戸袋の写真が出てきた。もう使うことはないとゴミ箱に捨てたが後味が悪い。それでもう一度それを取り戻して再検討してみた。戸袋や雨戸は海外ではあまり見られないそうだ。雨戸は平安・安土桃山時代にルーツがあるようだが、それが一般庶民が利用するようになったのが江戸時代だ。
当然、和風建築に戸袋がかかせないが、その素材は、木材・銅板・漆喰が使われた。画像左側は民家だったが、見事なデザインの木製戸袋(S)だった。今ではなかなか見られない。この写真を撮ったのは1980年代の品川大井中央通り商店街。今見ればかなり変わってしまったか、なくなってしまったかとしか考えられない。
中央の板張りの戸袋は8枚の妻板(R)からなる。こちらも右の民家の並びのそばだとは思うが場所を正確には特定できていない。また、画像右側は果物屋(E)だった。こちらは12枚の板からなる「妻板」戸袋で、おそらく住居だったに違いない。
商店街の中でも、比較的新しい金属製の戸袋もあった。当時としては時代の先端だったに違いない。1950年代からスチール製の戸袋が出始める。1960年代にはアルミ製が始まっていく。商店街としてはモルタルが圧倒的に多かったがそれは次回の楽しみに。
縦縞のスチール製戸袋があった。左の店は新聞販売所(H)だった。右はお弁当屋さん(M)だった。中央はスチールに吹き付けしたものと判断したが素人なので間違っているかもしれない。店は意外にも海苔屋さん(O)だった。
スチール製の横縞もいくつか散見された。左は赤茶色に塗装された歯医者さん(F)だった。中央は民間のアパート(G)で当時としてはモダンな様相だ。右は鉢物を愛しているらしい板金屋さん(Q)だ。今でも当たり前に見える風景だがひび割れの弱点があったモルタルを克服した画期的な戸袋でもある。