博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

グリーン・カラー労働者

2008年12月25日 | 時事
 先月から県内のガソリン価格は急速に低下を続け、レギュラーガソリンはリッター100円に迫りつつあります。何しろ原油価格自体がニューヨーク商業取引所の原油先物相場で今年7月に一時バレル当たり150ドル近くまで上昇したものが、今日25日のニュース(YOMIURI ONLINE)では35.35ドルにまで下落しているのですから。下落の原因は金融危機で投機資金が原油取引に流入しなくなったこともありますが、やはり世界的な需要の減退によるものなのでしょう。それによって深刻な雇用危機が起こっている。
 その一方で、これは予測になりますが、おそらく2008年から09年にかけての二酸化炭素排出量は減少するでしょう。石油エネルギーへの需要が減少しているということは消費量も当然減るからです。つまり金融危機によって温暖化が抑制され石油資源枯渇も回避されることになるわけです。もちろん市場経済の下では石油価格が下落すれば消費者の消費意欲を上昇させるはずです。しかし、この経済危機は長引く可能性があり、そう簡単にはフィードバックしないかもしれません。
 たいへん困ったことに私達は経済が不況であれば、地球環境は保持されると言うジレンマに直面しているのです。しかし雇用危機で困窮する人はどうすればいいのでしょうか。どこかでこのジレンマを解かなければなりません。
 一つの解決法はガソリン税を、バイオマス生産に従事する人の所得保障の原資にすることが考えられます。バイオマス生産というのは、例えば中山間地の間伐材で木炭を生産したり、休耕田や耕作放棄地でバイオエタノール用の稲を栽培したりといったことです。耕作放棄地は2005年統計では日本全国で埼玉県の面積に匹敵する広さですから休耕田と併せて、CO2固定に貢献する効果は大きいでしょう。そこで働く人がいれば実現できます。現状ではバイオエタノール価格は石油より高いので市場性は弱く、働く人への所得補填が必要になります。それをガソリン税でまかなうのです。
 これらは江戸時代以前から普通に里山の農家がやっていた仕事ですので、大規模な技術革新は余り必要ありませんが、木材や稲藁を直接エタノール化する技術革新があれば、もっとCO2固定効果は拡大するでしょう。

 上記のようなことを考えていましたら、アメリカのオバマ次期大統領が、グリーンニューディール政策という名前で、先月12日に発表していたことを知りました。詳細な内容はここです⇒ http://eco.nikkei.co.jp/column/iida/article.aspx?id=MMECcm000010112008&page=2
 その政策では、再生可能エネルギーの作り手をグリーンカラーと呼ぶようです。ホワイトカラーとかブルーカラーなどの名称とのアナロジーですね。
 ちなみに日本の民主党の「次の内閣」も同趣旨の政策提言を今月6日に行っていました。詳細はここです⇒  http://www.asahi.com/politics/update/1206/TKY200812060092.html
 
 ただし財源をガソリン税にするといった明示はありません。私はガソリン税を財源にするのが一番趣旨に適うと思います。実際に車などで石油を消費する人が、CO2固定化の費用を払うというフローになるからです。実現はもちろん困難でしょう。そもそもガソリン税は道路特定財源として使途が固定化されているのですから。但し麻生総理はガソリン税を次年度から一般財源化すると明言しているので可能性はありそうです。
 しかし何よりもグリーンカラー労働者になりたいという人がどれだけいるかが問題ですね。今回の経済危機で雇用を失って困窮してる方々に、こういう仕事をしなさいと簡単には言えるはずがありません。そういう仕事にモチベーションを持てるのか、仕事のスキルをどう養成するのか、休耕田や耕作放棄地の地権をどう調整するのか、考えなければならない課題は山のようにあります。
 そもそも自分ならどうだろうか・・・そういう仕事をしたいだろうか?そこを先ず考える必要がありそうです。

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