
<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>
●1級チャレンジャー用の模擬試験問題(第12回)です。難易度は前回と同程度と思いますが、どうでしょうか。なお、間違っているところやご不明な点などあれば、遠慮なく・・・というか、ぜひお知らせください。歓迎いたします。ただし、問題に対する補足説明は、未着手の他の方の手前、出来かねるかも知れませんが、「何処何処を見れば(調べれば)分かります」という程度のヒントや返事はできるかも知れません。いずれにしろ、なんなりとコメントください👋👋👋


<訂正>(09012342)(一)17.の解答モレを修正。(四)の語群を一部修正。(六)の6.の解答を修正。
<訂正>(09021601)(一)の2.の読みの解答を一部修正。
<syuusyuu 漢検1級 模擬試験問題(チャレンジャー用) 第12回>
(一) 次の傍線部分の読みをひらがなで記せ。1~20は音読み、21~30は訓読みである。(30)1×30
1.艱疾に罹る
2.膃肭とした体形である
3.綽楔とは旌表と同義で、善行をほめ表す言葉である
4.この壁を縋登する
5.醪醴を飲する
6.何人にも悾悾と接する
7.縺縷をもって寒さを凌ぐ
8.擲骰し、勝つ者を直とす
9.春初の早韮、秋末の晩菘
10.孼嫡の争いが起る
11.皇太子は絳靺を着す
12.草の実を屮実という
13.諸郡から国へ彙繳す
14.長耜で鋤く
15.兵廝逋亡し、諸舫中に竄る
16.腆愧赧顔す
17.屓護されるべき稚児がいる
18.寔に忝幸の至り
19.山川の倬詭、名奇にして称さるべし
20.貧者に恤匱する
21.掖んで殺すことを掖殺(エキサツ)という
22.章甫を沓に薦く
23.心に称えば足り易し
24.10人がけの早さで夲む
25.蕈は桑の木や根に生えるきのこである
26.饐えた臭いがする
27.まるで萍の生活のようだ
28.遽しく急ぎ足で遠ざかる
29.ここに曁るまでが大変だった
30.蟻い裳裾を身に着ける
(二)次の傍線部分のカタカナを漢字で記せ。(30)2×15
1.棍棒を振りカザしながら嚇す
2.ジュンラ隊を組織して警護する
3.模試問題がカイザンされた
4.勝手に人の話にヨウカイする
5.中枢神経がマヒした
6.シンギンしながら問題を解く
7.カノトトリの年は変事が多い
8.コクタンは家具などに珍重される材だ
9.とても耐えがたいジョクショだ
10.かつては日本にコウノトリは普通に棲息していた
11.ヒョウと霰が混じって降る
12.世に入れられず、ゴイを歌う。
13.日本語のゴイが豊富な人だ
14.シビを拝す
15.屋根にシビを設えた
(三)次の傍線部分のカタカナを国字で記せ。(10)2×5
1.カケスは樫の実を好む
2.クヌギはブナ科の落葉高木である
3.カスガイは戸をとざす金具のことだ
4.谷の行きづまりをサコという
5.狗母魚とはエソのことだ
(四)次の1~5の意味を的確に表す語を下の語群から選び、漢字で記せ。(10)2×5
1.安らかにやわらぐこと、国家の無事太平なこと
2.人民、群民
3.俗語、ことわざ
4.からみ縛ること、足手まとい・係累、また、煩悩のこと
5.最も大切に保存された本。宝書。
<語群>
(てんばく、りょうじょう、ぐんれい、ひきゅう、てんき、きんき、げんご、せいげん)
(五)次の四字熟語について、問1と問2に答えよ。 (30)
問1 次の四字熟語の(1~10)に入る適切な語を下の語群から選び漢字二字で示せ。
(20) 2×10
1.ア ( )沈滞
2.イ ( )屹立
3.ウ ( )十起
4.エ ( )居壁
5.オ ( )冬扇
6.カ 栄諧( )
7.キ 運水( )
8.ク 泣斬( )
9.ケ 玉兔( )
10.コ 騎驢( )
<語群>
(しっしゅつ、ぎぜん、こうれい、べきろ、はんさい、いび、いっき、ぎんせん、ばしょく、かろ)
問2 次の11~15の解説・意味にあてはまるものを、問1のア~コの四字熟語から一つ選び、記号(ア~コ)で記せ。(10)2×5
11.人物が他よりひときわすぐれているさま
12.24節気72候の一つ、小暑の中の名称
13.天下の法は私情で曲げられないこと
14.仏教用語で日常生活のこと
15.身近にある物を、わざわざ他に求めるおろかさのこと
(六)次の熟字訓・当て字の読みを記せ。(10) 1×10
1.海鞘 2.水爬虫 3.海鷂魚 4.鉄刀木 5.誓湯 6.宿花 7.白地 8.糸葱 9.髪菜 10.鶤鶏
(七)次の熟語の読み(音読み)と、その語義にふさわしい訓読みを(送りがなに注意して)ひらがなで記せ。 (10)1×10
ア.1.彎弓 ― 2.彎く
イ.3.遉邏 ― 4.遉る
ウ.5.鈔掠 ― 6.鈔める
エ.7.闢邪 ― 8.闢ける
オ.9.韜世 ―10.韜む
(八)次の1~5の対義語、6~10の類義語を下の語群から選び、漢字で記せ。語群の語は一度だけ使うこと。(20)2×10
<対義語>
1.醇朴 2.駑鈍 3.安泰 4.栄達 5.倨傲
<類義語>
6.隠居 7.繋縛 8.親昵 9.斧鉞 10.正鵠
<語群>
(しっこく、さいり、らくはく、てんざん、けんよく、こうけい、べっこん、きたい、ろうかい、へいきょ)
(九)次の故事・成語・諺のカタカナの部分を漢字で記せ。 (20)2×10
<故事成語類>
1.大羹は和せずしてイミあり
2.昨日の錦、今日のツヅれ
3.天にシフ無く、地に私載無く、日月に私照無し
4.一夫耕さざれば 天下其のキを受く
5.コウキョウで親の頭を打つ
6.ヨウキュウ変ぜず
7.フンせざれば啓せず、非せざれば発せず
8.良工はクサクの中に習う
9.鼠を以てハクとなす
10.ヒキン説ばざれば修遠を務むる無かれ
(十)文章中の傍線(1~10)のカタカナを漢字に直し、傍線(ア~コ)の漢字の読みをひらがなで記せ。 (30)書き2×10 読み1×10
(A)「(抽斎の死)・・・八月二十二日に抽斎は常の如く晩餐の饌に向つた。しかし五百が酒を (ア)侑めた時、抽斎は下物の魚膾に箸を下さなかつた。「なぜ上らないのです」と問ふと、「少し腹工合が悪いからよさう」と云つた。翌二十三日は浜町中屋敷の当直の日であつたのを、(1)ショロウを以て辞した。此日に始て (2)オウトがあつた。それから二十七日に至るまで、諸証は次第に険悪になるばかりであつた。
(注)ショロウ:疲れ、病気、わずらい。(広辞苑所載)
・・・抽斎は時々(3)センゴした。これを聞くに、(4)ムビの間に『医心方』を (イ)校合してゐるものの如くであつた。
・・・比良野貞固は抽斎の歿した直後から、(ウ)連りに五百に説いて、渋江氏の家を挙げて比良野邸に寄寓せしめようとした。貞固はかう云つた。「自分は一年 前に抽斎と藩政上の意見を異にして、一時絶交の姿になつてゐた。しかし抽斎との(5)ジョウギを忘るゝことなく、早晩 (エ)疇昔の親みを回復しようと思つてゐるうちに、図らずも抽斎に死なれた。自分はどうにかして旧恩に報いなくてはならない。自分の邸宅には空室が多い。どうぞそこへ移つて来て、我家に住む如くに住んで貰ひたい。自分は貧しいが、日々の生計には余裕がある。決して衣食の価は申し受けない。さうすれば渋江一家は寡婦孤児として受くべき侮りを防ぎ、無用の費えを節し、安んじて子女の成長するのを待つことが出来よう」と云つたのである。・・・」(鴎外・渋江抽斎)
(B)「・・・父竜池の後を継いで二世藤次郎となった子之助は、継母三村氏すみその他の親族、最故参の金兵衛以下大勢の手代の手前があるので、暫くは謹慎を守っていたが、四十九日の配物が済んだ頃から遊所に通いはじめ、漸く馴れては傍人の思わくをも顧みぬようになった。女房はまだ部屋住でいた時に迎えて、もう子供が二人ある。里方は深川木場の遠州屋太右衛門である。しかし女房も岳父もただ手を束ねて傍看する外無かった。
王侯貴人が往々文芸の士を(6)ラチして、声威を張り(7)ギヨウを飾る具となすように、藤次郎は俳諧師、狂歌師、狂言作者、書家、彫工、画工と交って、その多数を待つことほとんど(オ)幇間と択ぶことが無かった。父竜池は(カ)毎に狂歌を弄んだが、藤次郎はこれに反して主に俳諧に遊んだ。その友を集えた席は、長谷川町の梅の家、万町の柏木亭等であった。・・・」(鴎外・「細木香以」)
(注)ラチ:鳥を網でとるように人を招き集めること
(C)「・・・(キ)婢は幼くして吉原の(ク)大籬に事え、忠実を以て称せられていた。その千住の親里に帰ったのは、年二十を踰えた後である。 婢は「おいらん」を以て人間の最も尊貴なるものとしている。公侯伯子男の華族さんも、大臣次官の官員さんも婢がためには皆野暮なお客である。貸座敷の高楼大厦とその中にある(ケ)臧獲とは、おいらんを奉承し装飾する(コ)所以の具で、貸座敷の主人はいかに色を壮にし威を振うとも此等の雑輩に長たるものに過ぎない。 婢の思量感懐は悉くおいらんを中心として発動している。婢の目を以て視れば、吉原は文、吉原以外は野、吉原は(8)カ、吉原以外は (9)イである。それは吉原がおいらんのいますレジダンスだからである。「・・・よしや、何かお話をしておくれ」と弟が云う。よしは婢の名であった。・・・ 芥川氏の所蔵に香以の父竜池が鎌倉、江の島、神奈川を歴遊した紀行一巻がある。(10)ジョウボクし得るまでに浄写した美麗な巻で、一勇斎国芳の門人国友の挿画数十枚が入っている。・・・」(鴎外・「細木香以」)
(注)臧獲:召使い・のこと
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<syuusyuu 漢検1級 模擬試験問題(チャレンジャー用) 第12回 標準解答>
(一)
1.かんしつ 2.おつどつ(「おつとつ」「おっとつ」でも可かも) 3.しゃくけい 4.ついとう 5.ろうれい 6.こうこう 7.れんる 8.てきとう 9.ばんすう(大漢和では「ばんすう」。「ばんしゅう」と読んでいる辞典等あったらご教示ください) 10.げっちゃく 11.こうまつ 12.そうじつ 13.いきょう 14.ちょうし 15.ほぼう 16.たんがん 17.きご 18.てんこう 19.たくき・たっき 20.じゅつき
21.わきばさ 22.し 23.かな 24.すす 25.くわたけ 26.す 27.うきくさ 28.あわただ 29.いた 30.くろ
(二)
1.翳 2.巡邏 3.改竄 4.容喙 5.麻痺 6.呻吟 7.辛酉 8.黒檀 9.溽暑 10.鸛 11.雹 12.五噫 13.語彙 14.芝眉 15.鴟尾・蚩尾
(三)
1.鵥 2.椚 3.鎹 4.逧 5.鱛
(四)
1.恬熙 2.群黎 3.諺語 4.纏縛 5.秘笈
(五)
問1
1.ア萎靡 2.イ巍然 3.ウ一饋 4.エ蟋蟀 5.オ夏鑪(夏炉) 6.カ伉儷 7.キ搬柴 8.ク馬謖 9.ケ銀蟾 10.コ覓驢
問2
11.イ 12.エ 13.ク 14.キ 15.コ
(六)
1.ほや 2.たがめ 3.えい 4.たがやさん 5.くかたち・くがたち 6.よみはな 7.あからさま 8.あさつき 9.いぎす 10.とうまる
(七)
1.わんきゅう 2.ひ 3.ていら 4.さぐ 5.しょうりゃく 6.かす 7.へきじゃ 8.しりぞ 9.とうせい 10.つつ
(八)
1.老獪 2.犀利 3.危殆 4.落魄 5.謙抑
6.屏居 7.桎梏 8.別懇 9.点竄 10.肯綮
(九)
1.遺味 2.綴 3.私覆 4.饑 5.孝経 6.鷹鳩 7.憤 8.矩鑿 9.璞 10.比近
(十)
1.所労 2.嘔吐 3.譫語 4.夢寐 5.情誼 6.羅致 7.儀容 8.華 9.夷 10.上木
(ア)すす (イ)きょうごう (ウ)しき (エ)ちゅうせき (オ)ほうかん (カ)つね (キ)ひ・はしため (ク)おおまがき (ケ)ぞうかく (コ)ゆえん
👍👍👍 🐑 👍👍👍
さて、ざっと解いてみました。これまでの傾向通り(一)音読み、(九)が難解の一方で、(二)、(八)は比較的易しい印象です。
ところで、重箱の隅をほじくるようなコメントは本意ではありませんが、2,3確認したい件もありますので以下に記します。
(一)2.「おつどつ」では?
3.「楔」に「けい」の読みはないと思うの で「しゃくけつ」では?
17.解答が欠落しています。
(四)2.語群に正解がみつかりません。
1~11回の模試をこなしていると、「どこかで見たな」という問題もあって、作問に工夫のあとが見られて感心しました。それではまた。
第10回で、点数の誤差が僅かしかないことをコメントしましたが、
またしても153点で、驚きを通り越してちょっと怖いです(汗)
難易度調整の秘訣があるのでしょうね。
僕からも1点だけ。
(六)6は、過去の記事では「よみはな」となっていますが、
両方OKでしょうか?
(一)の2と3については、再度調査してきますので、しばらくお待ちください・・・(2.は私も何度も確認して記憶があるのですが両辞典ともたしかに解答に記したとおりなのですが・・・)いずれにしても2.3.ともに解答のとおりだとしたら現行読みに無いのを出したということでお叱りを受けそうですが
(六)の6、間違いにはしないでしょうが、濁音にしない解答に修正しました。漢検さんも広辞苑も濁っていませんでした・・・濁っていたのは私の頭の方だったようです(苦笑)
すみませんが、もう1点質問があります。
(十)の(ウ)の送り仮名を、
原文の「連に」から「連りに」に変えていますよね?
これは、漢検は「連に」では出題しない可能性が高いということでしょうか?
もしくは、ただ単に、書籍の掲載に則って変更しただけでしょうか?
調べたところ、尾崎紅葉、幸田露伴、徳田秋声なども、
「連に」と書いていて、出題する意味が無いわけでは無いように思ったのですが…。
あと、他のブログで「連に」を問題にされている方がいらっしゃったのもあって、
わざわざ変更された理由が気になってしまいました。
ちなみに、参議院法制局のHPによると「膃肭獣」は「おっとつじゅう」と読むそうで、
「おっとつ」は国のお墨付きかもしれません(笑)
他のブログのことはわかりませんが、ちょっと不親切かも・・・私の記憶では、これまでこの種の送り仮名の問題で漢検さんが昔風の送り仮名のまま出題したケースは知りません。・・・「オツトツ・オットツ」・・・ありがとうございます(笑)ま、納得いくように私なりに再調査するつもりです。
問題作りの大変さが伝わってきます。改めて感謝です。
勉強していて、送り仮名はどこまで対応できるようにすればいいのか、
悩むことが多かったので、すごくスッキリしました。
音読みにもスッキリする「基準」があればいいんですが…(苦笑)
②「綽楔」:大漢和・字通ともに「しゃくけい」。なぜ「ケイ」なのか、現行になくてもそういう読みがあるのかも調べましたが、なし。また、他の漢字の通用かとも思いましたが、そういう説明もなし(「木+長」の字のこととの説明が大漢和にあるも、その字は「トウ、チョウ」の読み)。結論(両辞典ともそう読んでいるので)「シャクケイ」とする。ちなみに、、他の「楔」がらみの熟語はすべて「ケツ」か「セツ」読みでした。
【膃肭】は複数の正答があるケースのようですね。実は以前、「ボクちゃん日記」で紹介されていて、「おつどつ」がインパクトのある読みなので記憶に残っていました。
【綽楔】は「しゃくけい」ですか...かなり特殊な読みなので、混乱するといけないので忘れることにします(笑)。なお、過去問では23-2で「楔状」が出ています。標準解答は「けつじょう」ですが、「せつじょう」は許容されるのですかね。
こんな文章を発見しました。
長すぎて、まだ全然読めていないので、
役に立つかは分かりませんが、参考までに載せておきます。
http://www.kanken.or.jp/project/data/investigation_incentive_award_2014_nisijima.pdf