人生の謎学

―― あるいは、瞑想と世界

スティーブン・ドビンズ『奇妙な人生』

2008-11-24 21:49:00 | 世界文学
■詩人でもある小説家スティーブン・ドビンズの長編小説『奇妙な人生』は、おそらくはラテンアメリカの一都市を舞台にしている。 半年に一度、持ちまわりで夕食会を開いている十六人の同窓生のグループを中心にした物語である。 ダニエル・パチーコは中学生の当時からグループのリーダー格で、現在でも外科医として活躍し、裕福な生活を営んでいる。彼らにとっての忘れがたい経験によって、彼らは奇妙な連帯感で結ばれていた。 . . . 本文を読む

トーマス・ヘッチェ 『夜(NOX)』

2008-07-02 03:27:48 | 世界文学
■世界と自己、その表層と内部を、変化しつづける現在として、包括的に記述することは、きわめて困難なことです。 現実に対する自己意識の位相を、叙述するという行為において、いわば世界内存在として実現するということは、ひどく抽象的な問題をふくんでいます。 トーマス・ヘッチェが「文学のあらゆる手段を駆使して世界を理解したい」というとき、言葉と表現における現実可能性の質が問題となり、そこではしばしば、現実を問 . . . 本文を読む