
(よみ)
①今容貌必ず(端)しく、言語必ず正しき者は、是れ独り其の身のみ善くし、人に如何と道(い)ふを要(もと)むるを道(い)ふに非ず。
②君子親しんに篤ければ、則ち民仁じんに興る。故旧遺(わす)れざれば、則ち民(偸)からず。
③諸卿大いに無道を為し、過ぐる所皆な老弱を夷滅し、社稷を溺らし、(井竈)を汚す。
④議論如何、(廻飆)渚を払う。
⑤九廟を造起し、土作を窮極す。河東を(発冢)し、丘壟(きゅうろう)を 攻劫(こうごう)す。此れ其の地に逆らふの大罪なり。(注)河東は地域・地名。
(かき)
①老いたる者は帛を衣て肉を食し、(レイミン)は飢えず寒(こご)へず、然り而して王たらざる者は、未だ之れ有らざるなり、と。
②庠序教へを謹みて、これを申(かさ)むるに孝悌の義を以てせば、(ハンパク)の者は道路に負戴(ふたい)せず。
(注)①~②の文意: 老いたる者が帛を着て肉を食し、民衆は飢えず寒えず、このような治世を為して王者とされぬ者は、未だ嘗てあったことはありません、と。このように民の生活を安んじた後に、学問を興して教導し、更には孝悌の義を以て人たる道を薫陶すれば、自然と風俗は改まって、しらが頭の老人が荷物を背負って道に在ることすら無くなるでしょう。
(注)庠序(しょうじょ):古代における学問所。学校。 負戴(ふたい):荷物を背や頭にのせて運ぶこと。苦しい労働。
③書に曰く(タイヘキ)に疑はしきは赦すべしと。 (注)タイヘキ:五刑の一。死刑。死罪。大きな刑罰。
④又た曰く、其の(フコ)を殺さんよりは、寧ろ不経に失せよ、と。 (注)フコ:無実。また、無実の罪をこうむった人のことを指す場合もある。
⑤ 非礼の謂ひは、升降揖遜の儀、鋪筵(セッキ)の文に非ざるを謂ふ。 (注)セッキ:机を設けること。
<回答・解説>はこのあとすぐ(^^)


<回答・解説>
(読み問題)
①(ただ):端:中学…タン、はし、はた 高校…は 準1…はな、ただ(しい)、はじ(め)1級…はした
②(うす):文意:上に在る者が、その親しむべき所に親しめば、民は感化されて仁愛の心を興し、旧き交わりを大切にすれば、民は感化されて忠厚の心を興す。偸:トウ、チュウ、ぬす(む)、かりそめ、かろ(んずる)、うす(い)
③(せいそう):井戸とかまど。民の生活に必要なもの
④(かいひょう):つむじ風。回風。 「廻飆渚を払う」:つむじ風が水際で舞って水しぶきと共にさらっていくさま
⑤(はっちょう):墓荒し。九廟(きゅうびょう):祖廟。祖先をまつる九つのみたまや。。丘壟(きゅうろう):墳墓。丘隴に同じ。攻劫(こうごう)攻めて脅かす。(文意)祖廟を造起するに人民を苦役させ、河東は荒れ果てて人々は祖先の墓も守ることができぬ有様である。冢:チョウ、つか、おお(きい)、かしら (参) 劫:コウ、ゴウ、キョウ、おびや(かす)、かす(める)
(書き問題)
① (黎民):人民、万民、庶民。「黎」は黒。冠をかぶらず、黒髪をむき出しにしていることからいう。庶民、人民の言い方は、周では「黎民」、秦では「黔首」(ケンシュ)といった。対義語・類義語問題で「黎元」で出題されたことがありましたね。
②(頒白):白髪交じりの毛髪。また、その人。ごま塩頭。「班白」とも「半白」とも書く。 頒: 中学…ハン 準1…まだら、わ(ける)、し(く)
③(大辟):問題文(注)のとおり。
④(不辜):問題文(注)のとおり。 不経(ふけい)常法に背くこと。道理に合わないこと。大きな罪。
③~④の文意:書経に曰く、死刑の如き大罰において疑わしきが存するならば減刑せよと。また云う。無辜の民を殺さんよりは、むしろ常法に沿わずとも許せ、と。
⑤(設几):机を設ける。また、祭礼や儀礼のときにひじかけと敷物を設けたことから、礼あることをいう。 升降:昇降。上り下り。栄枯盛衰。揖遜:(ゆうそん)揖して譲る。揖は手を前に組む推手の礼と手を胸につける引手の礼をいい、相手を礼することを指す。舗筵(ほえん):むしろをしくこと。席を定める意。
ちょっと易しかったでしょうか(^^:)
ではまた・・・。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます