青年は対話の糸口を探していた。相手は職場の壮年。親子ほどの年齢差に、何度も躊躇した。だが、勇気を振り絞り仏法対話▼壮年の口から思わぬ言葉が飛び出した。「池田先生に会ったことがある」。壮年は、20代のころ、学会員の友人から仏法の話を聞いた。「一度、学会の行事に参加してみないか」▼行ってみると、偶然にも池田名誉会長と出会う。「どこから来たの?」「僕はまだ入会していないんです」「そうですか。でもよく来てくださいましたね」。別れ際に固い握手。初対面だったが、誠実で丁寧な姿に心打たれた、と▼驚くのは、今でも壮年の心に“あの日”の思い出が鮮烈に残っていたこと。御書に「仏種は縁によって起こる」(1467ページ、通解)とある。30年以上前に結んだ縁が、本年、青年の勇気の行動と重なって、見事に結実。壮年は入会した▼名誉会長の言葉を思い出した。「私は、小さな子どもに対しても真剣勝負である。一瞬の出会いでも全力をこめる。忘れないし、ずっと題目を送り続ける」▼話の上手下手、時間の長短ではない。相手の心を揺さぶるのは、一期一会の思いで、幸福と成長を願う、その誠実さであろう。そうした出会いを積み重ねてこそ、自らも真に輝く。
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