ウォール・ストリート・ジャーナル日本語版の報道によりますと、太陽系に最も近い恒星アルファ・ケンタウリBに惑星が発見されたそうです。しかも質量が地球に似ており(地球の1.13倍の質量だそうです)、地球に最も近い地球型惑星が発見されたことになります。しかしながら残念なことに、この惑星は主星アルファケンタウリBの至近距離の軌道にあるため表面温度は2200度と高温で、生命は生存できないとみられるとのことです。この惑星は主星からたった600万キロし離れていないのだそうです(太陽系で最も太陽に近い水星でも5700万キロ離れている)。ただし発見した研究チームは、アルファ・ケンタウリBからもう少し離れた場所に他にも公転する複数の惑星がある可能性が高く、水や生命が存在できる程度の表面温度であるかもしれない、としている。それら惑星は、それほど高温でも低温でもなく、生命が生存可能ないわゆる「ゴルディロックゾーン」に含まれる可能性があると指摘しているそうです。
ソースです ⇒http://jp.wsj.com/Life-Style/node_531947
近年の宇宙科学の新発見には、たいていのことには驚かなくなっているのですが、これには驚きました。アルファケンタウリ星系(ケンタウリA、ケンタウリB、プロキシマケンタウリの3重星系を形成している)は地球からの距離が約4.3光年と最も近いことから昔から多くのSF作品に取り上げられなじみ深い星系だからです。J.Pホーガン「断絶への航海」、ヴァン・ボークト「はるかなるケンタウルス」、J.G.バラード「アルファ・ケンタウリへの十三人」(短編集「永遠へのパスポート」所収)ですとか枚挙に暇がありません。一番近いといっても4.3光年という距離は、キロに直すと約40兆キロ、2012年現在時速約6万キロの速度で太陽系を脱しつつあるNASAの探査機ボイジャー1号が仮にまっすぐにアルファケンタウリに向かったとしても7万7千年かかる計算です。この絶望的なまでの遠さ(一番近いはずなのに!)が主題になった作品が多いように思えます。
しかし本当にアルファケンタウリに惑星の存在が確認される時代が来たことに心躍るものがあります。