小石川区原町二の四十三号の戸主東京市土木局工手富田潔(二十六年)の妹秋田高女出身富田伊勢(二十二年)である、同女のほかに富田潔の愛人磯崎はな(二十六年)も蔵原らとともに検挙された
 はなは蔵原がプロレタリア科学講演を開催する時聴講者の一人として参加したのが縁で来往し後に富田と内縁関係を結んだ、ロシヤから帰った蔵原は
 彼女らの庇護をうけつつ昨年八月小石川区原町に富田が一戸を構えるや翌九月彼の許に身を寄せ同家をアジトとしてプロ文化連盟の結成を指導した、富田の妹伊勢との恋愛関係はこの時からはじまりここに二人の女性は准党員の立場で彼の身辺防衛とレポの役目をつとめていた
 磯崎はなは小石川湯浅女学校卒業後某タイピスト学校で教育を受けたことがあり、その関係で赤い職業婦人のリーダーとしてタイピスト部長なる肩書を持っている
このほか今回の検挙に引っかかった主要人物大河内信威(三十年)京大元助教授山田勝次郎(三十六年)小野宮吉(三十三年)らをめぐる女性は党とは直接関係なくとも左翼運動には理解を持ち

 

 

大阪朝日新聞 1932.4.9(昭和7)


再建共産党の首脳部検挙さる


 

ロシヤから帰った蔵原らの隠れ家を襲うて

田中清玄一派の更生共産党事件後再建された日本共産党は昨年五月のメーデーカンパニヤ前後運動が具体化し、爾来警視庁当局は必死となって首脳部の追跡を続け、昨年十月中央委員一名、東京地方委員三名の検挙を見たが、首脳部は功に検挙の手を逃れて地下運動を全面的に行っていたがついに元京大教授山田勝次郎夫妻の検挙が口火となり党外廓団体として旧ナップ六団体を合せ包含するプロレタリア文化連盟の幹部十四名の一斉検挙となり更に党中央部に向っての突込んだ特高当局の活動により党の最高首脳部中央委員長富田清こと蔵原惟人(三十一年)のアヂトが判明
勇躍して特高課の三警部は八日午後六時東京小石川区原町一二の隠れ家を襲い同人ほか三名を捕縛し更に同家で押収した文書から同中央委員近藤建一こと尾崎正清(三十年)同中央委員磯村三郎こと磯崎巌夫の両名の隠れ家も同区小日向台町一二八とわかり、直に同七時半同家に踏込みついに捕縛し多数重要文書を押収、大塚署その他に分割留置し厳重取調べる一方他の首脳部ならびに前線に繋がる一味を捜査中である

 

文筆戦線に手を伸ばして運動 国際共産党の支部を確立

今回の党は既往の四・一六事件直後上海を経由しシベリアを通ってモスクワに逃走した幹部蔵原惟人が、コンミンタンの重大使命を帯びて昨年春浦潮を経てひそかに帰朝し、同人が中心となり各文化団体、全協赤色救援会、反帝同盟、共産青年同盟、無新、無青の各班の最高責任者と連絡し、更に獄外被告が合流し国際共産党日本支部を確立し、第二次共産党事件と同じテーゼの下に千葉、埼玉県下などの各所で会合を重ね
 また決定方針によって昨年十一月七日の革命記念日、歳末闘争本年二月の選挙闘争へと運動を拡大展開して来たもので従来と異り概ね補助的機関ながら文筆戦線の流れに強引に党員を作り上げた点に特色があ□□□して特にさる二月の選挙闘争は主に党の直系補助機関ながら共産青年同盟を捨石的に動員し、党の本城へは容易に手の触れないように巧妙に策していたが、却ってこれがため同盟は中央執行委員長以下幹部十七名も検挙され全く潰滅の状態となった
これがため党はこの陣営立直しにあせり出したことがこの検挙を早めることとなったものである(東京電話)

 

文化連盟統一の生みの親蔵原惟人 普選の先駆者蔵原氏長男

[写真(蔵原惟人)あり 省略]

蔵原惟人は普選の先駆者元代議士蔵原惟郭氏の長男で大正十二年外国語学校露文科を卒業、革命後のロシヤへ大正十四年二月出発、昭和二年帰朝してからはもっぱら戦旗社並にプロ科学研究所に立篭り、多数の評論をものし中堅闘志として活動中四・一六事件に連坐し事件直後巧みに再びロシヤに逃走し、文化研究を重ね昨年春帰朝、直ちに現在のプロレタリア文化連盟十三団体を統一した生みの親の役目を演じたもので大河内信威、山田勝次郎などとも非常に親交がある

尾崎正清は熊本県生れで関西大学を中途退学、例の大正十五年の京大事件に連坐し入獄、出獄後は郷里熊本県に合同労働組合を組織し活躍中更に左翼に走り上京無産社新聞を編輯、四・一六事件並に更生共産党事件に連坐したがこれも巧みに逃走、全農にもぐり都落ちして農民組合左翼指導者として活躍中、蔵原と連絡がつき中央委員となったものである

磯崎巌夫は東大文科を中途退学共産青年同盟から上ったものでこれも更生共産党事件に党員として活躍したが、早くも逃走し以来当局で躍起となって捜査中のものであった(東京電話)


『蔵原惟人評論集』全10巻目次

2013-10-28 00:20:29 | 多喜二と同時代を生きた人々
『蔵原惟人評論集』全10巻(新日本出版社、1966.10~1979.12)



第1巻 芸術論 1 1966.10.20
 
まえがき
現代日本文学と無産階級‥‥‥‥‥‥‥‥ 3
政党と文学―新居格氏の無政府主義文芸論を駁す―‥‥23
文芸論上のアナーキズムとマルキシズム‥31
強権の否定か ブルジョアへの降伏か―望月百合子氏の「啓蒙」に答う―‥‥40
町人趣味の芸術観を排す―村松正俊氏の『都会趣味の芸術に就て』の批評―‥‥45
プロレタリア文学と「目的意識」‥‥‥‥53
いわゆるプロレタリア文芸運動の「混乱」について‥‥55
二つの演出―オニールの『毛猿』―‥‥‥60
マルクス主義文芸批評の基準‥‥‥‥‥‥67
林房雄創作集『牢獄の五月祭』‥‥‥‥‥78
無産階級芸術運動の新段階―芸術の大衆化と全左翼芸術家の統一戦線へ―‥‥82
一九二八年一月のプロレタリア文学‥‥‥96
左翼文芸家の総連合へ‥‥‥‥‥‥‥‥ 114
左翼文芸家総連合―主唱者の一人として―‥‥ 118
日本左翼文芸家総連合成る‥‥‥‥‥‥ 120
生活組織としての芸術と無産階級‥‥‥ 123
プロレタリア・レアリズムへの道‥‥‥ 135
片上伸の遺著『露西亜文学研究』を読む‥‥ 148
最近のプロレタリア文学界‥‥‥‥‥‥ 155
芸術運動当面の緊急問題‥‥‥‥‥‥‥ 164
コーガン教授の『プロレタリア文学論』‥‥ 177
芸術運動における「左翼」清算主義―再びプロレタリア芸術運動に対する中野・鹿地両君の所論について―‥‥ 181
『一九二八年三月十五日』について‥‥ 206
理論的な三、四の問題‥‥‥‥‥‥‥‥ 207
プロレタリア文芸の画期的作品―小林多喜二の『一九二八年三月十五日』―‥‥ 217
最近のプロレタリア文学と新作家‥‥‥ 220
現代日本プロレタリア美術―プロレタリア美術大展覧会を見る―‥‥ 229
芸術と「自由」‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 241
プロレタリア芸術の内容と形式‥‥‥‥ 246
明日の文壇を観る‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 263
一九二九年四月のプロレタリア文学‥‥ 270
作品と批評‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 274
プロレタリア演劇へ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 286
再びプロレタリア・レアリズムについて‥‥ 290
マルクス主義文芸批評の旗の下に―芸術作品の評価について―‥‥ 300
ソビエト連邦における日本文学‥‥‥‥ 311
現代文芸批評家の態度‥‥‥‥‥‥‥‥ 317
プロレタリア文学のために‥‥‥‥‥‥ 320
芸術学者フリーチェの死‥‥‥‥‥‥‥ 324
新芸術形式の探求へ―プロレタリア芸術当面の問題について―‥‥ 329
プロレタリア文芸批評界の展望‥‥‥‥ 358
注目される四作品―文芸的感想―‥‥‥ 376
*解説(水野明善)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 387
*凡例と解題‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 438
 

第2巻 芸術論 2 1968.1.25
 
一九二九年の日本文学‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3
芸術・文学・言語‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13
帝国主義と芸術‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥20
「ナップ」芸術家の新しい任務―共産主義芸術の確立へ―‥‥59
批評家当面の任務‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥69
現代文学に関する覚え書き‥‥‥‥‥‥‥71
芸術社会学の方法論―フリーチェの『芸術社会学』を読む―‥‥85
芸術大衆化の問題‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥97
プロレタリア芸術運動の組織問題―工場・農村を基礎としてその再組織の必要―‥ 109
農民文学の正しき理解のために‥‥‥‥ 137
芸術運動の組織問題再論‥‥‥‥‥‥‥ 162
芸術的方法についての感想(前編)‥‥ 180
芸術的方法についての感想(後編)‥‥ 220
芸術理論におけるレーニン主義のための闘争―忽卒な覚え書き―‥‥ 262
芸術運動における組織問題のより高い発展のために―同志勝本清一郎の所論を駁しつつ―‥‥ 272
新ロシアの芸術・文化研究‥‥‥ 301
ロシア象徴派の成立‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 301
一九二五年度モスクワ劇壇の印象‥‥‥ 324
詩人セルゲイ・エセーニンの死‥‥‥‥ 336
一九二五―二六年度モスクワ劇壇の総算‥‥ 356
最近のロシア文学‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 370
現代ロシアの批評文学‥‥‥‥‥‥‥‥ 398
新ロシア作家の印象‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 411
最近のソビエト映画界‥‥‥‥‥‥‥‥ 430
ファジェーエフの小説『壊滅』について‥‥ 440
ソビエト文壇の近況‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 451
近代象徴主義小説‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 468
社会的文芸批評確立の時代‥‥‥‥‥‥ 496
*解説(水野明善)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 525
*凡例と解題(桜井純一)‥‥‥‥‥‥ 553
 

第3巻 芸術論 3 1967.6.30
 
新しい文学への出発‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3
新日本文学の社会的基礎‥‥‥‥‥‥‥‥ 8
ジダーノフの文学批判について‥‥‥‥‥17
一九四七年の文学によせて‥‥‥‥‥‥‥22
崋山青年期の師友‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥25
作者と読者‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥43
文学と社会‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥50
小林多喜二の現代的意義―一九四八年三月七日小林多喜二記念祭講演―‥‥56
近代主義とその克服‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥68
ベリンスキーから何を学ぶか‥‥‥‥‥‥90
文学と世界観‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 102
黒島伝治の反戦文学‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 126
戦争文学の新しい段階‥‥‥‥‥‥‥‥ 136
文学運動の新しい展開‥‥‥‥‥‥‥‥ 143
プーシキンと日本文学―モスクワにおけるプーシキン生誕百五十年祭への報告―‥ 146
民主主義文学の前進のために―芸術的方法の問題を中心として―‥‥ 151
ロシア革命と文学‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 184
宮本百合子の文学―『二つの庭』『道標』を中心として―‥‥ 210
『独房』と『党生活者』について‥‥‥ 243
『海に生くる人々』について‥‥‥‥‥ 268
『一九二八年三月十五日』と『蟹工船』について‥‥ 285
『鉄の流れ』について‥‥‥‥‥‥‥‥ 305
今日における言語の問題‥‥‥‥‥‥‥ 313
宮本百合子の生涯と業績‥‥‥‥‥‥‥ 332
資本主義的創造と社会主義的創造‥‥‥ 346
社会主義リアリズムの開花―ゴーリキーとマヤコフスキー―‥‥ 358
小林多喜二と宮本百合子‥‥‥‥‥‥‥ 400
『ジプシー』と『青銅の騎手』について‥‥ 425
『私の大学』『番人』『初恋について』―ゴーリキーの三作品―‥‥ 444
『道標』の問題をめぐって‥‥‥‥‥‥ 456
*解説(水野明善)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 475
*凡例と解題(桜井純一)‥‥‥‥‥‥ 508
 

第4巻 芸術論 4 1967.10.15
 
近代日本の芸術・文化政策‥‥‥‥‥‥‥ 3
『静かなるドン』について‥‥‥‥‥‥‥28
芸術における階級的なものと国民的なもの―統一戦線の問題について―‥‥34
『貧しき人々の群』その他について‥‥‥91
『若き親衛隊』について‥‥‥‥‥‥‥ 102
渡辺崋山のこと‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 104
『母』について‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 109
宮本百合子の『ソヴェト紀行』‥‥‥‥ 135
『戦列への道』その他について‥‥‥‥ 141
『アルパートフの青年時代』について‥ 148
渡辺崋山の思想と芸術について―その生誕百六十年に―‥‥ 153
マルクスと芸術‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 177
スターリンと文学‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 191
国民文学の問題によせて‥‥‥‥‥‥‥ 208
『伸子』について‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 235
文学と思想‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 252
私小説私観‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 291
プロレタリア文学運動の評価について(1)‥‥ 298
プロレタリア文学運動の評価について(2)―野間宏君の『二十世紀文学と民主主義文学』を読む―‥‥ 319
ゴーリキーと児童文学―ゴーリキー著『児童文学と教育』について―‥‥ 354
レーニンと文学‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 371
プロレタリア文学運動‥‥‥‥‥‥‥‥ 383
*解説(水野明善)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 425
*凡例と解題(桜井純一)‥‥‥‥‥‥ 463
 

第5巻 芸術論 5 芸術書簡 1970.7.5
 
国民文学論をめぐる二、三の問題―批判者への答えとして―‥‥ 3
ナップとその時代‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥24
宮本百合子の随想について‥‥‥‥‥‥‥65
文学批評当面の諸問題―新日本文学会第七回大会報告―‥‥71
新日本文学会第七回大会を終わって‥‥‥86
偉大な政治家と芸術家の友情―『レーニンのゴーリキーへの手紙』―‥‥92
宮本百合子の先見‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥97
文学に国民性と党派性を―ベリンスキー生誕百五十年によせて その偉大な業績をたたえる―‥‥ 102
文学運動と反共思想‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 106
一部文学者党員の「声明」について‥‥ 128
政治と文学の問題―「文学独自の目」ということについて―‥‥ 141
プロレタリア芸術運動の評価をめぐって―ナップ成立三十五周年に―‥‥ 158
新日本文学会第十一回大会に参加して‥ 173
日本の新劇運動が当面する課題‥‥‥‥ 192
人民の立場にたつ民主主義文学とは何か―日本民主主義文学同盟の創立によせて―‥‥ 201
新しい文学と文学運動について‥‥‥‥ 217
創作方法、文学大衆化、批評の問題‥‥ 232
宮本百合子の「意見書」について‥‥‥ 246
ナップ結成前後‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 252
一九七〇年をまえにした民主的文化運動の課題‥‥ 269
文学者の自由ということ‥‥‥‥‥‥‥ 282
芸術書簡‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 289
1932年7月―1932年12月 ‥‥‥‥‥‥‥ 291
1933年1月―1933年12月 ‥‥‥‥‥‥‥ 392
1934年1月―1935年4月‥‥‥‥‥‥‥‥ 457
1935年5月―1940年8月‥‥‥‥‥‥‥‥ 508
*解説(佐藤静夫)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 579
*凡例と解題(桜井純一)‥‥‥‥‥‥ 605
 

第6巻 文化論 1 1969.4.30
 
プロレタリアートと文化の問題‥‥‥‥‥ 3
文化運動の展望‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥76
民主主義文化革命の諸問題‥‥‥‥‥‥‥85
東洋文化と西洋文化‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥95
政治と文化‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 117
民主主義文化戦線の展開‥‥‥‥‥‥‥ 127
官僚的文化統制の再現‥‥‥‥‥‥‥‥ 136
文化の退廃について‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 140
新しい文化運動は何をめざすか‥‥‥‥ 150
文化革命と知識層の任務‥‥‥‥‥‥‥ 157
各党の文化政策を評す‥‥‥‥‥‥‥‥ 179
当面せる党の文化スローガン‥‥‥‥‥ 183
日本における文化革命の基本的任務‥‥ 188
文化問題に関する報告‥‥‥‥‥‥‥‥ 236
文化運動の新しい展開のために‥‥‥‥ 259
文化運動‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 264
イデオロギー戦線と芸術文化‥‥‥‥‥ 317
全国党員芸術家会議によせて‥‥‥‥‥ 335
国民文化と国際文化‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 338
文化運動と知識人の問題‥‥‥‥‥‥‥ 355
正しい文化政策の樹立のために‥‥‥‥ 362
ソ同盟共産党第二十回大会と文化問題‥ 370
革命と文化‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 391
ロシア革命と文化‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 418
ハンガリー問題について‥‥‥‥‥‥‥ 422
共産主義者のモラルについて‥‥‥‥‥ 426
共産主義的人間論―「スターリン批判」をめぐる問題―‥‥ 437
共産主義者のモラルの問題‥‥‥‥‥‥ 463
文化政策の基礎的な若干の問題について‥‥ 471
社会主義と自由‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 498
*付録1 日本共産党の文化政策―一九四六年二月、日本共産党第五回大会決定―‥ 511
*付録2 文化活動の基本的方向と当面の任務―一九四七年十二月、日本共産党第六回大会決定―‥‥ 525
*付録3 日本文化の擁護と発展のために―日本共産党の文化政策案、一九五七年一月―‥‥ 540
*解説(水野明善)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 595
*凡例と解題(桜井純一)‥‥‥‥‥‥ 611
 

第7巻 文化論 2 1969.11.30
 
思想闘争における教条主義と修正主義‥‥ 3
思想と理論の戦線を強化しよう‥‥‥‥‥27
当面する思想と文化のたたかい―文化戦線に党を建設しよう―‥‥39
知識人の思想と行動‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥69
日米安保条約に反対する日本文化人のたたかい‥‥85
共産党と知識人‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 112
レーニン主義とトロツキズム‥‥‥‥‥ 121
安保闘争と知識人の思想‥‥‥‥‥‥‥ 156
一九六一年の文化的課題‥‥‥‥‥‥‥ 178
民主主義と「学問・芸術の自由」‥‥‥ 185
民族の主体性と民族の文化‥‥‥‥‥‥ 206
進歩的文化運動の現状と展望‥‥‥‥‥ 222
大衆のあいだの文化活動について‥‥‥ 230
日本の文化遺産の危機―民族文化財の保護について―‥‥ 245
文化と思想のたたかい―日本共産党創立四十周年にあたって―‥‥ 253
日本共産党と文化運動―党創立四十周年によせて―‥‥ 257
革命なき「革新」文化運動理論―日本社会党の文化政策への「ビジョン」、久保田忠夫氏の二つの論文について―‥‥ 271
大衆の糧になる文化を―新しい年によせる期待―‥‥ 300
ライシャワー氏の哲学とアメリカの「平和戦略」‥‥ 305
民族の生活と密着した文化を育てよう‥ 356
国際共産主義運動と文化のたたかい―一九六五年への覚え書き―‥‥ 362
文化闘争の正しい理解と発展のために‥ 397
学業と闘争を結びつけよう‥‥‥‥‥‥ 404
現在の文化状況と日本共産党の文化政策‥‥ 416
さらにいっそうの高揚にむかって―新しい年の進歩的、革命的文化運動に期待する―‥‥ 455
芸術・文化運動における当面する諸問題‥‥ 460
文化の分野における二つの戦線での闘争‥‥ 479
文化革命とわが党の立場‥‥‥‥‥‥‥ 487
敗戦後における党の文化政策をめぐるたたかい‥‥ 496
近代日本百年とその文化‥‥‥‥‥‥‥ 536
一九七〇年をめざして前進しよう―民主的文化運動の高まりのなかで―‥‥ 542
*付録1 安保反対闘争と知識人、文化人の活動について―全国宣伝教育、文化部長会議における報告と討論の総括―‥‥ 547
*付録2 大衆的文化活動の前進のために‥‥ 573
*解説(佐藤静夫)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 579
*凡例と解題、本評論集収録外のおもな論文の一覧(山田新市)‥‥ 592
 

第8巻 文化論 3 1979.9.5
 
民族的民主的文化の発展のために‥‥‥‥ 3
日本文化はいかにあるべきか―新しい人民的文化の建設―‥‥24
日本共産党の文化政策について‥‥‥‥‥58
一九七〇年にむかう文化運動の課題‥‥‥68
『古典文学』をどう学ぶか‥‥‥‥‥‥‥83
批評の問題をめぐって‥‥‥‥‥‥‥‥‥96
知識人、文化人の活動のひろがりを‥‥ 104
民主主義と文化の問題について‥‥‥‥ 106
生活と文学‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 112
文化革命と日本の文化‥‥‥‥‥‥‥‥ 137
現代文化の諸問題‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 160
「ナップ」から「コップ」への文化運動の組織的展開―「新教」創立・「教労」結成四十周年記念夏季集会での記念講演―‥ 197
日本共産党と文化政策‥‥‥‥‥‥‥‥ 230
日本革命の展望と文化問題‥‥‥‥‥‥ 239
日本文化と共産党‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 262
文化運動の歴史と党の文化政策‥‥‥‥ 267
民族の伝統と民族の文化‥‥‥‥‥‥‥ 295
日本文化の未来と共産党‥‥‥‥‥‥‥ 333
文化運動の新しい課題と歴史的教訓‥‥ 356
大衆的文化運動について―全活会議文化分科会での開会、閉会のあいさつ―‥‥ 367
批評活動の今日的課題―党員批評家会議でのあいさつ―‥‥ 376
七〇年代の後半期をむかえる文化活動の課題―質問に答えて―‥‥ 390
*付録 戦後の文化政策をめぐる党指導上の問題について―文化分野での「五〇年問題」の総括―‥‥ 399
*解説(佐藤静夫)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 477
*凡例と解題(小林茂夫)‥‥‥‥‥‥ 487
 

第9巻 思想論 1979.10.30
 
「平和の論理」と「革命の論理」‥‥‥‥ 3
ベトナム人民の闘い‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥26
読書のすすめ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥35
民族と人種の問題‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥40
プロレタリアート独裁と民主主義‥‥‥‥45
大学教育と「わだつみ像」の破壊について‥‥55
よみがえれ「わだつみの像」‥‥‥‥‥‥64
不屈の革命的伝統を受けついでさらに前進しよう―党創立四七周年記念講演―‥‥67
現代の課題とレーニン主義―『レーニン十巻選集』発刊にあたって―‥‥93
あるべき科学と現実の科学―「自然科学の階級性についてのシンポジウム」での発言―‥‥99
一九七〇年代のはじめに―その現実と展望―‥‥ 108
レーニンをいかに学ぶか‥‥‥‥‥‥‥ 113
レーニンの思想と現代―レーニン生誕百年記念講演―‥‥ 117
現代とレーニン‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 141
レーニンからなにを学ぶか‥‥‥‥‥‥ 165
レーニン―その人と生活について‥‥‥ 191
政治と文化のあいだ―公害の問題によせて―‥‥ 227
民主主義の思想と現代‥‥‥‥‥‥‥‥ 231
読書と書評について―「読書の友」終刊号によせて―‥‥ 240
「プロレタリア・ディクタツーラ」の訳語についての覚え書‥‥ 245
「プロレタリア・ディクタツーラ」の訳語問題とそれにたいする若干の反響について‥‥ 250
共産主義と思想表現の自由‥‥‥‥‥‥ 258
行列毛虫‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 293
批判は公正に明快に―「連合赤軍」にかんする松田道雄氏の文章について―‥‥ 303
文明と人間‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 315
「公害の公平なる分配」―田中義一と田中角栄―‥‥ 323
自然との和解‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 328
現代社会と知識人‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 339
反共宣伝と知識人‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 350
共産主義思想の源流―古代中国の平等思想―‥‥ 358
思想・文化の分野での闘争の新しい課題―日本共産党第十二回大会での発言―‥‥ 393
反共主義とのたたかいと日本の未来―質問に答える―‥‥ 398
野呂栄太郎の研究態度によせて‥‥‥‥ 423
ソルジェニツィン問題をめぐって―「三百代言批判」の批判―‥‥ 429
レーニンの人柄‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 435
古代ギリシアの民主主義と「共産主義」―共産主義思想の源流 その2― ‥‥ 440
イデオロギーの併存について‥‥‥‥‥ 472
新しい時代と青年の読書―質問に答える―‥‥ 494
社会科学研究者の現代的課題‥‥‥‥‥ 500
暗黒政治の復活を許すな―治安維持法、特高警察の暴虐を告発する集会でのあいさつ―‥‥ 504
自由と民主主義の旗のもとに‥‥‥‥‥ 509
*解説(日隈威徳)‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 515
*凡例と解題(小林茂夫)‥‥‥‥‥‥ 527
 

第10巻 宗教論 対話編 1979.12.15
 
宗教論
共産主義の歴史と宗教‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3
キリスト者(カトリック)との対話田中英吉〔対談者〕‥‥22
宗教についての日本共産党の立場―「宗教と共産主義についての対話」での発言―‥36
宗教をどう見るか―京都における宗教者との懇談会での発言―‥‥52
共産主義者と宗教者の相互理解と相互協力の思想的意味―池田氏の講演にもふれて―‥‥96
宗教にかんする二、三の問題‥‥‥‥‥ 102
宗教について語る‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 124
浅野順一氏との対談‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 141
宗教の起原について‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 154
対話編
「明治百年」と日本近代文学壷井繁治,小原元,佐藤静夫〔対談者〕 ‥‥ 210
政治・文学・文学運動佐藤静夫〔対談者〕‥‥ 249
七〇年・思想と文化の課題古在由重〔対談者〕‥‥ 283
共産党の「路線転換」を問う―第十一回党大会をめぐって―青地晨〔対談者〕‥‥ 314
新しい文学運動の出発霜多正次,窪田精,佐藤静夫〔対談者〕‥‥ 341
「ナップ」結成四十五周年佐藤静夫〔対談者〕‥‥ 382
杉本良吉のこと手塚英孝,松本克平,吉田好尚,村山知義〔対談者〕‥‥ 411
*解説(日隈威徳,佐藤静夫) ‥‥‥‥ 449
*凡例と解題(小林茂夫)‥‥‥‥‥‥ 459
*蔵原惟人著作編年目録榛原憲自〔編〕‥‥ 465

アンソロジー・プロレタリア文学① 貧困   飢える人びと 』(森話社)

2013-10-14 23:18:22 | 多喜二と同時代を生きた人々

アンソロジー・プロレタリア文学① 貧困   飢える人びと 』(森話社)
プロレタリア文学① 貧困

本体2800円(+税)
楜沢健[編]
四六判/392頁

978-4-86405-051-7
C0393
2013.9...

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1920 年代~ 30 年代に流行し、その後顧みられることの少なかったプロレタリア文学作品を、 テーマ別に全7 巻にまとめ、年2 巻程度のペースで刊行。プロレタリア文学ならではのラインナップで短篇~中篇小説、匿名の投稿小説、「壁小説」などを各巻10 本程度収録し、加えて川柳・ 短歌・俳句・詩なども収める。巻末には編者による解説を掲載。シリーズ第一巻では「貧困」をキーワードに、小林多喜二、林芙美子、葉山嘉樹などの作品を収録。
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【目次】
短歌 渡辺順三


「龍介と乞食」  小林多喜二
「ある職工の手記」  宮地嘉六
「風琴と魚の町」  林芙美子
川柳  鶴 彬


「電報」  黒島伝治
「濁り酒」  伊藤永之介
「貧しき人々の群」  宮本百合子
俳句  栗林一石路
俳句  橋本夢道


「棄てる金」  若杉鳥子
「佐渡の唄」  里村欣三
「移動する村落」  葉山嘉樹

解説「だから、プロレタリア文学が読みたい」  楜沢 健

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【編者紹介】
楜沢健(くるみさわ・けん) 1966年東京生まれ。文芸評論家、早稲田大学他非常勤講師。 早稲田大学第一文学部卒業。同大学院文学研究科博士課程単位取得退学。 プロレタリア文学を研究の中心テーマ、座標軸のひとつに据え、ユニークな文芸評論を展開。 『だからプロレタリア文学──名文・名場面で「いま」を照らし だす17の傑作』(勉誠出版、2010年)、『だから、鶴彬──抵抗する17文字』(春陽堂書店、2011年)、『葉山嘉樹・真実を語る文学』(共著、花乱社、2012年)、『里村欣三の眼差し』(里村欣三顕彰会編、吉備人出版、2013年)、『多喜二の文学、世界へ──2012年小林多喜二国際シンポジウム報告集』(荻野富士夫編、小樽商科大学出版会、2013年)など。


雑誌『フェンスレス』が創刊特集「貴司山治と〈占領・開拓〉の時代」

2013-03-27 00:07:36 | 多喜二と同時代を生きた人々

占領開拓期文化研究会の雑誌『フェンスレス』が創刊されました。

創刊号特集「貴司山治と〈占領・開拓〉の時代」

A5版、143ページ、占領開拓期文化研究会・2013年3月20日発行

  表紙d-4

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(目次)

フェンスレス』創刊にあたって …2

特集●貴司山治と〈占領・開拓〉の時代

 貴司山治『維新前夜』と近代の超克  思想戦とアジア解放の幻 (内藤由直)

「小林多喜二全集」の編纂過程〔戦前編〕 貴司山治資料などからの検討 (伊藤 純)

 計画された国土、構成された未来  貴司山治『青人草』と〈東亜協同体〉の論理 (村田裕和)

 蟻と人間の衝突  貴司悦子「蟻の婚礼」における想像力 (泉谷 瞬)

[インタビュー]胡麻郷開拓とその後継者たち  開拓者・中澤昌平さんに聞く

 中澤昌平さんのこと (伊藤 純)


論文
 文学と映画の〈偶然性〉論  花田清輝・安部公房を基点に (友田義行)

 異和の体  岸田國士「牛山ホテル」論 (坂本彩香)

レビュー
 「実験場」としての「戦後」「日本」 「美術にぶるっ!ベストセレクション日本近代美術の100年」展「第Ⅱ部 実験場1950s」(秋吉大輔)

 占領時代を舞台にしたハリウッド映画 (Alex Bates)

資料
[翻刻]柳瀬正夢「満洲日記」(一九四二年) (白井かおり)


多喜二の母 セキの思い

2013-02-27 00:03:16 | 多喜二と同時代を生きた人々

「然し、私としては多喜二の思想がどうあろうと、多喜二は私にとって切っても切れぬ骨肉、かけがえのない相続人なのです。それが今捕えられて冷たい刑務所に日の光も浴びずにいるかと思うと、可哀そうで可哀そうで、羽があったら飛んで行って抱きしめたい衝動にかられ、居ても立ってもいられないほどです。あの親思いの多喜二のこと、私がこんなに心配しているのと同じく、多喜二も屹度私達のことを心配して、毎日毎日淋しい独房の中で呻吟(しんぎん)していることでしょう。どうぞ一日も早く娑婆へ出られますようにと、唯神仏におすがりするより外なく、その頃の私は一夜として満足に眠れたことはありません。

(小林多喜二の兄妹)
 その内に漸々秋も近づいて来ました。海鳴りの音を聞いても、電線にひゅうひゅうと秋風が鳴っているのを聞いても、すぐ心に浮かぶのは多喜二のこと、今頃はどうしているか、風邪でも引かぬか、誰か差入れでもしてくれているのか、火の気のない独房の寒さ、それらのことを思うと矢も楯もたまらず夜なべをしながら厚く綿を入れた布団を作り、それを三吾に持って行って貰うことにしたのです。三吾が上京したのは十月下旬、十一月の初めに多喜二と会うことが出来て、その差人物が多喜二の手に届いたのは私の思いが叶ったと云うもの、その当時改造社の佐藤績さんに宛てた手紙が、その佐藤さんから頂いて私の手元にありますので、お目にかけましょう。」
(注)三吾が上京したのは十月下旬と記されているが、九月中旬に上京し豊多摩刑務所で多喜二と面会している。

小林多喜二の佐藤績宛て獄中書簡より

「ぼくは此処を出てゆくまでに、実にものしりになっているようです。バルザックと佐々本邦がごっちゃになったり、コルビュジエと物価指数の統計と隣りあったり、経済史とチェホフが仲よく笑ったり、終いにどうなるのか、自分でさえも分らなくなります。ぼくはまだ生れてから、この位たて続けに、本を貪(むさぼ)ったことを知りません。


(あり日の多喜二)
 忙しいでしょう。文壇の様子でもハガキでお知らせ下さい。

 此処では、ぼくは毎日古田松陰のように坐っています。
夜、寝ると、然し、ぼくは自由に小樽の街を散歩したり、あなた達と議論したりします。これは、ぼくをこの上もなく幸福にします。北の国に残してきた年老いた母は、それに、厚い、巾の広い蒲団を送ってくれたので、ぼくは何時でも夜を待っています。

 

(この手紙は二十日間かゝつてあなたの手に入ります。そして、それに対して、若しあなたがお返事を直ぐ下すっても、それは、又二十日かゝつて、ぼくの手に入るのです。面白いでしょう

            十一月二十二目


  私にも「ふとん」には忘れられぬ思い出が
1962年、私の就職が決まり上京する時に、母が「なにがほしい」というので「ふとんを作って」とたのみ作ってもらいました。私の生活には欠かせぬ大切な物でした。結婚してから、ふとんの裏打ちに出したのですが、後で、布団屋さんが「綿をうっていたら手紙らしき紙がはいっていたんです」ということでしたが、その手紙は私には戻りませんでした。残念でなりませんでした。しばらく経ってから母に「手紙に何を書いてあったのか教えて」とたのみましたが、母は笑っていただけで教えてくれませんでした
 その「ふとん」がセキさんと母をダブらせてしまうのです。

 

=通夜のセキの姿=
 窪川いね子さんの「大衆の友」からの一文から

「お母さんは小林の苦痛のあと、敵の迫害の跡を探すように力を入れて撫でた。
 絶えず口を衝いて出るお母さんの悲憤は、また並居る我々の感情であった。が、お母さんの声は我々の胸をしめつけた。
 お母さんは襟をかき合せてやり、今度は額を撫で、髪の毛をかき上げて、その小林の額を抱えて『それ、もう一度立たぬか、みんなのためもう一度立たぬか』


(通夜の席の同志たち)
  そう言って自分の頬を小林の頬に押しつけてこすった。自分で生んで、自分で育てた母親の愛情で同志小林の死顔を抱えて率直に頬をすり合せた。
 押しあぐる息で、お母さんは苦しそうに胸を弱って、はつツ、おつツと声を上げっづけた。」


多喜二の思想について

「多喜二の小説はそうした社会政策を20年も前に実施しなければならぬと叫んだ内容と思うのですが、それが時の政府の反感を買ったのですから、今思えば変なものです。今日になって多喜二の考え方は正しいものであったとはっきり認識せられます。


(治安維持法下の社会でも小林多喜二全集は発行された)
 何もかも多喜二の思っていた通りの世の中になったと私は心ひそかに喜んでいるのです。
 前にも申し上げました通り、私はいたって楽天家で、あまり物事にあまり屈託しない方であり、多喜二没後以来随分と世間に対し肩身の狭い思いをしてきたのですが、そうかと云って、それがために卑屈になるような考えは毛頭なく、いつも呑気に、そして「天は自ら助くるものを助く」という恪言を信じて、平安な気持ちで今日まで過して来たのです。ですから私は、世間の御隠居さまのように年をとったら安楽に、美味いものを食べて絹布にくるまって、厚い座布団に座ってお茶を飲んだり、女中に脚腰を揉ませたりするような欲望は更になく、人間というものは死ぬまで働くものだという信条の下に、斯うして毎日モンペを穿いて宵掻きもすれば、煙突掃除も手伝うことを苦にしないのでございます。春になると畑へ出るのが何よりの楽しみ
で、南瓜や馬鈴薯や、野菜なぞ、私が先頭になって作るのです。これは私は若い時から色々と苦労したお蔭で、従ってまずいものでも有難く頂き、辛い仕事も辛いと思わないで体を動かしているのです。
 佐藤夫婦ヽ幸田夫婦の外、数年前には末子のゆき子も、三吾もそれぞれ結婚し、孫の数も大分殖えましたっ娘のお産の干伝にも次から次へと廻っています」

太陽は総てのものを平等に照らす

「私はむつかしいことは知りませんが、世間の人が幸福になって自分も幸福を受け、他人の喜ぶ顔を見るときは本当に自分も心から嬉しくなるものだということを信じているのです。

小林多喜二文学館)
太陽は、総てのものを平等に照らして下さいます。多喜二達同志の主義も新しく生れ変った日本で、色々と国民の問に研究して頂いていると云うことは有難いことです。その主義を好む、好まないは人様の自由ですから、嫌いなものを強いる必要はありませんが、お上の弾圧もなく自由に論議され、研究される世の中になったことは結構なことだと存じます。これからの日本人は屹度良い方へ、良い方へと延びていくことでしょう」

                        

  =小林セキの詩=

 

当初、口絵として用いられる予定だったセキの詩は、次のようにルーズリーフに毛筆で丹
念に書かれている。

  あーまたこの二月の月かきた     ああ、またこの二月の月が来た。

  ほんとうにこの二月とゆ月か      本当にこの二月という月が

  いやな月 こいをいパいに       嫌な月、声を一杯に

  なきたい どこいいてもなかれ     泣きたい どこへ行っても泣かれない。

  ない あー てもラチオで        ああ でもラジオで

  しこすたしかる             少し助かる

  あーなみたかてる           ああ涙が出る

  めかねかくもる            眼鏡がくもる


 


「伊藤信吉没後10年記念展~風の詩人に会いに来ませんか~」

2013-01-17 00:06:46 | 多喜二と同時代を生きた人々

第79回企画展「伊藤信吉没後10年記念展~風の詩人に会いに来ませんか~」

会期 平成25年1月19日(土)~3月17日(日)
開館時間 9:30~17:00(観覧受付は16:30まで)

会場 群馬土屋文明記念文学館


休館日 火曜日
観覧料 一般400円(320円) 大学・高校生200円(160円) 中学生以下無料
 ※( )内は、20名以上の団体割引料金
 ※障害者手帳等をお持ちの方とその介護者1名は無料
後援 朝日新聞前橋総局 毎日新聞社前橋支局 読売新聞前橋支局 上毛新聞社 桐生タイムス社 NHK前橋放送局 群馬テレビ エフエム群馬 ラジオ高崎
 

伊藤信吉(いとうしんきち、1906-2002)は、元総社村(現・前橋市)に生まれ、89歳で当館初代館長に就任しました。萩原朔太郎(1886-1942)や室生犀星(1889-1962)に師事。アナーキズム系の詩人とも交わり、プロレタリア文学運動に関与。その活動を離れてからは、『島崎藤村の文学』を皮切りに近代文学の評論で地歩を固め、多くの全集編さんにも携わり、現代の文学に大きな影響を与え続けています。
 当館では亡くなった翌年に追悼展を開き、その生涯と全業績を紹介いたしました。今回の没後10年記念展では、伊藤信吉の故郷への思いに光を当てます。伊藤は故郷を愛し、育った村で使われていた方言や昔話、わらべ歌の収集もしました。
 

本展では自筆資料、書簡、写真、遺品、未公開資料を含め約200点を展示します。
 空っ風を愛した伊藤が巻き起こした文学の風を感じていただければと思います。
主な展示構成
1. 上州は“風”の文学
2. 近代詩の目撃者 ~評論家 伊藤信吉~
3. 郷土を愛して ~詩人 伊藤信吉~
関連行事
※①~④申込方法(参加費無料)
 事前に電話もしくは受付カウンターにてお申し込みください。
 TEL.027-373-7721

①ワークショップ「風と遊ぼう」
講師 群馬県立歴史博物館職員
1月20日(日)
13:30~14:00(かざぐるま作り)
14:30~15:10(ミニ凧作り・変わり凧作り)
定員 各回親子30組(要申込/両回申込可)
対象 4歳(小学校3年生までは保護者同伴)~一般
・子どもを対象とした簡単な工作ですが、大人の方も参加できます。

②シンポジウム
パネリスト 東谷 篤氏(城北中・高等学校教諭)
      岡田芳保氏(詩人・当館元館長)
      篠木れい子(当館館長)
コーディネーター 藤井 浩氏(上毛新聞社論説委員長)
演題「伊藤信吉 その素顔と魅力」
2月17日(日)14:00~15:30
定員 150名(要申込)
★オープニングに伊藤が唯一作詞した前橋市立元総社南小学校の校歌をビデオでご紹介。
 全校児童による合唱です。

③ワークショップ「ことばで遊ぼう」
講師 高橋静代氏(わらべ歌)
   小林知子氏(紙芝居)
2月24日(日)10:30~11:40
定員 80名(要申込)
対象 0歳~一般
・赤ちゃんから大人の方までを対象としたワークショップ。わらべ歌や上州弁の紙芝居をお楽しみください。

④記念講演
講師 澤 正浩氏(福島大学名誉教授)
演題 「伊藤信吉の晩年の仕事を中心に」
3月17日(日) 14:00~15:30
定員 150名(要申込)

⑤ギャラリートーク(申込不要/要観覧料)
企画展担当者による展示解説
1月19日(土)、2月9日(土)、3月9日(土)
各回13:30~14:00


3/15事件での求刑十二年 党中央委員候補者 相馬一郎(三〇)

2012-12-16 18:09:59 | 多喜二と同時代を生きた人々

報知新聞 1932.7.6(昭和7)


午前求刑の分

 

福本は十年

 

最高は相馬の十二年


午前中九十六名求刑の筈の処欠席者が十六名あった為め出席被告八十名に対してのみ求刑し欠席者に対しては改めて求刑ある筈である

懲役八年 五十嵐元三郎(二四)
同六年 春日正一(二六)
同六年 安藤誠一(二八)
同十年 長江甚成(二七)
同七年 会田英宗(二八)
同十年 斎藤久雄(三〇)
同六年 清信清寿(二七)
同六年 北牧孝三(三三)
同七年 小西茂国(二九)
同十年 党関東地方委員 唐沢清八(三〇)
同六年 小椋広勝(三一)
同七年 稲葉助四郎(三九)
同八年 赤津益造(三一)
同六年 長尾正良(二七)
同九年 無産者新聞編集長 是枝恭二(二九)
同四年 下田富美子(二四)
同七年 丹野せつ(三一)
同八年 今野健夫(三三)
同九年 共青中央委員 雨森卓三郎(二七)
同十年 片山峰登(三〇)
同九年 岸本茂雄(二九)
同十二年 党中央委員候補者 相馬一郎(三〇)
同十年 党中央プロアヂ部員 福本和夫(三七)
同八年 井口政雄(三八)
同十年 党中央委員 河田賢治(三三)
同十年 松尾直義(三三)
○欠席 金子健太(三四)
○欠席 川関等(三七)
同五年 伊藤廉(三一)
○欠席 桑原光一(三〇)
同五年 芝浩(二七)
○欠席 片山信忠(三九)
○欠席 鶴田梅郎(二八)
同四年 石堂清倫(二九)
同五年 田中稔男(三一)
同五年 滝嘉蔵(二九)
同六年 野田忠勝(二九)
同六年 山我徳一(二八)
同六年 藤沼栄四郎(五二)
同五年 南善次(二七)
同五年 旭国彰(二七)
同八年 渡部義通(三二)
同五年 金沢一馬(三二)
同五年 市村光雄(三八)
同五年 神道久三(三三)
同五年 岡本藤男(三二)
同五年 小暮元治(二五)
同五年 赤島秀雄(三三)
同五年 蜂谷恵晃(三九)
同五年 田子一郎(三〇)
同五年 高沖陽造(二七)
○欠席 小田茂(二九)
○欠席 松本倉吉(三六)
○欠席 荻原由清(三〇)
同五年 稲垣佐太郎(三七)
同六年 関根悦郎(三二)
同五年 森岡嘉門次(三二)
同四年 原きくえ(二五)
同三年 政川基司(三一)
同五年 坂本直久(三三)
同五年 坂田宗一(二六)
同五年 清水恒雄(二五)
同五年 池内三雄(二九)
同五年 是枝操(二六)
同五年 福間敏男(三一)
同六年 野下勝之助(二八)
同六年 忽那雄(三〇)
同五年 石岡松五郎(二八)
同六年 淡徳三郎(三二)
同五年 大村森作(二九)
○欠席 大川新一(二九)
同五年 飯野親邦(三四)
○欠席 佐藤菊雄(二七)
○欠席 吉田鶴喜(二五)
同五年 安西登三(二七)
同七年 細田八五郎(三一)
同五年 玉城勝太郎(二九)
同五年 吉野政吉(三六)
同五年 岩田七郎(二九)
同五年 比嘉盛広(三〇)
同五年 遠山正(三一)
同五年 田中長三郎(三三)
○欠席 新谷久三郎(二八)
同五年 直井武夫(三六)
同四年 斎藤勇(二六)
同七年 棚橋貞雄(三四)
○欠席 平山忠尚(二七)
○欠席 佐藤謙蔵(三〇)
同四年 大橋幸一(三一)
○欠席 川村恒一(三三)
同八年 湊七良(三六)
同八年 内垣安造(三〇)
同八年 西雅雄(三七)
同五年 村田定男(三二)
同七年 槙田清(二四)


データ作成:2009.11 神戸大学附属図書館


雨森卓三郎は「太宰君と共産党」(筑摩版『定本太宰治全集』付録 月報1)

2012-12-16 18:08:20 | 多喜二と同時代を生きた人々

昭和三十二年十月、雨森卓三郎は「太宰君と共産党」(筑摩版『太宰治全集』付録)で、その関わりを推論する

 

記事名 太宰君と共産党
著者名 雨森卓三郎
巻号・年月 1:1962.3
ページ pp.6-7

定本太宰治全集 [付録] : 1~4,6~12
筑摩書房, 1962.3-1963.2 【国会図書館 請求記号:Y91-E1239】


昭和二十年十一月十四日、青森県共産党再建会議

2012-12-16 18:03:44 | 多喜二と同時代を生きた人々

渡辺惣助の日記によると、

昭和二十年十一月十四日、青森県共産党再建会議が津川武一家で開かれた。

出席者は渡辺惣助、雨森卓三郎、津川武一、山中(沙和宗一)、内山、山鹿、唐牛、原、島口、田村文雄、杉浦、津島(太宰治)の十二名(小野正文『太宰治をどう読むか』弘文堂、昭三十七、二)だった。

戦後の共産党をどうして再建してゆくかの相談会だったが、彼はあまり発言しなかった。日本共産党は、ロシアとも世界共産党とも手を切ってやるのだと結論が出たとき、太宰は全く口をつぐんでしまい、途中で退席した。

この事に対し、小野正文は〈太宰には、共産党再建に対する興味も意欲もなかったことは明瞭である。彼は純粋に、故旧忘れ得べき、こういう人なつかしさで顔を出したのである〉と語っている。


三・一五事件(日本共産党秘密結社に対する昭和三年三月十五日大検挙)残余の分

2012-12-16 17:59:27 | 多喜二と同時代を生きた人々

京城日報 1929.7.23(昭和4)


三・一五事件残余の分


いわゆる三・一五事件(日本共産党秘密結社に対する昭和三年三月十五日大検挙)の未解決の事項中福本和夫を中心とするものについては、すでに二十一日の本紙朝刊に詳細したが今回解禁されたるもの左の如し

女性も交る 百六十五名

今回解禁されたる三・一五事件の未解決のものの氏名は左の如き百六十五名であるが、福本和夫、是枝恭二、その他多数の女性のふくまれている事は注目に価する
 安部研一、旭国彰、浅野晃、赤島秀雄、赤堀智、阿部高之丞、雨森卓三郎、安藤誠一、赤津益浩有馬毅、五十嵐元三郎、稲葉助四郎、飯野親邦、石岡松五郎池内三雄、岩田七郎、伊藤政之輔、五十嵐信雄、市田義雄、伊藤千代子(浅野晃の妻)入江二、石堂正倫、市村光雄、岩田義道、稲垣佐太郎、井之口政雄内垣安造、上野邦男、上田茂樹大原佐久、大島英夫、大橋積、岡本藤男、小川治雄、大橋幸一岡忠正、大川新一、大村森作、岡本陽造、大西十数男、大山岩雄、河田賢治、片山信忠、廉沢誠、川村恒一、川関等、春月正一(大阪春日四郎の弟)河合悦造、上条寛雄、金子健太、片山峰登、門屋博、亀井勝一郎、唐沢清八、清倉清寿、北牧孝三、菊田善五郎、北村千太郎、喜入虎太郎、岸本茂夫、木元栄、忽那光、桑原光一、日下部千代一栗原裕、小西茂国、小暮元治、是枝恭二、波多野操(是枝の妻)小枝千鶴、小玉慶一郎、今野健夫、今野とし、小林信吉、小林杜人、佐藤謙蔵、佐野文夫、斎藤勇、佐藤菊雄、斉藤久雄、芝浩、清水恒雄、神間健寿、島上善五郎、神道久三、白谷忠三、下田富美子、清水平九郎、島野武、志賀義雄、菅野義清、杉浦啓一、関根悦郎、清家敏住、会田英宗、伊達廉一、玉城勝太郎田子一郎、棚橋貞雄、淡徳三郎田中長三郎、満嘉蔵、田口ツギ立花清、竹下了、田中峰雄、高岡一雄、千葉成夫、鶴田梅郎、遠山正、徳田久一、豊田直、富安三次郎、中尾勝男、中村義明直井武夫、中野尚夫、中村貞三郎、長尾正良、中田為助、永江甚成、西雅雄、野坂参弐、野坂りゅう子、野下勝之助、野田忠勝塙毅、原キクエ、荻原申清、蜂谷恵光、橋本省三、平山忠尚、比嘉盛広、二片栄司、福本和夫藤沼栄四郎、福間敏男、藤井米三、細田八五郎、松本倉吉、政川基司、松島喜一郎、松尾直義松崎簡、槙田由五郎、槙田清、宮原省久、水野成夫、南善治、南喜一、港七良、水野秀夫、箕浦義文、村尾薩男、村松英男、森平鋭、森岡喜門次、山我徳一山本作馬、山□隻郎、山崎稔、吉見春雄、吉野政吉、吉原精一郎、桜井亀夫、渡辺義通、志賀多恵子

 

東京女大から三名の党員 何れも名家の出で花々しい女闘士

東京女子大学から三名の共産主義者犯人を出したがその三名の共産主義犯人中二名までも裁判官の令嬢であることは注目に値する即ち東京女子大学から出た主義者波多野操子、志賀多恵子、伊藤チヨ子の三名中前二女は何れも裁判官の令嬢で操子の父君は北海道某地方裁判所から東京附近の某裁判所に転じ更に某控訴院に転じた人である、

波多野操子(二三)は札幌市大通り西十丁目四に生れ大正十三年三月札幌高等女学校を卒業し同年四月東京女子大学に入学し在学中呼吸器を患い十五年十二月中途退学したのであるが病気の前途を悲観し遂に自暴自棄に陥り共産主義に身を投じ女主義者の闘士として認めらるるに至ったものであるが検挙された当時取調べの警官に対し「私は父の思想を悲いものと思い反動的な気分も手伝って共産党員となったことに歓喜を感じている」と豪語している、彼女は東京女子大学在学中同校の社会科学研究会、同問題会、読書会等の団体で思想問題を研究して居たが退学後も右諸会へ出入していたそのうち父君は読書のことでしばしば彼女に干渉するので彼女は居たたまらず無謀にも単独で市外西大久保一二八に自分名儀で一戸を借り相変らず前記の研究会へ出入していた、当時同町四五に柴田健と偽名して居住して帝大新人会を牛耳っていた是枝恭二と思想の上から友人となり恋愛に陥り遂に昨年三月是枝方へ同棲するに至った、共産党入党後は主として同党のリポーターとして働いているものである

更に志賀多恵子(二四)も又某控訴院某部長の令嬢であり、福本イズム本尊福本和夫の股腹ともいうべき志賀義男の妻で埼玉県岩槻町太田に生れ大正十二年三月函館高等女学校を卒業し同年四月東京女子大学に入学昭和二年四月卒業をした才媛である、女大在学中波多野女や伊藤女等と共に社会科学研究に興味を持ち卒業後実際運動に身を投じしばしば検束留置等彼等のいわゆる名誉なる災厄を経て同志よりは勇敢なる婦人闘士の名を与えられるに至りその中同志の志賀と恋を語る事となり結婚したものであるが市ヶ谷刑務所に収容中本年一月突然発狂し看守を殴打したことありために保釈となったもので目下大阪の実家に引取られている、

次ぎに今一人の東京女大出身の被告伊藤チヨ子(二五)は長野県諏訪郡湖南村南真志野で生れ三才の時母親に死別し父は養子であったため母方の祖父同村岩波佐之助方で哀れな境遇に育った、同村の小学校から諏訪高女に進み卒業してから一時郷里で小学代用教員を勤め二年後仙台市尚綱女学校英語専攻科へ入学し大正十四年三月卒業して四月上京東京女子大学英語専攻部に入り昭和二年二月リウマチスのため退学した。彼の女は代用教員中から思想的書物に憧れ女大在学中学友達と寄宿舎内で思想問題の研究をやったのを初めとして同校の社会科学研究会に入り読書としてはマルクス、レニン全集等を耽読しておりそれ以後共産党に入ろうと志ざした、その結果自由な生活を希望し寄宿舎を出で市外高円寺町六一〇小沢正子方に間借し同志の学友三名と起居を共にしていたが小沢方に出入する帝大生の紹介で共産党員浅野晃と相知るに至り本郷湯島五の三亀井理髪店方二階に浅野と恋愛同棲を営み内縁関係を結んだ昨年三月浅野の紹介で遂に共産党員名簿に彼の女の名を記するに至ったものである


データ作成:2010.3 神戸大学附属図書館


(求刑九年)共青中央委員 雨森卓三郎(二七) は懲役8年。(東京日日新聞 1932.10.30 昭和7)

2012-12-16 17:53:54 | 多喜二と同時代を生きた人々

東京日日新聞 1932.10.30(昭和7)


判決内容=(括弧内は求刑)=


 無期懲役=四名=
(死刑)中央委員 三田村四郎(三七)
(無期)中央委員長 佐野学(四一)
(無期)中央委員 市川正一(四一)
(無期)中央委員 鍋山貞親(三二)
 懲役十五年=二名=
(十五年)中央部 高橋貞樹(二八)
(十五年)留守中央委員長 国領伍一郎(三二)
 懲役十年=九名=
(十年)留守中央委員 志賀義雄(三二)
(十年)モップル委員長 徳田球一(三九)
(十年)中央委員 中尾勝男(三二)
(十年)中央委員 杉浦啓一(三六)
(十年)中央委員 河田賢治(三三)
(十年)松尾直義(三五)
(十年)中央委員候補 相馬一郎(三〇)
(十年)元中央委員 福本和夫(三七)
(十年)関東地方委員 唐沢清八(三九)
 懲役九年=二名=
(十年)斎藤久雄(三〇)
(十年)長江甚成(二七)
 懲役八年=六名=
(九年)無産者新聞編集長 是枝恭二(二九)
(八年)五十嵐元三郎(二四)
(九年)岸本茂雄(二九)
(九年)共青中央委員 雨森卓三郎(二七)
(八年)井ノ口政雄(三八)
(十年)片山峰登(三〇)
 懲役七年=三名=
(八年)赤津益造(三一)
(七年)婦人部長 丹野せつ(三一)
(八年)今野健夫(三三)
 懲役六年=三名=
(八年)渡部義通(三二)
(八年)内垣安造(三〇)
(八年)西雅雄(三七)
 懲役五年=七名=
(六年)北牧孝三(三三)
(七年)小西茂国(二九)
(七年)稲葉助四郎(三九)
(六年)春日正一(二六)
(六年)安藤誠一(二八)
(七年)曾田英宗(二八)
(八年)湊七良(三六)
 懲役四年=七名=
(六年)山我徳一(二八)△(六年)野田忠勝(二七)△(六年)長尾正良(二七)△(七年)細田八五郎(三一)△(六年)野下勝之助(二八)△(六年)淡徳三郎(三二)△(五年)蜂谷恵晃(三九)
 懲役三年六月=二名=
(六年)藤沼栄四郎(五二)△(六年)小椋広勝(三一)
 懲役三年=二十七名=
(五年)岡本藤男(三二)△(五年)安西登三(二七)△(五年)遠山正(三八)△(五年)市村光雄(三八)△(五年)坂本直久(三三)△(五年)荻原由清(三〇)△(五年)稲垣佐太郎(三七)△(六年)関根悦郎(三二)△(五年)坂田宗一(二六)△(五年)小暮元治(二五)△(五年)赤島秀雄(三三)△(五年)田子一郎(三〇)△(五年)伊達廉一(三一)△(五年)芝浩(二七)△(五年)竜嘉蔵(二九)△(五年)南善次(二七)△(六年)清信清嘉(二七)△(七年)棚橋貞雄(三四)△(五年)玉城勝太郎(二九)△(五年)吉野政吉(三六)△(五年)岩田七郎(二九)△(五年)田中長三郎(三三)△(五年)清水恒雄(二五)△(五年)池内三雄(二九)△(五年)飯野親邦(三四)△(五年)志賀多恵子(二七)△(五年)是枝操(二六)
 懲役二年六月=五名=
(四年)石堂清倫(二九)△(六年)
川村恒一(三三)△(八年)村田定男(三二)△(五年)石岡松五郎(二八)△(五年)槙田清(二四)
 懲役二年=四名=
(五年)直井武夫(三六)△(五年)神道久三(三三)△(五年)金沢一馬(三二)△(三年)政川基司(三一)
 懲役二年(五年間執行猶予)=十三名=
(五年)大川新一(二九)△(五年)大村森作(二九)△(六年)忽那雄(三〇)△(五年)佐藤菊雄(二七)△(四年)大橋幸一(三一)△(四年)佐藤謙蔵(三〇)△(四年)平山忠尚(二七)△(五年)田中稔男(三一)△(四年)川関等(二七)△(四年)下田富美子(二四)△(五年)森岡嘉門次(三二)△(四年)斎藤勇(二六)△(四年)原きくえ(二五)
欠席=二名=(五年)旭国彰(二七)△(五年)高沖陽造(二七)△(五年)比嘉盛広(三〇)

拘留日数算入

左記被告に対しては左の如く未決拘留日数を算入された
 四百日 五十嵐、春日、安藤、長江、長尾、今野、雨森、片山、岸本、相馬、福本、河田、松尾、中尾、志賀、徳田、松浦、国領
 四百五十日 化牧、小西
 二百日 高橋、曾田、清信、稲葉、赤津、是枝、丹野、伊達、野田、藤沼、南、野下、飯野
 二百五十日 斎藤、石岡、安、西、細田、玉城、田中、井ノ口
 三百日 唐沢、政川、西
 百日 小椋、竜、渡部、赤島、田子、荻原、稲葉、坂田、清水、池之内、淡、岩田、遠山、直井、棚橋
 百五十日 芝、牧田、石堂、山我、市村、岡本、小暮、関根、川村、湊、内垣
 七十日 神道、蜂谷
 五十日 吉野

 

プロレタリアート独裁制度の実現 判決理由書内容

裁判長は左の如き判決理由を読みあげたる後法の適用に関し
 被告中には政正法律施行以前に検挙された者があるがこれ等に対しては旧法の重きをもって臨み改正法律によったものとの科刑の権衡を保たしめた、三田村は治安維持法違反と巡査に対する傷害罪とを併合科刑した
と説明した

 国際共産党コミンテルンは各国共産党の統一的世界共産党に結合せられたるものにしてプロレタリア〇〇運動の指導及びその組織者とし、また共産主義者の原理及びその目的の担当者として労働者階級並に広汎なる貧農層大衆のため共産主義の原則並に目的、プロレタリアートの世界独裁樹立の社会主義ソヴィエト共和国世界連邦建設及び共産主張の第一段階たる社会主義の実現などのために闘争することを標榜する結社なる
日本共産党は右国際共産党の日本における支部にしてその主張するところは現在日本の社会は資本主義の社会にしてその政治権力は資本家と地主との同盟の手裏にあり、これは封建制度の遺物に過ぎず少敷の資本家地主は生産手段の大部分を壟断して労苦大衆を搾取しこれに何等の政治的経済的権力を与うることがない、かかる階級社会にありては被搾取、被抑圧階級たる労苦大衆□□己をその抑圧窮乏より解放せんと欲せば搾取抑圧階級たる資本家地主と徹底的闘争をなすの外はない、既に資本主義発展の第一歩より資本家階級と労働者階級との間には階級闘争の行われること必然ではあるが当初その闘争たるや自然発生的且つ小規模にして日常的私益のための闘争に止るも資本主義発展に伴い次第に意識的として大規模且つ組織的とす単に日常的私益のための闘争に止らずひいて政治闘争に転化するに至りかつその間必ず労働者階級の私益を代表して闘争を指導し遂行する前衛を生じた、この前衛の結合が即ち共産党である、日本においても世界大戦後全世界における〇〇の波の昂揚と共にこの影響を受け階級闘争は激化発展し労働者階級は次第に前記の如き前衛の結合を欲求するに至りその結果日本共産党は結成せられたものにして日本においては前記の如く政権が資本家、地主の両階級の同盟の手裏に有する関係上プロレタリアート独裁への道は地主の廃絶労農独裁政冶の樹立によってのみ達成し得るものというべくこれ等の任務を遂行せんが為には共産党は常に一般労苦被搾取階級のあらゆる経済的日常要求につき闘争を煽動指導し、よってこれ等大衆の階級的意識を昂揚せしむると共に労働者農民その他被搾取大衆の間に闘争のための組織の結成並びにこれが拡大強化をはかり労働者と農民との同盟を堅くしその中にありて労働者の独裁を確保強化に努めこれ等諸大衆組織を外廓とし内に党を強化し全被搾取階級を影響下に誘引して権力奪取のための闘争に動員し総罷業や大衆の武装烽起等を統制指導しその威力により前記の如く労働者農民のソヴイエット政府を樹立し政権をその手に収めしめ大地主並に大資本、大企業等の無償浸収を行いプロレタリアート独裁を樹立し共産主義社会の第一段階たる社会主義を実現せしめ延いて共産主義社会の完成を期するものなりというにありて同党は最初大正十一年七月創立せられ次第に発展して今日に至ったものである


データ作成:2010.3 神戸大学附属図書館