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 コーヒーで一服して部屋に戻ると、思いがけない結果をコンピューターが打ち出していた。4月に亡くなった米国の気象学者、エドワード・ローレンツ博士の「カオス理論」発見の裏話だ。

 1960年代の初め、博士はさまざまな気象モデルをコンピューターで試してみた。ある日、気候の長期変化を詳しく調べようと、数値を改めて打ち込み再計算させた。一服したのはこの後で、打ち出された予測は最初の計算と大きくかけ離れていた。小数点以下の値をどこまで入れるかの違いが生んだ意外な結果だ。

 カオス理論は時に「バタフライ効果」で説明される。チョウの羽ばたきのようにわずかな大気の変化が、めぐりめぐって竜巻のように大きな変化を引き起こす。初期値の小さな違いが、大きく異なる結果に結びつくのがカオス現象の特徴だ。

 予測困難なカオスが注目を集めたのも、きちんと計算すれば何でも予測できるはず、と思われていたからではないか。今や気候に限らず、予測困難な現象がこの世に満ちているのは明らかだ。

 しかし、だからといって、誤った予測で人々を幻惑するのは反則だ。後期高齢者医療制度の導入に当たり、厚生労働省は「所得の低い人ほど負担が減る」と説明してきた。ところが、先週公表した調査結果からは反対の実態が浮かび上がった。これは気象のように予測が難しいからだとは思えない。

 正誤が判定しにくいカオス的現象にかこつけ、自分に不都合な実験結果を隠すような不正が起きるかもしれない。91年、京都賞受賞の記念講演でローレンツ博士はそう警鐘を鳴らした。科学以外の世界にも通じる「カオス理論の父」の慧眼(けいがん)である。





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