すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

スパイク・ジョーンズ「マルコヴィッチの穴」

2005-02-14 15:38:23 | 映画評
「秘密キッチの穴」で提供した情報がラジオで読まれましたが、五千円はもらえませんでした


アダルトビデオで有名になるのは、得なのでしょうか、損なのでしょうか?

高校生のころだったと思います。
飯島愛がテレビに出ていて(まだ「キテミロリン」とか言っていた時代です)、
「飯島愛も、アダルトビデオから出世したなぁ」
と家族団らんの最中に、ボソッともらしたときです。すると、
「そうなのか?」
「へぇー、よく知ってるね」
「そりゃ、男の子ですもの」
と、かなり驚かれて、その家族の反応に僕も驚いたものです(ちなみに、最後のコメントは母です)。飯島愛がAV出身というのは社会常識だと思っていましたが、そうでもないことを痛感した瞬間でした。


そんな苦い家族話は、ともかく。「マルコヴィッチの穴」です。

新入社員が偶然見つけた穴は、俳優のジョン・マルコヴィッチと同一化することができる不思議なものだった、という話。

無名から有名、女性から男性、といった自分以外の何者かになれるという変身願望をかなえる手段として、「穴」があるわけです。

この穴がある場所が面白くて、ビルの7階と8階の間にある7&1/2階という、強引な空間になっています。そんな場所ですから、オフィスなんですけど、めちゃくちゃ天井が低い。
どうして、こんなところにオフィスがあるのかと言いますと、「ビルを建てたオーナーの奥さんの背が低いので、それに合わせてつくられた」と映画で説明されています。外界に対して違和感を抱いていた人間のために、偽の世界を作り出したわけです。
つまりは、その7&1/2階自体が「マルコヴィッチの穴」と同じ役割ということになるんでしょうか。

その「穴」で願望を適えるのですが、しかし自分の背丈以上のものを求めるのですから、最後のオチは、もちろん喪黒福造パターンです。


映画の前半部で、チンパンジーのトラウマとして、「小さい頃の心の傷がもとで、サルである自分に違和感を」覚えていると解説するシーンがあります。
「なんじゃそりゃ?」と失笑してしまいましたが、映画を全編見終えると、感慨深いものがあります。

設定が奇抜なんで、特に最初の方は、かなり引きこまれます。
「メメント」のような、変り種の映画を見たい際には、よろしいのでは?


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