独り言

日本の原風景、花、自然など、自分で撮った写真の加工作品、街道歩きなどを中心に公開しています。

入院して感じたこと(11)

2005-12-19 09:21:19 | 日常
手術するべきかどうかは迷いませんでした。
いずれにせよ逃げるわけにはいかないと思ってたので。

ただ主治医曰わく「術後は見ていて可哀想なくらい痛い。」助教授曰わく「肝臓手術した人は、前かがみになるのですぐわかる。」などの言葉に冷や汗たらりでした。

流石に私もやばいと思いました。
何がやばいと思ったかが問題なんですが、妻が「どうせ好きなサイクリングに行けなくなるとか、あちこち遊びに行けなくなるとか考えてるんでしょ。」
図星です。流石に私と長く暮らしてるだけのことはあります。
今考えると笑い話なんですが、その時は遊べなくなるのはやばいと思ったのです。
普通は仕事をちゃんと続けられるだろうか、会社への復活は予定通り退院後1ヶ月で可能だろうかとかを考えるそうですが、ここでも妻曰わく「めでたい人間」であることを認めることになったのでした。

とにかく手術することに同意しました。
病院側としても、仮に手術しなくてもよかった良性腫瘍であった時のことも考えて慎重に同意をとったんだと思います。


続く

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入院して感じたこと(10)

2005-12-18 09:08:58 | 日常
さて、検査も一通り終わり、後は手術をどうするか決めるだけです。
何日何時に助教授が説明をするので、妻もいっしょに聞いて欲しいとのことでした。

この時点では、例え手術をしても数センチ切るだけの簡単な手術で、何のリスクも無いと思ってました。

夜の8時頃だったと思います。
助教授と主治医、私と妻の4人で手術の概要が話されました。
やはり悪性か良性かはっきりしてないそうです。
そして手術する場合、右胸の肋骨に沿って30~40センチ程度切ること。
お腹を横に切るために、体を縦に通っている主要な神経をも切ってしまい、切り口より下の下腹部の神経が感じなくなること。
神経を切るので術後はかなりの痛みがあること。
また退院しても切り口を無意識にかばってしまうため前かがみの姿勢になってしまうこと。
またしばらくは切り口が痛むことなど、私の想像していた以上の大手術であるとの説明でした。
しかも手術したは良いけど、実は手術などしなくてもよかった良性の腫瘍である可能性もあるとのこと。
さぁ、手術しますか、しませんか、どうします?

うっ、ピンチ。。。


続く
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入院して感じたこと(9)

2005-12-17 08:15:47 | 日常
次に最近マスコミでも話題になったりしている「ペット」をやることになりました。
これはMRIなどでは分からないような癌や早期発見に有効な最新の検査方法だそうです。

どうも主治医の説明によると、肝臓の腫瘍が何なのか判明出来ず、ひょっとしたらまだ病院側も気づいていない癌がどこかにあって、そこから転移した可能性も捨てきれないので、ペットで検査をしてほしいとのことでした。
ただペットは保険がきかず10万円くらいするらしい。
あはははは。こりゃあ、もうしょうがないのでペットでもなんでもやりましょう、ということで豊島区の検査施設に行ってきました。

ここはペット専門の検査施設みたいなとこで、さほど大きくはないのですが綺麗な建物でした。
癌細胞はブドウ糖を大量に集める性質があるそうで、ペットはそのブドウ糖を映し出す機器であるとのこと。

実際に私がやることはMRIとほとんど変わらず、検査台の上にただ寝そべっているだけでした。


続く

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入院して感じたこと(8)

2005-12-16 00:18:08 | 日常
やっとぽつぽつと検査が始まりました。
私の場合は肝臓の腫瘍が悪性なのか良性なのかを調べることが最優先課題でした。
どうも調べにくい場所にあるらしく、なかなか結果が出ませんでした。

最初は血液検査やレントゲンなど人間ドッグでもやりそうな検査ばかりでしたが、段々と普通はやらないような検査が入りはじめました。

CTやMRIではこの腫瘍が何者なのかはっきりしないらしく、カテーテルなるものをやることになりました。
カテーテルとは足の付け根にある動脈から細い管を入れます。
その管を血管の中をくねくねと肝臓まで進ませ、到達したら肝臓に直接造影剤を入れることではっきりと腫瘍が見れるそうです。
かなり高度な技術がいるらしく、器用な日本人が世界でもトップレベルだそうです。

動脈に入れた管をX線撮影で映し出されたモニターを見ながら血管を進ませていくのですが、どうしてこんなことが出来るのか不思議です。
よくカテーテルをやったことで、血管を傷つけたとか、どこかおかしくなったとかの話を聞きますが、この時期の私は開き直ってましたので全く怖さは無かったです。

逆に興味あったので、寝ている頭を起こしてやってるとこを見させてもらいました。
局部麻酔してあるので痛くも痒くもないですが、白く細い管が足の付け根から体の中に入っているのを見ることができました。
うーん、やっぱり不思議だし驚きです。
よくこんなことが出来るものです。


続く

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入院して感じたこと(7)

2005-12-15 07:48:51 | 日常
入院とは毎日検査の連続かと思っていたのですがどうも違うようでした。
入院初日に看護士さんに「今日は何か検査あるんですか?」と聞くと何も無いとのこと。
「じゃあ、明日は?」なんと明日も予定が無いとのこと。
なんと2日間も何も無いのだそうだ。
これはこんな狭い場所に閉じ込められるのはつまらんと思い聞いてみました。
「今日は自宅に戻っても良いですか?」
この時の看護士さんの顔が忘れられません。
えっ、と驚いたような顔をして「入院初日に帰宅するのは・・・・・。」
結局夕方に教授回診なる大学病院の儀式(?)があるからベッドの上でおとなしくしててくれとのお願い(?)を聞き入れて入院生活がスタートしました。

教授回診が始まると看護士さん達は緊張した表情に変わりました。
患者は全員ベッドに戻って静かにしててくれとかテレビは消してくれとか、まるで私が勤めている会社のお偉いさんの巡回のようです。
ベッドでは頭を壁側に、足を通路側に寝るようになっていたのですが、私はテレビが見づらいので逆に寝ていたら看護士さんが焦った顔をして、教授回診の時だけはきちんと寝ててくれと頼まれてしまいました。

教授回診が始まりました。
今日は助教授だそうです。
患者一人一人に声をかけて回ってついに私のとこに。
看護士さんに「今日から入院した○○さんです。」と紹介されたのですが、その助教授は7年前に診てもらった助教授でした。
助教授も私を覚えててくれて「どうもこんにちは。よろしくお願いします。」みたいな挨拶をしただけで教授回診が終了。
なんだ、たったこれだけかと思ったのですが、看護士さん達病院組織の人にとっては重要な行事であることだけは察しがつきました。


続く
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入院して感じたこと(6)

2005-12-14 08:34:10 | 日常
さて、いよいよ入院です。
着替えや洗面道具、MDプレイヤーや本、マンガなどをバッグに詰めて、妻と2人で車で行きました。

それと自転車も積みました。
自宅から病院まで約10キロの距離は、自転車散歩が趣味の私にとって気軽にサイクリングできるちょうど良い距離なんです。
検査が無い日に帰宅する時、自転車で散歩しながら帰ろうと考えました。
これがまた楽しみだったりしたのです。

さて外科病棟に行き、婦長さんとかに挨拶してから病室に案内されました。
外科病棟は原則6人部屋で、手術前後だけ小部屋になるとのことでした。
最初にいっしょになった人は4人が私より年上で癌患者ばかりでした。

正面のベッドの年下の男性は、病名は忘れましたがベッドの枕元に家族の写真と寄せ書きが飾ってありました。
こんな光景を見ると「あー、入院したんだなぁー。」と人事のように思ったものです。

想像以上にベッドはゆったりしていてまずまずの寝心地です。
てなわけで、ついに私の生まれて初めての入院生活が始まったのです。


続く

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入院して感じたこと(5)

2005-12-13 09:38:42 | 日常
入院中の暇つぶしするにあたって非常にラッキーだったのはオリンピックの開催中であったことです。
徹底的に見ましたね。
水泳・陸上・レスリング・柔道などなど。
病院側も通常夜間のテレビは禁止らしいのですが、この期間中は特別に24時間OKとなってました。
こんなにオリンピックを真剣に見たのは初めてです。
本当にラッキーでした。

さて、話しを入院前に戻すと、半分旅行気分になってる私と同様に妻も心配している素振りは見せませんでした。
いろいろと入院の用意はしてくれましたが、私がいない間は食事作るの楽だとか、娘と日頃出来ない外食しようとかけっこう楽しそうでした。
家族揃って楽天的に入院に対処できるのは、なんと言っても私自身が救われます。
入院は病気を治すという「良いこと」しに行くのですから明るく入院するのが良いのではないでしょうか。

私一人が「大丈夫、大丈夫」なんて思っていても、家族がくよくよしてたらやっぱり暗くなります。仮に本音は弱気なこと言いたくても楽天的に見せるのも必要ですよ、うん。


続く

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入院して感じたこと(4)

2005-12-12 08:00:29 | 日常
今回の入院は症状も無く、とりあえず手術するとしても肝臓をちょこっと切れば終わりと思っていた私は、入院生活をいかにエンジョイ、いやいや有意義に過ごすかに意識が移っていきました。

入院が決まって1週間もすると、検査や治療など本質的なことはほとんど考えなくなりました。
もう完全に医者にお任せします、文句言いませんから好きにしてください状態です。
今考えると、この段階で開き直ることが出来たのが、この入院生活が「良い経験」になった最大の要因であったと思います。

入院は初めてでありけっこういろんなことに興味ありました。
大部屋なので同室の人はどんな人でどんな病気なんだろうか。
病院の食事は一般的に言われているようにまずいのだろうか。
検査が無い日は自宅に戻っても良いのだろうか。
外出はOKか。
などです。

またベッドの上で出来る暇つぶしも考えました。
テレビ、MDプレイヤーはOKとのこと。
残念なのはパソコンが使えないことでした。
テレビが良いのにどうしてパソコンがダメなんだろうとかも思いますが、それほど長い入院ではないので諦めました。


続く


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入院して感じたこと(3)

2005-12-11 08:28:15 | 日常
肝臓に何やら腫瘍ができて入院する必要があるとわかってから、自分なりに今後の人生を考えました。
ネットで調べると転移した場合の5年後生存率は○○パーセントとか、次に転移するのはどこだとか暗い文章ばかりが目立ちました。

最初の数日はやはりつまらないことを考えることが多かったです。
でも気が楽だったのはこの病気ですぐに死ぬことはないこと、そしてまだ症状は何も無かったことでした。

数日後からは、くよくよ考えても仕方ない、もう開き直ってしまおうと思いはじめました。
現在40代後半であと数年生きたとして死ぬのが50代前半。
平均寿命が75歳とすると、寿命達成率(そんなのあるのかな?)は70パーセントとほぼ合格ライン達成ではないか。今、こうやって文字にすると子供じみていると思ってしまいますが、当時はこう考えるとすごく楽になったものです。
娘は私が死ぬ頃には高校生くらいで、自分の父親の顔はもう忘れないだろうとか、お金はなんとかなりそうだとか。よし、だんだん明るいこと考えられるようになってきたぞ。


続く

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入院して感じたこと(2)

2005-12-10 08:10:24 | 日常
ことの発端は7年前の人間ドッグです。
直腸にカルチノイドと言われる腫瘍が見つかったのです。
この腫瘍自体は癌ほどの悪性はないのですが、ほっとくと癌と同じようになってしまう病気です。

この時はちょこちょこっと内視鏡で手術して終わったのですが、念のため5年間は毎年検査をすることになりました。

そして去年が最後の検査になる予定でした。
最後なのでMRIもやってみようとのことで、どうせ「なんでもなかったですよ。」と言われると思っていたので、面倒くさいなと思いながらも検査を受けました。

ところが検査結果は限りなく黒に近いグレーでした。
肝臓に腫瘍らしき物があるとのこと。
以前のカルチノイドが転移した可能性が高く、検査入院が必要と言われてしまったのです。
すでに完治していると思っていたカルチノイドが転移しているとは、やはり少なからずショックでした。
自宅から病院までの10キロ程度の距離を、散歩気分で自転車で行っていた私は、暗い気分でいろいろ考えながら帰りました。


続く
コメント (7)
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