人生の謎学

―― あるいは、瞑想と世界

ホラー小説《占ひ師》 -20

2008-09-28 01:21:01 | ホラー小説
■主人公が体験するこの不可解な夢の描写をもって、第二章は終了することとなりました。 この部分を書き上げるまでは、盲視の人の壮絶な死の場面を、第二章の最後に配置するつもりだったのですが、物語の構成上どうしても無理がありました。 第三章として予定している《三人の異能者》では、やっとホラーの不気味さが濃厚になり、描写のスタイルもこれまでとはがらりと変えるつもりでいます。 〈占ひ師〉_68 〈占ひ師 . . . 本文を読む

ホラー小説《占ひ師》 -19

2008-09-25 04:12:33 | ホラー小説
■主人公は、彼が無意識のうちに知りたがっている「この宇宙の隠れた構造」に気づきはじめます。それについての主人公による考察や分析が、小説の展開にとってどれだけ活発な物語性を獲得できるかが、作者の課題となるわけです。 67ページから記述される夢の描写は、この物語を大きく飛躍させるはずです。 〈占ひ師〉_65 〈占ひ師〉_66 〈占ひ師〉_67 ・関連資料_0006 ・関連資料_0007 . . . 本文を読む

ホラー小説《占ひ師》 -18

2008-09-20 16:49:58 | ホラー小説
■ここでは主人公と盲視の人との対話が中心となっています。主人公は盲視の人が会話と思念転送とで個別の時間軸を使い分けていることに気づき、同時にまた不可解な感覚にみまわれます。 ――そのとき、主人公が突然にして“知識”を獲得する場面については、時間さえあればもっと綿密な描写をおこないたいと思います。 〈占ひ師〉_62 〈占ひ師〉_63 〈占ひ師〉_64 ・関連資料_0006 ・関連資料_ . . . 本文を読む

共感覚について

2008-09-17 05:28:57 | 意識哲学
■共感覚についてまとめました。 共感覚は、厳密にいえば病気の一種で、聴覚、視覚、味覚、触覚、嗅覚などが、何か個別的な理由によって混在してしまう状態のことです。つまり、ある感覚刺激に対して、その本来の感覚のほかに、別の種類の感覚が影響を受けて、その感覚に対応する刺激も与えられているように感じる現象で、特定の音とか音楽などを聞くと、それが視覚に関連づけられてイメージされる症状や、景色に匂いがあったり、 . . . 本文を読む

森鴎外の遺言状

2008-09-13 14:49:11 | 日本文学
■大正十一年七月九日、死の寸前に森鴎外は「馬鹿馬鹿しい」と呟いたといいます。なんのことを指して呟いたのか、正確なことは不明であるにしても、この言葉に私はきわめて深いものを感じます。鴎外は死の三日前に、友人の賀古鶴所に遺書を口授して書きとらせ、拇印をしています。その一節に「余ハ石見人森林太郎トシテ死セント欲ス」とあり、ここにも何か象徴的なものが見え隠れしています。 〈森鴎外の遺言状〉_1 〈森 . . . 本文を読む

老子道徳経 第四十八章

2008-09-09 18:05:17 | 随想
■――爲學日益。爲道日損。損之又損。以至於無爲。無爲而無不爲。取天下。常以無事。及其事。不足以取天下。 ……老子道徳経の第四十八章について、あれこれと考えてみました。 関連資料は、一見この話題とはかけはなれているような違和感がありますが、人生の底流でつながっていると考えます。 〈老子道徳経 第四十八章〉 ・関連資料_0039 ・関連資料_0040 ・関連資料_0041 . . . 本文を読む

アルテミジア・ジェンティレスキ

2008-09-04 06:24:59 | 美術
■1593年にローマに生まれたアルテミジア・ジェンティレスキは、カラヴアッジョ派の画家オラーツィオの一人娘でした。オラーツィオは早くからアルテミジアの画才を認め、幼少から彼女を画家として指導しました。アルテミジアの1610年作とされる《スザンナと老人たち》では、すでに高度な技量をみとめることができ、また独自の表現にも達しています。この作品の翌年から12年にかけて、オラーツィオは友人のアゴスティーノ . . . 本文を読む

オルタの建築美学

2008-09-03 00:04:51 | 建築
■ベルギーのアール・ヌーヴォーは、何よりも建築においてめざましい成果をあげましたが、その機運の中心となったヴィクトル(ヴィクトール)・オルタは、ベルギー西部の古都ゲント(ヘント)の靴職人の家庭に生まれ、10歳を過ぎた頃からすでに建築に興味をもち、パリに出て建築事務所で働き、ブリュッセルで新古典主義の建築家アルフォンス・バラ(1819~95)のもとに学びました。その後独立し、1893年にポール・エミ . . . 本文を読む

映画 《トリコロールに燃えて》

2008-09-02 00:16:32 | 映画
■ジョン・ダイガン監督・脚本による映画《トリコロールに燃えて》は、抑制した表現が象徴的に配置されていて、その効果が深い感銘につながっているように感じられます。 美しい上流階級の娘ギルダは、自分の芸術活動の援助を得るためにはパトロンとベッドをともにすることも辞さない奔放な性格ですが、彼女は14歳のときに占い師から「34歳より先が見えない」と告げられ、このことがつねに脳裏から離れないでいます。 運 . . . 本文を読む

恵方について

2008-09-01 00:16:04 | 神秘思想
■人間関係などをめぐる吉凶と禍福が、方位によって決定されるという信仰は、中国古代から存在しています。戦国時代には陰陽五行説に《易》の哲学を合わせて、さまざまな分野で五行や十干十二支あるいは八卦を配当して、全体的な世界観が成立していきます。たとえば《黄帝宅経》は唐代に成立したものと考えられ、ここでは方位を二十四の分野に分け、乾・震・坎・艮・辰を陽位――刑禍として、また坤・巽・離・兌・戌を陰位――福徳 . . . 本文を読む