■ビル・パクストンによる2001年のアメリカ映画《フレイルティー/妄執》は、物語の内実のみによって作品の水準を切り上げています。VFXや特殊メイクなどの視覚効果に頼ることなく、あるいは音響効果や編集テクニックなど、制作費をつぎ込めばそれなりの演出効果を得ることのできる手法にはしることもなく、物語のもつ本質的な部分の魅力のみによって成立させています。
この低予算映画は、最初は小さな映画祭に出品され、 . . . 本文を読む
■ジョン・ダイガン監督・脚本による映画《トリコロールに燃えて》は、抑制した表現が象徴的に配置されていて、その効果が深い感銘につながっているように感じられます。
美しい上流階級の娘ギルダは、自分の芸術活動の援助を得るためにはパトロンとベッドをともにすることも辞さない奔放な性格ですが、彼女は14歳のときに占い師から「34歳より先が見えない」と告げられ、このことがつねに脳裏から離れないでいます。
運 . . . 本文を読む
■映画《トーク・トゥ・ハー》を製作するにあたって、監督・脚本のペドロ・アルモドバルは、次のようなことにインスピレーションを得たといいます。
まずジャン・コクトーの言葉――「美は痛みたりうる」という言葉で、アリシアの美しさに対するベニグノの感情に象徴されています。次に、あるアメリカ人女性が、十六年間の昏睡状態から目醒めたというニュース。『トーク・トゥ・ハー』ではアリシアが四年間の植物状態から快癒しま . . . 本文を読む
■1982年のSF映画《ブレードランナー》は、フィリップ・K・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を原作としています。
ディックの作品の映画化は、1990年の《トータル・リコール》、1996年の《スクリーマーズ》、2001年の《クローン》、2002年の《マイノリティ・リポート》、2003年の《ペイチェック 消された記憶》、2006年の《スキャナー・ダークリー》、2007年の《ネ . . . 本文を読む
■1997年のポール・アンダーソン監督作品、SFホラー《イベント・ホライゾン》は私が個人的にきわめて好きな映画のひとつです。
93年に《ショッピング》でデビューしたポール・アンダーソンの作品には、95年の特撮アクション《モータル・コンバット》、98年の《ソルジャー》、2000年の《ザ・サイト/霊界からの依頼人》、2002年《バイオハザード》、2004年《バイオハザード II アポカリプス》、そして . . . 本文を読む
■ホラーやオカルトなどのダークサイドの映画に視野を限定して、闇に対する恐怖がテーマとなっている作品のいくつかを、思いつくまま整理してみました。ここで取り上げた作品は、ウェス・クレイヴン他《インプラント》、ジョナサン・リーベスマン監督作品《黒の怨》、ジャウマ・バラゲロ監督作品《ダークネス》、デヴィッド・トゥーヒー監督作品《ピッチ・ブラック》およびその続編《リディック》です。闇に対する恐怖を描いた作品 . . . 本文を読む