知って得する!トリビアの泉
■コレがあったら、生活が、楽しくなる商品を、紹介しています。
■身近な出来事や、最近のニュースを面白く書いています。 ■ブログを探すには、人気blogランキングへ をクリックして下さい。
 



 青い空、緑の田んぼ。のびる線路に、1両だけの赤い気動車がゆく。日本の農村の原風景だろう。宮城県北部を東西に走った「くりでん」もそんな鉄道だった。くりはら田園鉄道は昨年春、惜しまれながら約90年の歴史を閉じた▼地元栗原市の依頼で廃線後の地域おこしを探っていた専門家が、岩手・宮城内陸地震で亡くなった。観光コンサルタントの麦屋弥生さん(48)と、鉄道博物館学芸員の岸由一郎さん(35)だ。当日は近くの湿原を見る予定で、温泉宿で市職員を待っていた▼麦屋さんは今年初めの市広報誌で市長と対談し、観光の役割を熱く語った。「自分たちの古里を再評価して、そこで生きていく自信をつけていく事業だと思います」。方言までも「この地の人と会って話さないと聞けない、究極の観光資源」とみていた▼岸さんは鉄道ファンの間では知られた人物だった。消えゆくローカル線の資料を残そうと奔走し、この人に救われた車両も多いという。くりでんの史的価値にも早くから注目していた▼週末の朝にもかかわらず、この地震では仕事中の受難が多かった。落石防止の工事現場では、まさに作業が始まったばかり。温泉宿の働き手は、朝ごはんの慌ただしさに包まれていただろう。そして、知恵を求められたプロ2人▼日本の観光資源の多くは、自然と歳月の産物だ。大地の営みは美しい景観や温泉の恵みをもたらすが、時に山ごと崩すほどの牙もむく。人の営みが瞬時にして土砂に消える。ここから地域をどうおこすか。今こそ聞いてみたい人がいない。




コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )