すぎなみ民営化反対通信

東京・杉並発。「一人が万人のために、万人がひとりのために」をモットーに本当のことを伝え、共に歩んでいきたいと思います

労働者の権利と未来を賭けて労働運動の復権を・・・公務員攻撃めぐる激突の階級的意義(7)

2010年09月07日 | 公務員制度改革・公務員攻撃について

労働者は団結して闘うことによってのみ、権利を闘いとり、未来を切り開くことができる

 リーフレット「公務員の労使関係が変わる」を批判する(④

デマリーフ『公務員の労使関係が変わる』に対する批判の結論-

 日教組本部発行の『CHANGE 2012 公務員の労使関係が変わる』というリーフレットのこれまでの検討と批判を通して、当サイトがお伝えしたかった点は、結局以下の点に尽きます。

 (1)公務員制度改革は、全労働者に対する大失業、超低賃金・クビきり自由の非正規職化の攻撃だ 

 

今に始まったことではありませんが、官・民分断、正規・不正規分断の公務員バッシングがますます激しさを増しています。公務員制度改革の攻撃は公務員に対するクビきり・賃下げ・無権利化の攻撃にとどまりません。私たちすべての労働者に対しておしなべて激しく襲いかかってきている攻撃です。大失業と超低賃金・クビきり自由の総非正規職化攻撃、その妨げとなるいっさいの規制をなくす、最後の止め金も外すというところに本質があります。私たちすべての労働者と家族に対する人間的生存の剥奪、今日明日の生計の際限なき破壊の攻撃です。社会の全面的破壊的な崩壊です。ここに誇張はありません。

 2000万人規模で労働者を失業で家族もろとも路頭に放りだす。1割の正規雇用と9割の非正規雇用で大恐慌時代の国際競争に日本が資本主義として生き残る。ただただ資本家の利害のために企てられ、強行されています。そのために、これまで労働基本権を剥奪・制約する代償として与えてきた公務員の身分保障も「邪魔になった」。これまで賃上げ抑制・賃下げ強要に役立った人事院勧告制度も「今や百害あって一利なし」・・・それが公務員制度を取っ払う、解体しリセットする、まったく別のものに変えてしまうというのが今回の公務員制度改革にほかなりません。

 ※【補注①】「2000万人大失業時代」・・・・バブル崩壊後、1990年代冒頭財界が言い出した時代認識。バブル崩壊後の「失われた10年」、今日言われている「失われた20年」、リーマンショック後の現在進行形の大恐慌時代の財界の基調的時代認識となっている。

 ※【補注②】1995年日経連「新時代の日本的経営」・・・・日経連報告では労働力市場・雇用の流動化について「(ⅰ)長期継続雇用=長期蓄積能力型が1割。(ⅱ)専門的熟練能力=必ずしも長期雇用を必要としない専門能力継承の有期雇用型が2割。(ⅲ)専門性や定型性も含めて雇用流動型が7割」という経営戦略指針がうちだされた。不安定雇用、非正規雇用の基本戦略の数値原型。ポイントは(ⅲ)の不安定非正規雇用類型とともに(ⅱ)の専門・熟練も長期雇用にしていないこと。現在(ⅱ)類型は非常勤や定年再雇用等として完全に非正規化している。記事本文の9割とは現在の方向性での(ⅱ)プラス(ⅲ)の合計である。

 自由に賃金を切り下げることができ、思いのままに労働者のクビをきれる社会の仕組みに一刻も早くリストラしないとこの国は持たない・・・これが政財界の時代認識であり国家戦略です。公務員制度改革をめぐって国会で閣僚やみんなの党はどんなことを言っているか?!

  ・・・「生首を飛ばすか希望退職を募るか、そうしないと公務員総人件費2割削減はいかない」

 ・・・「とにかく早く公務員に労働基本権を与えて、それで民間並みにリストラ、人員整理をできるようにしましょう」「できのいい人に給料を2倍、3倍はいいが、できの悪い人は給与を3分の1、4分の1と下げる」

 ・・・「JALだって生首切る。早く生首切れる、リストラできる公務員法改正をしてください」

 正規も非正規もおびただしい規模で掃いて捨てられるように職を奪われ、路頭に迷う・・・。正規でクビがつながっている労働者は生計を維持するために職をなくさないためには病気や過労死で倒れるまで精神的生理的限界を超えて働くしかない・・・。非正規労働者はどんなに働いても生計費にも満たない賃金しか支払われず、いつクビになるやもしれぬ将来への不安の中でそれでも働かなければ今日明日もしのげない・・・。これが政財界が私たちにもたらそうとしている社会です。

 (2)既成労働組合指導部が攻撃の先兵に

  この大攻撃は、政財界や企業がしかけてきている攻撃です。だが支配階級の力だけでできることではありません。支配階級はこの攻撃が一つ間違えば労働者階級の一大反乱、労働運動の嵐のような爆発を呼び起こしかねないことを知っています。政財界は「労働組合」を使うことによってしかこの攻撃を貫徹できない。ここに既成労働組合指導部が政財界の最大の協力者、先兵となっていることの裏切りの意味があり役割があります。

 本来なら反対して闘うべき労働組合、連合や日教組・自治労等労働組合の中央・本部が反対しない。逆に「労働基本権付与」(争議権は除外・禁圧・剥奪のまま)で労働者の利害と労働運動を売り渡し、このクビきり・賃下げ自由の公務員制度改革・総非正規職化の先兵となっています。彼らはこの夏の定期大会や臨時大会で相次いで、経団連や政府が掲げている「国家戦略」「成長戦略」や「制度設計」をそのまま労働組合の政策スローガン、活動方針に掲げています。組合員、現場からは怒りが噴出しています。この現場の労働者の抗議と批判に対して彼らがいま言い出していることは何か?

 ・・・「納得感ある公務員総人件費2割削減」(「納得感ある消費税増税」ということも言っている)

 ・・・「財政が厳しいとき世論の批判に耐え得る行動を」

 ・・・「官民格差が現実にある。正規は賃下げが避けられない

 彼らにも組合員が納得しないことがわかっている。「納得感ある」とは無理やり「これでいくから納得しろ、あきらめろ」と従わせるということです。

 (3)労働者の武器は団結

 これに黙って従っていられるでしょうか。反対しても無駄だ、闘ってもどうせ勝てないとあきらめればすむことでしょうか。とんでもない。私たち労働者と家族の生き死に、人間的生存、今日明日の生計の問題だ。犠牲にされてたまるか。そもそも、大恐慌も企業の経営破たんも国や地方自治体の財政破たんも私たち労働者住民にはいっさい責任はない。もとより公務員労働者、公共団体で働く職員のせいでも責任でもありません。

 根本問題は政府の財政が破たんしようが企業が破たんしようが私たち労働者(人民、人間)は生きていかねばならないということです。私たちは闘いによってしか、団結して闘うことによってしか生きていくことも未来を展望することもできない。かつて労働者にいかなる権利もなかった時代に、労働運動と労働組合はそうやって生きんがための決起の中から、人間の歴史に登場しました。その闘いの中で労働者階級としての団結の力をつかみ取った。日本の政財界や世界の資本家階級は新自由主義の合言葉として「工場法以前の状態に戻せ」とわめきちらしています。いま私たちに求められているのは、労働運動、労働組合の原点に立ち戻って、それを復権、再生させるということではないでしょうか。闘いなしに私たち労働者人民の権利も未来もありません。団結だけが私たちの人間的生存のための闘いの武器であり、人間中心の未来の社会へ扉を開く唯一の力です。

    《労働基本権は、労働者自身の決起で闘いとるものだ》

 賃金がそうであるように、労働時間がそうであるように、安全衛生問題がそうであるように、雇用関係がそうであるように、すべての労働条件をめぐる労働者の権利は、すべて労働者の血みどろの闘いを通して獲得されてきたものです。機械うちこわしからサボタージュ、工場・職場内集会・デモ、工場・職場の占拠、ストライキ・・・・・全世界の労働者が資本家と警察や軍隊やギャング・暴力団と衝突し弾圧と闘いながらかちとってきた・・・それが団結権であり、団交権であり、争議権(スト権)です。

 公務員制度改革で言われている「労働基本権」に関して言えば、権利とは政府や資本家から与えられるもの、政府や資本家が保障してくれるものなどではなく、労働者階級が自身の闘いで闘いとり、守り抜かねばならない権利だということです。

 労働者にとって本当に一歩も譲ることができない。だから労働条件をめぐって闘い(労働運動)が燃えあがるのです。

  労使関係と言われている核心問題はどこにあるか?

  《賃金を払って労働者を働かせることによって何もしないでもたえず儲けることができる資本家にとってはどれくらいの賃金でどういう条件で働かせればどれだけの儲けをあげられるかの問題に過ぎません。

  しかし、《生存を維持し自分の労働力を再生産するのに費消されてしまうかつかつの賃金を得るために働くことによってしか生きていくことができない、賃金奴隷の地位におかれている労働者にとってはまさに今日生き明日も生きていくことができるかどうかの問題です。そのために今日働き明日も働くことができるかどうかの問題をめぐる資本家と労働者の非和解的関係です。

  そこでは資本家(使用者)は、生産手段を持っていることで常に優位に立ち、労働力を買うことさえできれば儲けることができ、労働者の誰彼やその暮らし向きや生き死にや苦しみに関心を払う必要がありません。この資本家に対して、労働者は今日明日生き、今日明日働くために、団結して闘うしか対抗手段がありません。

  団結して闘わなければ、資本家に買い叩かれ生計費にも満たない賃金で働かされる。精神的身体的限度を超えた長時間労働でボロボロにされ病気で働くこともできなくなる。資本家の経営上の一方的な都合や恣意的な人事上の判断でクビにされ路頭に放りだされる。労働者は団結の力によってしか賃金や労働条件をめぐるささやかな改善をかちとることもできなければ、資本家が儲けを大きくするために行わう賃金や労働条件の切り下げと闘うこともできない。

 (4)闘う労働組合を再生しよう、労働組合運動を復権しよう

 

 

 労使関係での労働者の力とは何か?

 「交渉」は武器か?「法律」や「協約」は武器か?「交渉能力」は武器か?違います。武器とは労働者の団結です。常に最後は団結の力です。全組合員が一致して使用者(資本家)に立ち向かえるかどうか、全労働者が心を一つにして立ち上がれるかどうかです。「労使交渉」そのものや「労働協約締結権」そのものが労使関係を変えるわけではない。労働者として団結して闘うことがすべてです。

  そして団結して心を一つに闘いを貫き通すことで、政府や資本家の頑なな意思によって有利な結果をかちとれない場合でも、労働者はほかの何ものにも代えることができない、かけがえのない労働者の団結という「財産」を築き上げることができるということです。今回は「負けた」が団結を拡大して頑張って闘い続ければ、次はもっと大きな闘いができる、団結して闘い続ければ、この資本家が運営する賃金奴隷制度、資本主義社会の仕組みを覆すときが必ず訪れる・・・この団結と闘いの経験に裏打ちされた確信です。

 団結して資本家と徹底的に闘い、敵を心胆寒からしめることができれば、そういうことはまれであれ、より大きな反乱になることを恐れる敵に譲歩を強い、「権利」をもぎりとることがある。そうやって労働者の団結力の発揮をもって団結をさらに拡大する・・・労働者自身が持っている底力を知る。これが労働者の闘い、労働組合の闘いというものです。労働組合とはそのためにあります。

 労働組合とは労働者の生きるための闘いの唯一の武器であり、労働者同士が心を一つにしてかけがえのない仲間として結束できる組織的拠り所です。労働組合は闘いのための討論と団結の拡大、実際の経験を通して労働者にとって力をつける学校です。そうやって闘いの中で労働組合は「万人が一人のために、一人が万人のために」という絆で運営される組織となり、支配階級にかわって人間が人間として人間らしく生きられる社会をめざし、実現し運営する力をつかみとります。労働組合は既成の組合指導部が考えているように使用者(資本家)との交渉のための機関、使用者と折り合いをつける折衝機関などではありません。労働者の闘いの機関です。 

 ストライキサボタージュ順法闘争職場の勤務時間内集会、職場門前や駅頭や街頭での抗議や暴露のビラまきはそうした労働者の団結の力のさまざまな行使形態です。リーフレットが言っている「労使交渉」というようなものではなく、団体交渉=団交も、まさしくその労働者の団結の力の行使、闘いそのものです。

 労働組合の執行部=指導部の役割とは何か?職場=現場の労働者を信頼し労働者の団結がうみだす闘いの力を確信して、職場討議を組織することです。現場の意見、怒りと切実な気持ちを的確な断固たる闘いのスローガンに集約し、職場=現場の労働者の団結の力で必要な闘いへの総決起をかちとること。その先頭に自ら立って闘うということにほかなりません。組合員・労働者に代わって使用者と交渉するのが組合執行部なのではありません。組合員・労働者の切実な利害と使用者の方針の間に立って使用者の顔色をうかがって双方の折り合いの落とし所をさぐるような調停役でもありません。ましてや「労働組合」の顔をして使用者の労働者への攻撃を「労働者にとってよいこと」であるかのようにごまかして労働者に伝える使用者(資本家)のメッセンジャーでもありません。

 (5)現場=職場から闘いを

 政府閣僚が「生首を切れ」と叫んでいるように攻撃で血が流されるのは職場=現場です。現場=職場の攻防、決起こそが、労働運動の復権、闘う労働組合の再生の戦場です。政財界は労働運動が燃えあがりかねない大恐慌時代に労働者階級を階級として解体し労働運動を根絶やしにするためにこの攻撃に踏み切ってきた。官公労働運動の解体のために公務員制度改革に踏み切ってきた。しかし、労働組合の幹部を味方(手下)にできても、国会で法案を通す翼賛状況をつくれても、決戦は職場が戦場となる。これまですべての労働組合の歴史的な闘いがそうであったように職場こそ攻防の火点です。職場こそ生きんがための労働者反乱の現場です。政財界が最も恐れている情勢を職場からつくりだした時、この攻撃は破たんします。

  いまの常勤職員と非常勤職員や派遣・委託で配置される非正規職が無権利と賃金や労働条件のたえざる切り下げにさらされるからです。自治体職場の各現場、末端職場から討論を開始しよう。職場討議を通して全職員・全労働者の総決起、単組・分会・支部の労働組合総決起をかちとろう。

  どんな情勢下でも労働者は団結したら何でもできる。戦前治安維持法下でわずか5分間の「5分間ゼネスト」(神戸、1927年1月25日)でしたが、保険料の全額資本家負担を求めて官憲の厳戒下で2万6千人の労働者が一糸乱れぬ団結でストライキを決行している。動労千葉は幾たびものストライキで組合の団結を強化・拡大している。全国で全世界でたくさんの労働組合がストライキで闘っている。

 ストレートに気持ちを表現しよう。まず声をあげ、闘いを開始しよう。職場集会、団交、ストライキを含む闘いで、労働者の団結の力の行使によって公務員制度改革・総非正規職化攻撃を粉砕しよう。

▲自治体の既成の組合の裏切指導部をはねのけ現場からの闘いで闘う労働組合を取り戻す闘い

▲突破口として最も団結を禁圧され阻害されている非正規職の中に新しい労働組合を今すぐつくりだす闘い(労働組合は二人から結成できる)

  この闘いを一体で何としても成功させよう。正規・非正規、常勤・非常勤、官・民の垣根をこえる闘いの口火を切った時、公務員制度改革の攻撃を粉砕する展望は開かれます。

 ★公務員360万人、関係職員200万人のクビきりの公務員制度改革に絶対反対! 

 ★非正規職を正規雇用とせよ!労働者派遣法撤廃!

 ★正規・非正規の分断を許さず、正規・非正規の団結で公務員攻撃・総非正規職化攻撃と闘おう!

 ★「公共サービス提供の社会的責任」の名による労働運動圧殺を許すな!団結こそ力だ!労働者の生きんがための労働組合を取り戻し、ストライキで闘う労働運動を復権しよう!

 

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