今回は、令和4年-健保法問7-E「給付制限」です。
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被保険者が故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由についての
保険給付は行われないため、自殺未遂による傷病に係る保険給付については、
その傷病の発生が精神疾患に起因するものであっても保険給付の対象となら
ない。
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「給付制限」に関する問題です。
次の問題をみてください。
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【 H25-8-A 】
被保険者が道路交通法規違反によって処罰されるべき行為中に起した事故
により死亡した場合、健康保険法第116条に定める給付制限事由に該当する
ものとして、埋葬料は支給されない。
【 R2-6-E 】
被被保険者が道路交通法違反である無免許運転により起こした事故のため
死亡した場合には、所定の要件を満たす者に埋葬料が支給される。
【 H23-2-A 】
被保険者が故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険
給付は行われないため、自殺により死亡した場合の埋葬料は支給されない。
【 H11-6-A 】
被保険者の死亡の原因が自殺である場合、故意に事故を起こしたものとして、
埋葬料は支給されない。
【 H9-2-C 】
自殺が原因の場合、埋葬料は支給されない。
【 H12-4-A 】
被保険者が故意の犯罪行為によって重傷を負い、入院治療を受けた後、死亡
した場合、健康保険からの療養の給付は受けられないが、埋葬料の支給は
行われる。
【 H29-10-A 】
被保険者が、故意に給付事由を生じさせたときは、その給付事由に係る保険
給付は行われないこととされているが、自殺未遂による傷病について、その
傷病の発生が精神疾患等に起因するものと認められる場合は、故意に給付事由
を生じさせたことに当たらず、保険給付の対象となる。
【 H25-10-エ 】
被保険者等が、故意に給付事由を生じさせた場合は、その給付事由について
の保険給付は行われないことと規定されているが、自殺未遂による傷病に
ついて、その傷病の発生が精神疾患等に起因するものと認められる場合は、
保険給付の対象となる。
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「給付制限」に関する問題です。
被保険者又は被保険者であった者が、自己の故意の犯罪行為により、又は故意
に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は行われません。
ただ、故意の犯罪行為により起こした事故のため死亡した場合、死亡は最終的
1回限りの絶対的な事故であるとともに、この死亡に対する埋葬料支給は、被
保険者であった者に生計を依存していた者で、埋葬を行う者に対し、その救済
又は弔慰を目的として支給するという性質のものであることから、埋葬料を
支給して差し支えないとされています。
【 H25-8-A 】と【 R2-6-E 】では、「道路交通法規違反によって
処罰されるべき行為」「道路交通法違反である無免許運転」とあります。
これらは自己の故意の犯罪行為といえ、給付制限の対象となりますが、
いずれも「死亡」しているので、埋葬料は支給されます。
したがって、【 H25-8-A 】は誤りで、【 R2-6-E 】は正しいです。
次に、自殺の場合ですが、自殺は、「自己の故意の犯罪行為により、又は
故意に給付事由を生じさせた」に該当し得ますが、やはり、埋葬料は支給
されます。
【 H23-2-A 】、【 H11-6-A 】、【 H9-2-C 】は、いずれも
「自殺が原因の場合、埋葬料は支給されない」という内容になっているので、
誤りです。
それでは、自殺未遂による傷病については、保険給付が行われるのかといえば、
「自己の故意の犯罪行為により、又は故意に給付事由を生じさせた」ことに
なるので、原則として保険給付は行われません。
また、自殺を図った場合を含めて自己の故意の犯罪行為や故意による傷病に
関して、その死亡前の療養については、どうかといえば、やはり、保険給付は
行われません。
ですので、【 H12-4-A 】は正しいです。
【 H29-10-A 】と【 H25-10-エ 】、【 R4―7-E 】は、自殺未遂
による傷病ですが、「その傷病の発生が精神疾患等に起因するもの」とあります。
この場合は、「故意」に給付事由を生じさせたとは扱いません。
つまり、給付制限事由には該当しないことになり、保険給付の対象となります。
ということで、【 R4―7-E 】は誤りで、他の2問は正しいです。
「自殺による死亡の場合」と「自殺未遂による傷病の場合」とでは扱いが異なり、
自殺未遂の場合でも、その原因によって扱いが違ってきます。
この違い、注意しましょう。