すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

マーティン・キャンベル「007/ゴールデンアイ」

2005-03-29 09:01:39 | 映画評
あそこまでモジャモジャだと胸毛も素敵


お約束のうろ覚えなのだが、柄谷行人がどっかで「シェイクスピアの作品には、物語における全ての方法がそろっている」みたいなことを書いていた。
シェイクスピアはほとんど読んだことがない上に、あんまり面白いとも思えなかったので、「ほぉー、そんなもんなんかねぇ~」と軽く流しました。


自分にとって「これぞ、物語!」と思ったのはなんだろうと考えてみますと、「007」です。

どの作品かは忘れてしまったのですが、ボォーっとテレビで見ていたときです。
画面では、ジェームス・ボンドが敵に捕まり、野外に立てられた丸太に鎖でグルグル巻きにされています。周りに建物はなく、無人の荒野といった感じ。
「フフフ、ここで干からびるんだな、ボンド君」
とボンドを置き去りにして敵はいなくなります。強烈に照りつける太陽。汗だくになるボンド。どうする?

ぶしゅー。

足からジェット噴射が出て、ボンドは丸太を背負ったまま脱出してしまいました。


「ストーリーの進展のためなら物語は、あらゆるものを利用する」

そのことを教えてくれたのは、「007」です。


で、「007/ゴールデンアイ」を見ました。
ピアース・ブロスナンが主演の「007」シリーズは、「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」「007/ダイ・アナザー・デイ」と見ているのですが、最初の「007/ゴールデンアイ」だけは未見でした。


感想としては、真面目な作品です。
いつも笑わせてくれる楽しませてくれるボンドカーも活躍しません。

1995年の作品という時代(1991年にソ連が既に解体)を反映してか、ボンドのスパイ活動はことあるごとに、「まだ、そんなことをやっているのか?」と他人から揶揄され、新任のMからも迷惑がられている(「私には男の魅了は通じないわ」とか言っているけど、「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」では、かなりホの字だったよなぁ。さすがのMもボンドの魅力には抗しきれなかった模様)。そもそもボスキャラの裏切りの淵源がイギリスの罪にあったりと、ちょっとシリアスです。(他のシリーズとの比較の問題で「シリアス」なのであって、所詮は「007」のシリアスです)


うーん。エロも少ない。
映画としては正しいのだろうが、「007」としては面白くないなぁ。

あまり「007」を熱心に見たことがない方には、悪くないのでは?


007/ゴールデンアイ〈特別編〉

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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