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博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

眼に「見えにくい」リスク

2022年12月10日 | 時事
 昨日も本ブログに書きましたように、わが政府は防衛予算の増大や「反撃能力」の強化なるものに前のめりになっているように見えます。脅威の対象は北朝鮮と中国が想定されているようです。確かに北朝鮮は気が狂ったようにミサイルを打上げています。しかし、休戦ラインを境に対峙している韓国の頭越しに日本に対して軍事行動を取るようなことは、たとえ、そうしたくても物理的に不可能でしょう。
 中国はどうでしょうか。「台湾有事」という言葉が少し前まで騒がれていました。もし中国が台湾に軍事的な攻撃を仕掛けた場合に、その余波が日本の沖縄県など南西諸島に及ぶのではないかということが一般に懸念されています。もし本当に中国がそのような軍事行動に出て、その余波が南西諸島に及んだ場合、そこに存在する極東最大の米軍基地嘉手納基地にも影響が及ぶことになります。そうしますと中国軍は米軍とも全面対決をすることになります。さすがに、そこまでの冒険は、今秋の中国共産党大会を乗り切って一見強気に見える習近平氏も踏み切れないような気がします。あのプーチンですら、ウクライナ周辺国のNATO軍事基地に直接攻撃をかけることは(今のところは)していません。台湾を軍事的に併合するために、先ずアメリカ合衆国を軍事的に屈服させるなどということは中国にも不可能でしょう。ですから仮に中国軍が台湾に対して本当に軍事行動に出る場合には、極力台湾本島以外に軍事的影響が及ばないように慎重に行動せざるをえないでしょう。逆にそのように行動すれば、台湾侵攻は、あくまで中国の「国内問題」であると米国と日本に強気で主張できます。現在の中国政府に、そのような主張を強気でできる根拠を与えたのは、他ならぬアメリカ合衆国政府だからです。1972年2月27日に訪中したリチャード・ニクソン大統領が、当時の毛沢東中国の「一つの中国」政策を承認し、台湾から米軍関係の施設を撤去したことによります(いわゆる「上海コミュニケ」)。田中角栄総理(当時)の日本政府も、このニクソン大統領の方針に追随して50年後の今日に至ります。ただし、この上海コミュニケでは「一つの中国」は、あくまで平和的に実現されるべきものとされていますので、現在の中国政府が台湾に軍事行動に出た場合には、上海コミュニケ違反であるとして米国政府が何らかの制裁措置を取る権利はあります。
 以上のように中国、台湾、米国、日本の関係の歴史的背景を考えると、中国の軍事的な脅威が、わが国に直接及ぶ可能性は低いと思います。とはいうものの、私自身は中国の「脅威」は軍事的なものではなく、もっと別の方面からわが国に及んでくるのではないかと懸念しています。そのことについては別に稿を改めて書かせていただこうと思います。


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