招かれざる客

夕方、家のチャイムが鳴った。

カメラを覗くと、同じ町内のおばちゃんだ。

何？また苦情か何かですか？

最近は井戸端会議だって控え目やし、第一、おばちゃんのとこまで聞こえへんやろ

それに、同じ町内とは言え、おばちゃんの名前も知らんよ

「はい」

「こんにちは、そこ、上に住んでるＴと申します」

私は、とりあえず外に出た。



おばちゃんが言うには、うちの班長、事情ができて班長をできなくなってしまったので、代わってくれる人を探している、との事。

「けろろさん、代わりにやってもらえませんかねぇ？」

「いや、あのぉ～」

いや、いいんですよ、別にやったって。

ほっとったって、来年の４月には回って来るハズやったんやし。

ただ…納得いかない

前回、うちに班長が回ってきた年、私は娘を身ごもっていた。

出産、里帰り、育児等を考慮して、順番を代わってほしいと訴えたが、

「どんな例外も認めません」

の一点張りだった。

「誰もやらへんとは言ってないんですよ。」

「順番なんで」

ムキ～ッッな経験があったので、今回の「例外」とは、はたして何だったのか、すごく興味がわいた。

「Ｙさん（現班長）は何でできないって言わはったんですか？」

「いやぁ、何か介護せなあかんらしいですけどぉ～」

はぁ～ん、育児はあかんのに介護はええんや

これから増えるぞ～、知らんぞ～


「仮に引き受けたとして、３月まででいいんですよね？」

「はい、それはもう、来年の総会が５月にありますでしょ？それまでの期間で…」

おばちゃんのすがるような眼に耐え切れず、考えようによっちゃぁ半年だけなので、私は覚悟を決めた。

「やりましょう」

「ほんま？ありがとうございますぅ～」

おばちゃん、目がうるうるしてた。大げさやなぁ～


班長言うたって、そんなにやることなかった…ハッッ

年末の見回り…

そう、アレです。「火の用心」でございます

頑張れ、アッパ君。君に任せた