犯罪という表現
村上春樹と言いますと、よく、その文学や思想を「欧米的なスタイル」と評されていました。
文学スタイルはともかく、彼のかつての「我関せず」という思想的なスタンスは、極めて日本的(私小説)なものに思えるのは、僕だけでしょうか?
欧米の個人主義って、確立した個を重視するだけであって、村上春樹のような孤立を愛することとは違うんじゃないかな? 欧米って個々に別れているようで、共通の問題に対しては何の抵抗もなく団結したりするけど、村上春樹的なスタンスって決して集団で交わることはないような………。
と思ってましたが、村上春樹も最近では「コミット」という言葉を主軸に、社会に対して積極的にかかわっていこうとしております。なんか欧米の知識人みたいね(または、ハリウッドスター)。
瓢箪から駒ということなんでしょうか? 一周回って正解になってしまったような気がします。
本例とは、アルコール依存症による幻覚・幻聴に襲われたために、殺されると思い、助けを呼ぶために放火をしたという犯罪。
本書では、この「甘え文化」という言葉が頻繁に出てきます。
初版が1982年になっていますが、この当時は、よく使われた言葉なのでしょうか?
まぁ確かに分からんでもないです。
一方で、日本が先進諸国と比べて犯罪が少ない理由として、
(1)単一民族
(2)家族、職場、地域の帰属意識が強い
(3)自己防衛の意識が弱く、警察への依存が強い
(4)草食人種(欧米は肉食人種)
(5)交番制度
(6)情報化社会による同一視と一体感の強化
などを挙げております。(同書 207頁~208頁)
えぇーと、まぁ、(1)はともかく、2005年の現在では、他は全て怪しいなぁ。(単一民族なんて言葉は、安易に使ってはまずいのでしょうが)
でも、「甘え文化」による犯罪という考え自体は、まだまだ有効なんだろうなぁ。
酒鬼薔薇にしても、つい最近の奈良の女児誘拐殺人事件にしても、喪失した母性への憎しみを幼児に転移したものだろうし。
大学での講義で使うために執筆した、と「あとがき」で書かれている通り、そんな感じでまとまっている本です。犯罪心理学に入門したい人には、ちょうどいい本なのでは?
村上春樹と言いますと、よく、その文学や思想を「欧米的なスタイル」と評されていました。
文学スタイルはともかく、彼のかつての「我関せず」という思想的なスタンスは、極めて日本的(私小説)なものに思えるのは、僕だけでしょうか?
欧米の個人主義って、確立した個を重視するだけであって、村上春樹のような孤立を愛することとは違うんじゃないかな? 欧米って個々に別れているようで、共通の問題に対しては何の抵抗もなく団結したりするけど、村上春樹的なスタンスって決して集団で交わることはないような………。
と思ってましたが、村上春樹も最近では「コミット」という言葉を主軸に、社会に対して積極的にかかわっていこうとしております。なんか欧米の知識人みたいね(または、ハリウッドスター)。
瓢箪から駒ということなんでしょうか? 一周回って正解になってしまったような気がします。
本例では、アルコール幻覚症による幻聴と被害妄想から、他人の助けをもとめるアピールとして放火を犯したものであるが、このような窮境――たよりない、ヘルプレスネスの状況――で、他人の救助をもとめるという「依存的な動機」による放火は、外国の文献にはみあたらない。甘え文化の優位な日本に独特の犯罪行動ではないかと思われる。ちなみに、欧米では殺人が多く、自力による積極的な反撃が特徴的である。 (福島章「犯罪心理学入門中公新書」139頁 中公新書) |
本例とは、アルコール依存症による幻覚・幻聴に襲われたために、殺されると思い、助けを呼ぶために放火をしたという犯罪。
本書では、この「甘え文化」という言葉が頻繁に出てきます。
初版が1982年になっていますが、この当時は、よく使われた言葉なのでしょうか?
まぁ確かに分からんでもないです。
一方で、日本が先進諸国と比べて犯罪が少ない理由として、
(1)単一民族
(2)家族、職場、地域の帰属意識が強い
(3)自己防衛の意識が弱く、警察への依存が強い
(4)草食人種(欧米は肉食人種)
(5)交番制度
(6)情報化社会による同一視と一体感の強化
などを挙げております。(同書 207頁~208頁)
えぇーと、まぁ、(1)はともかく、2005年の現在では、他は全て怪しいなぁ。(単一民族なんて言葉は、安易に使ってはまずいのでしょうが)
でも、「甘え文化」による犯罪という考え自体は、まだまだ有効なんだろうなぁ。
酒鬼薔薇にしても、つい最近の奈良の女児誘拐殺人事件にしても、喪失した母性への憎しみを幼児に転移したものだろうし。
大学での講義で使うために執筆した、と「あとがき」で書かれている通り、そんな感じでまとまっている本です。犯罪心理学に入門したい人には、ちょうどいい本なのでは?
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