知って得する!トリビアの泉
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 電話口で「心がピシピシッと音を立てて氷結していくのがわかった」という。05年、06年と続けて架空請求の詐欺に遭った日向野(ひがの)利治さんだ。体験が『実録詐欺電話 私はこうしてだまされた』(すばる舎)にある▼妻に先立たれた寂しさから、ある種のサイトをのぞいたことがあった。だから、どすの利いた声に脈拍は上がり、全身から汗が噴き出したそうだ。ご本人は経済評論家。「不名誉」は人知れず片づけたいとも考えた▼先週末、振り込め詐欺の被害者救済法が施行された。裁判をしなくても、金融機関が凍結した口座からお金が戻ってくる道が開かれた。とはいえ、まずは電話への備えを巡らせたい。なにしろ、70歳に近い日向野さんにして「人生でいちばん怖くて長い時間」なのだ▼息子や孫になりすますオレオレ詐欺では、警察官や弁護士役が入れ替わり出てくる劇団型も多い。警視庁の調査では、被害者の約3割が銀行員らの警告を振り切って送金していた。それほどの演技なのだろう▼増えているのは還付金詐欺。役所を名乗る人物から税金や保険料を返すと言われれば、誰しも前のめりになる。去年の年金、今年の高齢者医療。社会不安を巧みにとらえた話術が、善人を無人ATMにいざなう▼虚栄、親心、お金、異性、健康。どこを突かれても大丈夫な人はそういない。不意の電話に「氷結」した心は、だまされやすくもなる。これだけの被害情報を前に、呼び出し音にすら身構える人が多いのではないか。なのに、毎日約1億円が冷たい穴へと消えている。





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 ススキが幽霊に見えたり、空の雲が羊の群れのように思える錯覚を、専門用語で「パレイドリア」という。よく経験するのは、模様やシミが人の顔のように見える錯覚で、むろん偶然と分かっていても気になるものだ▲70年代に火星上空から探査機バイキング1号が撮影した写真に、人の顔のような地形が写っていた。人面岩と呼ばれ、「人工物か」と話題になったが、その後の観測で不規則な形の岩塊にすぎないと分かる。パレイドリアの一例である▲火星をめぐる錯覚といえば、その地表の「運河」も有名である。19世紀のイタリアの学者が「溝」と名づけた地表の模様が英語で運河と解釈され、知的生命体による人工物と想像された。しかし、これも観測が進むと一部の自然地形を除いて、そんな地形は存在しないと分かった▲怖いと思うとススキが幽霊に見えるように、人が火星に人工的な造形の幻を見るのも地球外生命の存在を期待していたからだろう。その生命存在の可能性を探りに火星へ着陸した米NASAの探査機「フェニックス」から、地表のすぐ下の氷の存在を裏付ける画像が送られてきた▲生命存在の前提となる水だ。それが確認できたのは氷と見られる地面の白い物質が時間経過と共に消滅したからという。白い物質は氷か塩に違いないが、気化したので氷と断定できたのだ。こちらの消滅は、錯覚による幻とはかかわりなかった▲フェニックスは今後も土壌を採取し、水や有機物の存在を調査する。さて、地球の私たちは太陽系で孤独なのか、どうか。仮に探査がそれに悲観的結論を下したとしても、まだ幻を見るわずかな余地は残してほしい気もする。





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