すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

黒澤明「乱」

2005-03-10 17:38:26 | 映画評
親子


三田誠広のエッセイを読んでいて(どの本か忘れてしまったよ。「トマトケチャップの青春」か?)、名前は伏せられていたのですが、ある作家に殴られたという話が載っておりました。酒を飲んで大暴れする癖があり、家族関係が複雑ということなので、一発で中上健次だと分かりました。

それと同時に、作品に反映されることはないが、父親に対して複雑な心境を抱いている作家の話も出ていました。当時は誰か分かりませんでしたが、同世代の作家から探すと池澤夏樹のような気がします。


作家は、コネがあまり有効ではない世界ですけど、親子で有名人というのは、けっこういますね。
未読・既読関係なく、思いつくままに並べてみます。
 :森鴎外(小説家)
 :森茉莉(小説家)

 :中上健次(小説家)
 :中上紀(小説家)

 :幸田露伴(小説家)
 :幸田文(随筆家)
 :青木玉(随筆家)

 :太宰治(作家)
 :津島佑子(作家)

 :福永武彦(小説家)
 :池澤夏樹(作家)
 :池澤春菜(声優)

 :吉本隆明(思想家)
 :よしもとばなな(作家)

 :江國滋(俳人)
 :江國香織(作家)

 :山村美沙(作家)
 :山村紅葉(女優)

 :阿川弘之(作家)
 :阿川佐和子(エッセイスト)

 :吉行エイスケ(作家)
 :吉行淳之介(作家)

 :檀一雄(作家)
 :檀ふみ(女優)
多分、もっといますね。

「コネが有効ではない」と書きましたけど、よしもとばななが新人賞に応募した際、彼女の作品は最終選考までは残らなかった、という話を聞いたことがあります。でも、「もしかしたら、これは吉本隆明の娘さんでは?」と気がついた編集が、吉本隆明に電話をして確認。親子関係であることを知って、異例ながら急遽最終選考に滑りこませ、めでたく新人賞受賞という流れがあったとか。
まぁ、あの文章ですからね。最初は蹴られても、仕方ないですね。

江國滋って誰だろうと調べますと、
1989年の『日本語八つ当たり』で小林よしのりの漫画「おぼっちゃまくん」の「茶魔語」を批判的に書き、小林とテレビ番組で対決したことが「ゴーマニズム宣言」の前身「おこっちゃまくん」(第1巻に収録)に書かれている。(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
だそうです。ふーん。


さて漫画界は、どうなんでしょう? あんまり詳しくないんですが(そもそも漫画業界の歴史が、まだ浅いし)、それでも神様は忘れてはいけないでしょうね。
 :手塚治虫(漫画家)
 :手塚眞(ヴィジュアリスト)
ヴィジュアリストってなに?


実業界では、
 :堤康次郎(実業家)
 :堤義明(実業家)
今、もっともホットですね。


芸能界は、挙げだしたらきりがないですね。とりあえず、ここらへんで。
 :三田佳子(女優)
 :高橋祐也(地下室)

 :石田純一(タレント)
 :いしだ壱成(大江戸ロケット)

スポーツだと、
 :長嶋茂雄(プロ野球選手)
 :長嶋一茂(読売ジャイアンツ球団代表特別補佐)

 :野村佐知代(サッチー)
 :野村克則(プロ野球選手)
てなところか。相撲とかオリンッピク関連になると、これもきりがないですな。


で、黒澤明の「乱」です。
ストーリーは、三人の息子に国を託そうとした梟雄の悲劇。シェークスピアの「リア王」を下敷きにしているそうです。(が、僕は未読です)

画面には終始緊迫感がみなぎり、物語の展開も速く、冗長だった「影武者」よりも、優れているのでは?

ちょっと主人公の秀虎のメークが派手すぎるのが気になりましたが、まぁ、これは彼の狂気を際立たせようとするためなんでしょうなぁ。


で、この作品では監督の息子さんの黒澤久雄がプロデューサーとして参加しているんですよね。

物語では親子、兄弟、夫婦が組んず解れつで醜く戦うのですが、こういう肉親が争うような父の作品を手伝うというのは、息子としてはどういう気分なんでしょう?

 :黒澤明(映画監督)
 :黒澤久雄(プロデューサー)


今回は前振りが無駄に長くなってしまい、淀川長治のように「作品がつまらないのから、適当な話をくっつけて文章を無理に長くしているのか?」と思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
特に戦闘シーンの迫力あるものに仕上がっておりますので、よろしければ是非。




東宝

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