点も取れる左サイドハーフ
「おぉ、これは!」
スカウトに渡された選手リストを見たロビンソンは驚愕する。
「そうなんですよ。あの男がウチのクラブに来てくれるかもしれないんです。リーグ初優勝どころかヨーロピアンリーグ優勝も夢でなくなるかもしれませんよ」
スカウトが少し興奮気味に言ったのも無理はなかった。シティのMFエドガーの名前が載っていたのだから。他には、かつてグレートブリテンに在籍していたギャレス・ヴィンセントの名前も載っていて、移籍金は1億円だった。
「ただ、一つ問題がありまして・・・」
スカウトが言葉を詰まらせる。エドガーの移籍金が23億7000万円だったからだ。グレートブリテンの現在の資本金は25億6000万円で、獲るのを躊躇う状態だった。ただ、エドガーの獲得期限まで1ヶ月ある。
「シティに移籍金さえ払えばエドガーは来てくれることは間違いないと思いますが、我がクラブの資金では・・・」
ロビンソンもそのことについては危惧していたが、すぐに手を打ったかのように呟く。
「止む負えんか・・・」
ロビンソンは資金繰りをするために、ウェズ・ブラウン、ジョナサン・グリーニングを移籍リストに掲載。それだけでなく、前シーズンでリーグ得点王のバッセルまでも移籍リストに掲載したのである。そこまでしないとエドガーを獲得できないと踏んだのか、そこまでしてでもエドガーを獲る価値があると考えたのだろう。
しかし、これが裏目に出てしまう。
イングランドカップ2回戦
ここも勝って資金を加算させておきたかったグレートブリテンだったが。
ウェストハム 1-0 グレートブリテン
(得点) 116分 マリオ・ヤヴォルチッチ(ウェストハム)
延長の末に、まさかの2回戦敗退。
そして、次の試合でも・・・。
プレミアディビジョン第17節
グレートブリテン 0-0 トットナム
(警告) 6分 パーカー(グレートブリテン)
43分 モーア(グレートブリテン)
トットナム戦はスコアレスドローでリーグ連勝が4でストップ。
エドガーに固執し始めたロビンソンが移籍リストに3人も載せたことによってクラブに不協和音が生まれ始めていたのだ。リストの中にはベテランでクラブの精神的支柱の1人となりつつあったジョナサン・グリーニング、前シーズン得点王のバッセルが入っているのだから。
「ロビンソンさん・・・」
スタッフの1人が希望を失ったように呟いた。
「案ずることはない。こんなことで躓くようではヨーロピアンリーグどころかプレミアリーグでも優勝できないだろう。クラブを強くするためには、これくらいのことはしなくてはならない」
ロビンソンは毅然としていた。これからのグレートブリテンはどうなるのだろうか。