博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

緑の銀河系

2014年02月01日 | 読書・映画

(昨日の続き)

 F.ダイソン氏と言えば、ダイソン球の破天荒なアイディアで有名です。ダイソン球とは、文明の進歩に伴う多量のエネルギー資源の収集方法で、簡単に申しますと、太陽電池で太陽をすっぽり覆う球体の構造物を作って、太陽エネルギーを完全に無駄なく使うというアイディアです。太陽から地球が受け取るエネルギーは全太陽エネルギーのたった20億分の1なのだそうで、そういう球体構造物を作れば20億倍のエネルギーを使えることになります。太陽系の場合、木星をバラバラに分解すれば(!)、厚さ2~3メートルの球体構造物が作れるのだそうです。余りにも破天荒なアイディアで夢物語のようですが、宇宙で太陽光発電を行う(宇宙空間には昼夜が無く雲もないので24時間定格出力で効率的な発電が可能)という計画は実際にありますので、最初は小さな太陽光発電衛星を打ち上げて、それを徐々に大きくしていくということであれば現実性はあります(最初から太陽を無理に全部すっぽり覆う必要もないので)。

 仮に太陽を全部を覆う球体構造物ができた場合は内部で消費した太陽エネルギーの廃棄が必要になります。そうしないと球体内部は廃熱が蓄積してどんどん熱くなって中の人間は蒸し焼きになります。そこで球体の外面に廃熱を放出するラジエーターを取り付けることになります。そのような球体構造物はおそろしく巨大ですが可視光線では真っ暗で見えません。しかし大量の熱を放出するので赤外線では明るく輝く天体として外部からは見えます。ここからが興味深いのですがダイソン氏は進歩した地球外文明はエネルギー資源の確保ためにそのような球体構造物を作るかもしれず、宇宙の赤外線天体の中にはそんな宇宙人の人工構造物もあるかもしれないというのです。したがって不自然な赤外線天体を探せばおそろしく進歩した宇宙人の文明を発見できるかもしれないというのです。実際に地球外知的生命探査(SETI)の探査の一環として人工赤外線天体の探査が日本でも行われているそうです。

 初めてこの話を聞いた時に思ったことは、そんなエネルギー多消費型の文明が持続可能に存続できるものだろうかということでした。そういう文明はダイソン球建設に着手する以前に行き詰まって衰退するような気がしますし、ダイソン球が建設できたとしても人口が幾何級数的に増えていけば結局ダイソン球で収集できるエネルギーですら割と短時間でまかないきれなくなります。SF作家スティーブン・バクスターの『タイムシップ』ではそんな未来世界を描いています。

 ところが今回『宇宙をかき乱すべきか』の下巻(写真)を読みました所、著者はそのことも含めてきちんと考察していたことが分かりました。それがこのブログ記事の表題の内容です(正確には「銀河系の緑化」です)。こちらも何とも壮大なアイディアですので是非ご一読下さい。


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