人生の謎学

―― あるいは、瞑想と世界

ジッグラトの謎

2008-08-12 09:42:46 | 建築
■「創世記」第11章によれば、人類はノアの大洪水ののち、バビロニアの地に煉瓦で町と塔を建て、その頂を天に届かせようとしました。神はこれを人間の自己神化の試みとみて、それまでは一つだった人類の言語を乱し、人間が互いに意志疎通できないようにしたといいます。このバベルの塔の物語の背景には、文化史的な事実があり、バビロニア各地に33基の聖塔、つまりジッグラトが建造されていたことが知られています。
バベルの塔は西欧近世の絵画にしばしば登場し、ルネサンス期以後は螺旋状に廊のめぐる巨大な円錐形の塔が描かれるようになりますが、塔の威圧的な全貌は「ヨハネの黙示録」の記述にもとづき、やがて大風や雷によって崩壊する様が描かれることとなります。――神々が降り立って安息するための神殿としてのジッグラトと、バベルの塔の高所衝動とは、その目的において対照的です。

〈ジッグラトの謎〉_1

〈ジッグラトの謎〉_2


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