昼食を食べているときに以前アイコラにいたSさんが遊びに来た。
Sさんは人工内耳をつけたサイボーグ人間である。
耳の聞こえにくい人のために、補聴器という機器があるが、人工内耳とは、これとは根本的に違うものであるということがSさんの話でよくわかった。
ほとんど耳の後ろに取り付けられた、小型コンピューターである。
人間が音を聞くことが出来るのは、空気の振動である音を、鼓膜が物理的な振動に変換し、さらに蝸牛(かぎゅう)で音の周波数を分解し、低い音から高い音までを、電気信号に変換して、その信号を神経を通して脳におくり、脳が判断して、音を理解できるためである。
Sさんの人工内耳とは、この小型コンピューターだったのである。
蝸牛の働きを擬似的に作り出すために、低い音から高い音までを、わずか20本の電線に、変換された電気信号を乗せ、脳の中の音を判断する部分に、直接電線を埋め込む手術を、8時間にも及ぶ脳外科手術に耐え、実現したものである。
高度な技術と、知識を要する、この手術を、彼は京大病院でうけた。
手術は大成功し、彼の耳は機能を取り戻した。
この手術も今では保険が適用されるようになったが、5年前までは手術代が400万円、小型コンピューター代が100万円したという。
私はこんなにも身近にサイボーグ人間に出会えたことに感動した。
そんな彼も今では一般就職しているが、職場の仕事仲間が理解してくれなくて、困っていると訴えていた。
わずか20種類の音だけで、話の内容を理解しなければならないため、混乱して人の話が解らなくなる と 言っていた。
「さっき、いうたやろ。何回いわせんねん。」と 上司から言われて、何回首になったか知れないと言っていた。
このような困難と闘っている、聴覚障害者が日本には多くいるのである。
皆さんの回りにもいるかも知れませんよ?
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