スプラウト 会計のはなし、日々のはなし

名古屋市千種区の税理士法人スプラウトの税理士/社労士/CFP®が綴る日々の様々なこと。

時価とは?

2011-10-11 17:35:58 | Weblog
先日
私が所属する
名古屋税理士会千種支部の
研修に行ってきました。

テーマは
「非公開株式の「譲渡」の時価の謎?」

講師は税理士の牧口晴一先生。

テーマがよかったのと
出席すると
牧口先生の著書である
非公開株式譲渡の法務・税務」4830円
をテキストで使うため無料配布します、
とあったため出席しました。

税務上
「時価」を使うところはたくさんありますが

まず第一に「譲渡」するとき。

税法上、資産を
「時価」よりも低い金額で譲渡したり
「時価」よりも高い金額で購入したりすると
課税上の問題が発生します。

さらに
個人間で売買したのか
個人と法人で売買したのか
法人間で売買したのかによって
課税関係は変わってきます。



第二に
「評価」

法人税では
期末に時価評価しなければ
ならないものとして

例えば
売買目的有価証券の時価法
資産の評価損益
などがあります。

あと相続税では
課税にあたり
相続財産を時価で評価します。

このように
様々な場所で出てくる「時価」ですが

所得税と法人税と相続税では
実はその「時価」の考え方が異なります。

このうち
相続税における時価は
きちんと細かい定めがあるのですが

所得税や法人税で使う時価については
相続税のような細かい定めがありません。


税理士試験の受験勉強では
「時価」は
そもそも数字として与えられるので

「時価」とは何か?ということは
全く論点にならないのですが

実務では
この「時価」を決めることが
一番重要であり、
かつ、難しいところです。

今回の研修は
「非上場会社の株式の時価」が
テーマだったのですが

「時価」の中でも
「非上場株式」の時価が
一番やっかいなところです。

「上場株式」の時価は
株式市場があるため
簡単なんですが

「非上場株式」というのは
広く売買取引がされているわけでは
ありません。

時価というのは
売買取引するときに
いくらで売買するのか?という
金額ですので

そもそもあまり
取引がされないようなものは
「時価」といわれても
困ってしまうわけです。

したがって
相続税で定める方法で
評価することになります。

この相続税で定める方法で
時価を算定すると
「実際そんな金額で買う人は誰もいないよ」
という数字が算出されることがあるので
困ってしまうのですが・・・。

ちなみに
相続税で定める方法で算出する時価は
小規模の会社の場合
「純資産価額方式」か「配当還元方式」
の2つがあり

これは誰と誰が売買するかにより
どちらを使うのかが変わります。

ちなみに
「純資産価額方式」で出した時価と
「配当還元方式」で出した時価には
結構差があったりしますので

売買する前に当事者の関係などを
踏まえたうえで
取引する際の「時価」を決めないと

あとでとんでもないことになります。


テキストに使った本は
事務所に帰ってから読みましたが

専門書としては
珍しく読ませようという気が
あるというか

図解も多く
非常にやわらかい書き方が
されているので
内容はとても濃いのですが
わかりやすかったです。

特に
「一応の結論」として
載せてある
時価マトリックスは素晴らしいものでした。

「時価」という
全国の税理士を悩ませる
グレーゾーンに切り込んで
きれいにまとめた著者の努力には
頭が下がります。

ただ「これが唯一絶対の答えではない」
わけで、なかなか難しいですね。








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