人生の謎学

―― あるいは、瞑想と世界

ゴヤ 《ゴヤと医者アリエーダ》

2012-05-15 05:19:12 | 人と作品
 1819年、ゴヤは生涯で三度目となる瀕死の重病に陥った。その翌年、一枚の絵を描いた。  ――医者に抱きかかえられ、煎じ薬を与えられる息もたえだえの病人、ゴヤの姿には、生死の境にある人の急迫したリアルな印象がある。衰えた皮膚は白くむくみ、鼻と頬の間に深い皺が刻まれ、口元には力がなく、眼は朦朧と宙をさまよっている。手が弱々しくベッドのシーツをつかんでいるところが、そこだけ辛うじて生への執着の弱々しい . . . 本文を読む