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1970年大阪万博トートバックの万国旗の中の星条旗を見ていて、妙なことに気が付きました。左の上の星の数が18個しかないのです。良く知られているようにアメリカ合衆国の星条旗の中の星の数は合衆国を形成する州の数を表しています。1970年の州の数は50州だったはずです。1776年の独立時は東部13州が合衆国だったので、星の数も13個でした。その後、州が次第に増えて、1959年にアラスカとハワイが加わって50州になったということです。18州だと19世紀半ばくらいの数字なりますでしょうか。
おそらく50個も星を描き込むのがたいへんだったのでトートバック製作者が、はしょったというのが真相ではないかと思います。当時の70年万博アメリカ館のスタッフがこのトートバックを見たら万博事務局に苦情を入れたかもしれません。
しかし米国において州が増えていく過程というのは、改めて考えてみますと結構ひどい歴史が過去にあったと思います。ハワイは独立した王国でしたが強引に米国に併合されたというのが実態です。南部のテキサス州とカリフォルニア、ネバダ、ユタ、アリゾナ、ニューメキシコ、ワイオミング、コロラドの中西部各州は、元々はメキシコの領土でしたが、米国が米墨戦争(1846年~1848年)で強引にメキシコから奪い取った領土です。この戦争でメキシコは国土の実に3分の1を失っています。
また米国独立前から始まっていた先住民への迫害も見逃せません。独立前の17世紀から19世紀末まで白人入植者によって数百万人規模の先住民の強制移住、虐殺、民族浄化が行われたことは事実です。これらの悲劇は「インディアン戦争」とも呼ばれています。その期間や犠牲者の規模を考えると言葉を失ってしまいます。