「蟹工船」日本丸から、21世紀の小林多喜二への手紙。

小林多喜二を通じて、現代の反貧困と反戦の表象を考えるブログ。命日の2月20日前後には、秋田、小樽、中野、大阪などで集う。

世田谷のプロレタリア作家たち

2009-05-20 10:27:01 | 多喜二と同時代を生きた人々
<記録>

コレクションによる企画展
プロレタリア作家の世田谷 ― その文学と交友
平成15年1月18日(土)~3月30日(日)


昭和13年、中野重治は世田谷豪徳寺に居を構えた。

近隣には徳永直、橋本英吉、間宮茂輔、壷井繁治、黒島伝治、細田民樹、手塚英孝らプロレタリア文学の旗手たちが住んで創作活動を行っていた。

作家たちは戦時色が強まり思想弾圧が激化した時代に、自らが信ずる社会変革を作品にあらわしながら、ともに世田谷の地で過ごしていたのです。

 「種蒔く人」「文藝戦歌」など日本のプロレタリア文学運動を実践する雑誌が活動の拠点となり、平林たい子「施療室にて」(「文藝戦線」昭和2年9月)、中野重治「春さきの風」(「戦旗」昭和3年8月)、徳永直「太陽のない街」(「戦旗」昭和4年6月~11月)など作家たちの代表作が次々に発表されました。

中野重治の盟友、佐多稲子も中野に勧められて、デビュー作「キャラメル工場から」を「プロレタリア芸術」(昭和3年2月)に発表し作家活動を開始する。

 同コレクション展では、世田谷に住んだ若き作家たちが全存在を賭けて描いた作品と、彼らの交友にまつわるエピソードを、雑誌、書簡、原稿など約100点の資料で紹介。

 なお、同展は、地下の機関紙活動を描いた小説「虱」(「ナップ」昭和6年4月)や、戦後は小林多喜二・宮本百合子研究に尽力した評論家手塚英孝のご子息、手塚節造氏より英孝所蔵の貴重なプロレタリア雑誌の寄贈で実現したもの。



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1 コメント

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神はサイコロ遊びをする (グローバルサムライ)
2024-04-05 07:55:42
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタインの理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズムにんげんの考えることを模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本の独創とも呼べるような多神教的発想と考えられる。
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