すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

ヴィンチェンゾ・ナタリ「CUBE」

2005-02-26 15:51:14 | 映画評
こんな一点物で、続編をつくっちゃったんだなぁ


「CUBE」を見ました。

見事な「一点突破、全面展開」です。

唐突に部屋(CUBE)の集合体に閉じこめられた男女が、知恵を出し合って脱出しようとする物語。

「近未来の話で、軍や政府が"人間の限界を調べる"とか言って、巨大なCUBEの集合体をつくって、一般人を拉致して閉じ込めた」てな設定を想像していたら、あにはからんや現代の話。しかも、CUBEの集合体をつくった理由は公共事業。理由は特になし。人間を閉じこめたのは、つくった以上は動かさないと駄目だから。


潔いです。
CUBEから脱出するために、登場人物たちが苦悩したり、疑心暗鬼に陥ったり、反目し合うところに物語の面白みがあるのであって、そのための設定なんか、まぁ、どうでもいいってことですな。


一応、登場人物の一人であるワースが、なんとなく意味を持っているようには思われます。
彼は厭世主義者で、仲間の手伝いはするけども、脱出に対しては積極的ではありません(特に最初の方)。
さらには、出口を前にして、「外の世界には、なにもおもしろいものはない」などと言って、出ようともしません。

実は、彼はCUBEの製作者の一人です。
つまりは、この人間を酷薄に扱うCUBE自体が、彼の内面世界の象徴とも言える…………かなぁ?

彼自身は外観を担当しただけであり、さらに、全体がなにを意味するかはほとんど知らなかった、となっています。どうも、そこまで深読みするのは、我ながらやり過ぎなの感を否めません。


しかし、数学の話が、脱出の肝なんですが、さっぱり分からんです。
でも、まぁ、緊迫したシチュエーションは、まずまず楽しめるのでは?


CUBE キューブ

ポニーキャニオン

このアイテムの詳細を見る