すぎなみ民営化反対通信

東京・杉並発。「一人が万人のために、万人がひとりのために」をモットーに本当のことを伝え、共に歩んでいきたいと思います

田中良杉並区長(民主党)の所信表明を批判する(その1)

2010年09月12日 | 杉並田中区政批判

「新しい公共」掲げ自治体民営化・公務員制度解体、前山田区政ひきつぎ職員削減・非正規職化めざすのが田中良・民主党区政の正体です 

 9月8日、東京杉並区議会の2010年第三回定例会が始まり、新区長・田中良の所信表明がありました。田中区長が行った所信表明の詳細は、下記で杉並区議会本会議録画中継で(再生マークのある9月8日本会議分・・・・※所信表明の前に議会日程等に関する数人の意見があり、その後に所信表明なのでそこまで早送りが必要ですが・・・・)実際の演説を聴けます。印刷された所信表明は事前に議員等に配布されています。http://www.gikai.city.suginami.tokyo.jp/vod/vodtop.htm

 所信表明の「概要」は杉並区発行の「広報すぎなみ 9/11 N0.1948」1面に「新たな基本構想を策定し杉並区の更なる発展を目指します」として掲載されており、下記にて確認できます。http://www2.city.suginami.tokyo.jp/library/file/sg1948_2.pdf

 

 当サイトで実際の所信表明(演説および印刷物)広報すぎなみ掲載の所信表明の「概要」を併記して紹介することには理由があります。大旨はもちろん両者同じです。しかし、よく目を凝らすと、広報すぎなみ掲載の「概要」では、所信表明で田中良区長がめざしている新区政の階級的狙い、性格を単刀直入に言明している箇所が省かれているからです。

 実際には田中区長の所信表明は録画中継で流され、議員配布の印刷物で全文公開されています。その意味では広報すぎなみで田中新区政の階級的狙いが端的に表現されている箇所を抜き去ったところで意味がありません。広報を手にする区の職員や広範な区民を意識してやさしい表現をとったのか、紙面の容量上の都合で結果的にそうなったのかはわかりません。しかし、それにしても、偶然的結果的というには符節が合いすぎる特徴的な箇所が、広報すぎなみ掲載の所信表明「概要」で落とされています。それが田中区長の指示による省略のせいか、あうんの呼吸で編集した中枢幹部官僚の要約・整理のせいかもわかりません。しかし、演説を聴いて広報を読んだ人でこのように感じるのは、決して私たちだけではないと思います。ぜひ、両者を対照してみてください。

広報すぎなみ(所信表明の概要)に載っていない部分で田中良区長は新区政の狙いをそのものズバリで表明している

 実際には田中区長所信表明の要の位置にある考え方であるにもかかわらず、広報すぎなみに載っていない核心的部分とはどんな点でしょうか?

 (1)地域主権型道州制の実現を前提に地方政府=基礎自治体として先頭に杉並区が立つという考え方

 実際の所信表明の冒頭で「先行き不透明な経済情勢」や「(民主党)新政権への期待と不安の交錯」「混沌とした閉塞状況」等の田中区長の情勢認識を示したうえで、政財界・民主党がその打開方向としてめざしている地域主権型道州制とそのもとでの基礎自治体の役割・使命に言及しています。そこでは「道州制」というコトバは使っていないが、以下抜粋の通り、地域主権型道州制の先頭に地方政府として杉並・田中区政が立つということの表明以外の何ものでもありません。

 「地域主権改革」で「区こそ地方政府として・・・創造的政策形成」

 「真の自治分権改革」で「税源移譲」

 「基礎自治体が最初の政府となる」

 (2)地域主権改革(行財政改革・職員削減・自治体民営化)=前山田区政の本体部分を積極的に継承する立場

 前山田区政を批判した田中区長所信表明演説については本会議議場、傍聴席も一斉に拍手が起きた模様ですが、民主党首長のもとでの区議会と政党会派の新たな翼賛状況を示しています。しかし看過してはならないのは、山田前区長が「地域主権型道州制」を「杉並改革の総仕上げ」の中で正面から掲げていた点であり、田中区長が「地域主権改革」(地域主権型道州制)を所信表明演説の開口一番で掲げている点です。

 山田前区長の強権的な極右ファシスト仕様と田中新区長の民主党・連合仕様に違いはあれ、施策の本体部分・核心構造は政財界が求める新自由主義の行財政改革・自治体民営化にあり、ここで田中良は山田宏から「首長権力者のタイマツを受け継いだ」ということです。

 ▲ 確かに区長選で最大の争点になった前山田区政を継承するか否かの点では実際の所信表明演説でも広報すぎなみ掲載の「概要」でも、建前と表現としては「一定の評価」と「少なからぬ危惧」の是々非々の両面スタンス。印象としてはかなり山田前区政への「批判」面がトーンとして強くなっています。

 たとえば田中区長は「区の政策形成、意思決定で独断的な区政の運営手法があり、区民や職員への信頼が感じられない」「独自の歴史観や道徳観に基づく政治メッセージの発信は54万区民の負託による区長として節度をわきまえないもの」と前山田区政を「批判」してみせています。

 

 ▲ しかし、前山田区長の区政運営手法や(「つくる会」や田母神俊雄グループとの一体化や拉致被害者家族との「共感の輪」運動の呼びかけをはじめとする極右ファシストとしての戦争扇動を指すと思われる)区長の偏頗な政治メッセージ発信に対する「批判」を除いては、前山田区長が強行した行財政改革の本体部分・核心構造については、田中区長はハッキリと積極的に継承する立場に立っています。広報すぎなみ掲載の「概要」では「前区長が、財政健全化や職員の意識改革などの分野で一定の実績をあげたことは評価します」という表現にとどめているが、田中区政が山田区政の本体部分・核心構造の継承を表明している点は断じて許すことはできません。実際の所信表明演説では次のように言っています。

 地方分権改革の節目にあって、(前区長は)新風を吹き込んだ」

 「職員の意識改革

 「区債残高削減」

 「自治基本条例制定」

 「五つ星区役所として顧客志向の行政サービス

 ▲ 所信表明では、区の職員との緊張を生みかねないことから一言も言及していませんが、この一群の前山田区政の本体部分には、当然、11年間の職員定数の1031名削減区の6割の事業を民営化・民間委託化、区の職場を次々と委託・非常勤化した事実が含まれています。そうやって、「区債残高削減」「財政健全化」をもたらし、「顧客志向の行政サービス」(山田前区長は「五つ星区役所による24時間365日の行政サービス」と表現)、「職員の意識改革」を強要してきたのだから。

 田中区長は、▲山田区長は手法が強権的独裁的な点が乱暴に過ぎ、発信する政治メッセージがあまりにも偏頗で極右に過ぎ、区の職場・職員に対するトップダウンの行政組織運営にも行き過ぎた点もあったが、▲地域主権型道州制、そのための行財政改革・職員削減・民営化・職員意識改革では積極的に評価できる土台を築いたという立場にたっており、▲田中区政でも継承し推進するということなのです。

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