その夜のことを思い出すと、私はいまだに奇妙な気分になる。その種の体験を頻繁にする人なら、合理的な解釈がしやすいのだが、気質的にも体質的にも、私はそういうタイプではない。
――その日はふつうに仕事から帰ってきたのが夕方近くで、私はすぐに風呂に入った。一日の仕事としては楽なほうで、身体に疲れを覚えることもなく、風呂から出ると自室で雑用をした。やがて七時になり、私たちは夕食をとった。――私たち夫婦の生活 . . . 本文を読む
■先夜、NHKのBS放送を見ていたら、超人的な記憶力の達成に挑戦する人たちを追うドキュメント番組があった。それは一種の競技として、記憶力の限界に挑むというもので、脳の機能の向上と、膨大な情報をいかに処理するかが、超人的な記憶力の達成のために不可欠であるということが「達人たち」の共通した認識のようであった。競技のひとつは、任意にまぜたトランプの順序、配列を、所定の時間内に、どれだけたくさん記憶するこ . . . 本文を読む