■このブログでは今後、神秘思想やオカルティスム、奇跡や奇想についての知見を、興味本位のものではなく、あくまで学際的にとりまとめていきたいと考えていますが、この場合の認識の基盤となるもののひとつに、運命とか宿命とかという概念があります。
ここでは運命というものの特質を考えるうえで、無視することのできないある伝説的な人物の生涯を、ごく大雑把な素描ながらも、その要点をまとめてみました。
《オイディプ . . . 本文を読む
■私は以下のようなことをブログに書くことが、他人の目にいかにコッケイにうつるか、よく自覚しています。言葉でなにかを構築してゆくというとき、かならずこういう客観意識の掣肘がはたらきます。しかしやはり、そういうことはのりこえてゆきたいと思います。
■人はなぜ苦しむのか。――いったい、この苦しみに、どんな根源的必然性があるというのか。
私たちは、苦しみや悲しみの概念的象徴性にまどわされ、その印象に押し . . . 本文を読む
■爬虫綱有鱗目のイグアナは、全身が細かい鱗に覆われ、背中の線上に長い棘状の飾り鱗が並んでいます。ガラパゴスのリクイグアナは、ウミイグアナと共通の祖先から進化したと考えられ、溶岩台地にわずかに芽吹く木の葉などを餌としていますが、サボテンも彼らの好物です。ウチワサボテンは、もともと地上を這うようにして育っていましたが、花や果実をリクイグアナから守るために、次第に幹を高くのばし、大きなものでは10メート . . . 本文を読む
■この瞬篇小説は、本文を書き上げることよりも、図版(誌面)を製作することのほうが、よほど大変で、時間がかかります。
こういう、ざくっとした、大雑把な作品が、私はけっこう好きです。
《さかだち》_1
《さかだち》_2
《さかだち》_3
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■この短篇は、最後の二行を書きたいために記述した作品です。
人との出会いや別れは、ふしぎな何かを秘めています。そこには「契機」というものが強く介在し、その展開や結末が、どうしても合理的に解釈できない場合すらあります。この物語のように、若い男女の場合はなおさらです。後になって、たとえある意味の真実に気づいたとしても、そのときにはもう、かけがえのない人に、ひとことの言葉すら返すことができないこともあ . . . 本文を読む
■[1] 夢は実体か
――私たちの平均睡眠時間が八時間とすると、これは一日の三分の一に相当します。人生を八十年とすると、二十六年間以上は眠っていることになります。
心身を休める睡眠の効用は重要ですが、それにしても八十年のうちの二十六年間を睡眠に使っているとは、何か惜しいような気になってきます。
しかしながら、眠りには夢というものが含まれています。もし夢の出来事を、現実あるいは現実に準じた体験とし . . . 本文を読む
■神話学の世界的な権威、ジョーゼフ・キャンベル(1904~1987)が、その著作によって映画《スターウォーズ》シリーズに多大な霊感を与えたことは、すでによく知られています。監督のジョージ・ルーカスは、キャンベルに直接、「あなたの著作がなければ、スターウォーズは生まれなかった」と告白しています。(――まったくの蛇足ですが、私個人はユング心理学の道すがら、キャンベル神話学に相当多くのことを学んだものの . . . 本文を読む
■どこかの家の窓辺のガラス戸越しに、外を眺めている猫がいるのを、ふと目に止めることがあります。そういうとき、猫がしずかな様子でじっとしたまま、端正なポーズなどをしていると、そこにちょっとした絵画的な面白味がたたえられたりもします。
私も、自分のウチの猫が、外観からそんなふうに見えることの「意外さ」に笑いをこらえ、自宅の窓辺にいるネコの写真を撮りました。「マエハタ」という名前で、同じ名前をつけた . . . 本文を読む
■ホラー小説《十七人》の成立過程では、シアトル在住のある日本人女性とのメールでのやりとりが、重要な役割りを演じる結果となりました。――かつて私が、SNSブログの「mixi」に書いた体験談『十七人』に対して、彼女から何気ない一言が寄せられたことが、すべてのはじまりでした。
実話体験として、私が「mixi」に書いた内容は、以下のようなものです。
二十代のはじめの頃に私が乗っていた普通自動車に、ある夜 . . . 本文を読む
■これ以上ないほど短いので「瞬篇」小説です。《夢の痛み》は夢の不可解さをテーマとしています。
夢のなかでふと、これが果たして夢なのか現実なのかが分からなくなり、身体の一部――多くの場合、それは手の甲や頬をつねる、という行為でなされますが――を刺戟して、そこに痛みを感じることで、自分が現実のなかにいる、ということを実感的に確認する場合があります。私はこのことに着目して、もし今を取り巻く出来事が夢か . . . 本文を読む
■私はここで、西行の歌と生涯を考えるうえで、なにがしかのイメージづくりに貢献するはずの、いくつかの伝説について、かんたんに整理しておきたいと思います。それはいささか通俗的すぎるきらいがあるかもしれませんが、私はかるい気持ちで考えたいと思います。
西行が〈願はくは花の下にて春死なんそのきさらぎの望月のころ〉と詠み、やがてその願いを安らかに遂げたことは、いまさら話題にするのも恥ずかしいくらいに広く流 . . . 本文を読む
■トム・クルーズが製作、主演した2001年のアメリカ映画《バニラ・スカイ》は、アレハンドロ・アメナバール監督によって1997年に発表されたスペイン映画《オープン・ユア・アイズ》のリメイク作品であり、ストーリーもほぼ同じ内容のものとなっています。トム・クルーズ主演のほうはキャメロン・クロウが監督していますが、どちらがより優れているかというようなことは、結局は好みや見解の相違によるものと思います。
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■私はホラー映画が好きでよく観ますが、これにつきものの残虐シーンに興奮するというわけではなく、もっぱら哲学的な興味から、この種の映画には「死」や「不合理」な出来事について考えるためのヒントがちりばめられていると思っているのです。それは人生の実相を追求するうえでのよすがになります。
このページで発表するホラー小説『鏡のなかの幽霊』(8ページ)は、実はかなり以前に書いた作品で、いまもし書き直す機会が . . . 本文を読む
■私はこれまでに、十数匹のネコを飼ってきましたが、みなそれぞれに個性があって、その多様さに驚かされます。
最近、パソコンの買い替えにともなって、撮りためた写真を整理していると、とても懐かしい写真が出てきました。
2001年8月に撮影したものです。――
[拡大写真]
このネコは、写真のときすでにかなり痩せていますが、2年後あたりからめっきり弱り、私も妻も注意深く見守っていました。しかし2006年 . . . 本文を読む