人生の謎学

―― あるいは、瞑想と世界

黒洞々たる夜

2010-10-31 00:51:57 | 異界羅城門
 そもそも、饑死をするか盗人になるかの二者選択を迫られるような状況の深刻さを考えれば、どちらを選ぶかに疑問の余地はないと思えてならない。盗人になるといったところで、当面の飢えをしのぐだけのことで、生命の成否を賭した一回かぎりの、消極的で小さな必要悪かもしれない。――饑死をする可能性がたぶんにある状況を考えれば、悪事は悪事であるが、生きるためにするその悪事には、犯罪というよりもむしろ、生存本能による . . . 本文を読む

応天門の怪火をめぐって

2008-07-22 16:12:43 | 異界羅城門
■八六六年の閏三月十日、平安宮大内裏の正門、応天門から出火し、同門をはじめ棲鳳楼、翔鸞楼などの建物が焼失しました。しばらくすると、時の右大臣藤原良相と大納言伴善男は、放火の首謀者は左大臣の源信であると主張します。 しかし八月三日、左京の備中権史生大宅鷹取が、真犯人は伴善男とその子中庸であると訴え出て、これを受けての尋問に対して、善男は頑なに否認するものの、その僕従、生江恒山と伴清縄が拷問によって、 . . . 本文を読む