スプラウト 会計のはなし、日々のはなし

名古屋市千種区の税理士法人スプラウトの税理士/社労士/CFP®が綴る日々の様々なこと。

ザ・ゴール

2010-01-29 18:24:02 | Weblog
以前
MG研修を受けている中で
よく「TOC」という言葉を
耳にしました。

TOCというのは
「Theory of Constraints(制約条件の理論)」の
頭をとったもので
製造業などでの生産管理の手法のひとつです。

このTOC理論を考えた
イスラエルの物理学者
エリヤフ・ゴールドラットが書いた
「ザ・ゴール」を読みました。

この本は物語形式になっていて

業績が悪く
閉鎖直前まで追い込まれた工場が舞台。

この工場の工場長である主人公が
大学時代の恩師である物理学者から
TOC理論に基づく助言を受けながら
試行錯誤することで
劇的に工場のパフォーマンスが改善する
という話です。

全部で500ページ以上ありましたが
あっという間に読んでしまいました。

この本は
アメリカでは1984年に出版され
ベストセラーとなったのですが

日本で翻訳され出版されたのは
2001年になってからです。

なぜこんなに出版が遅れたかというと

「日本人にTOC理論を教えてしまうと
 貿易摩擦が再燃して
 世界経済が大混乱に陥ってしまう」

として
作者が許可を出さなかったからだそうです。


このTOC理論とは
どのような考え方なんでしょうか?

まず企業は
現在から将来まで金を儲け続ける必要があります。

そのためには
第一に「スループット(粗利)を増やす」
第二に「在庫を減らす」
三番目が「業務費用(固定費)を減らす」
の3つの方法しかない。

第1の
スループットを最大化するには

製品をたくさん作って
顧客に売ればいいわけですが

製造工程のなかには
必ずといっていいほど
ボトルネックとなる部分があり

工場全体の生産量は
このボトルネックによる生産量で
決まってしまいます。

工場の生産量を増やすには
ボトルネックとなっている部分を見つけ

そこの生産量が最大となるように
改善努力すればいいわけです。

第2の
「在庫を減らす」については

ボトルネック以外の工程が
ボトルネックの工程よりも早くモノを作ってしまうと
余計な在庫がたくさんできてしまう。

工場全体の生産量は
結局、ボトルネックの生産量で
決まるので

ボトルネック以外の工程も
ボトルネックの工程と同じペース
で作業をしたほうが無駄がないわけです。

第3の
「業務費用(固定費)を減らす」は

積極的に削減するというよりは
必要以上に増えないように管理するという意味であり
優先順位は最も低くなります。


この本の中にスループット会計という
考え方が出てくるのですが

これは西順一郎先生の
戦略会計とほとんど同じものであることに
びっくりしました。

製造業は本来
全部原価計算といって
材料費・労務費・製造経費を
全て製品の原価として計算する
ようになっているのですが

戦略会計やスループット会計では
直接原価計算という

材料費だけを
売上に比例する変動費と考え

労務費や製造経費は固定費とする
考え方をとっています。

会計数字を
儲けのために使うには

全部原価計算よりも
戦略会計やスループット会計がもとにしている
直接原価計算で考えた方が合理的です。

西先生はこの本が出版される
ずいぶん前にこの考え方に
辿り着いていたんですね。




レンタル

2010-01-22 19:13:02 | Weblog
最近、近所のツタヤで
毎週DVDを借りています。

旧作は
1本1週間100円なので
とてもお得です。

最近見ておもしろかったのは
「ライアーゲーム」と
「ドラゴン桜」です。

レンタル店における
DVDやCDの税務上の取扱いは
どうなっているのでしょうか?

まず
レンタル用なのか、販売用なのか
で変わってきます。

レンタル用であれば
「減価償却資産」となるので
減価償却で耐用年数にわたって
少しずつ損金にしていくのが原則です。

ただし
10万円未満の資産は
「少額の減価償却資産」として
一度に全額を損金にできるため

レンタル用として
きちんと区分されているDVDやCDは
レンタルに供した事業年度で
全額償却されます。

これに対し
販売用のものは
「棚卸資産」として取り扱われますので
売れるまでは損金になりません。

たまにレンタル落ちのDVDなどを
売っていたりしますが

これはレンタルに供した時点で
全額償却されているので
販売する際の売上原価はゼロとなります。

レンタルの
商売の構造を理解するために
ちょっと計算してみます。

1本5000円で買ってきたとして
新作の期間は最初の3ヶ月間で
この期間は2泊3日まで
一回あたり400円とします。

3ヶ月経過後は
旧作となり
1週間レンタルできるようになり
レンタル料も100円になるとします。

このDVDが
ものすごく人気があって
1年間ずっと回転したとすると
1年間でいくらの収入になるでしょうか?


1.最初の3ヶ月間(90日で計算します。)
 ・90日÷2日=45人が借りられる
 ・45人×レンタル料400円=18,000円

2.その後の9ヶ月間(270日で計算します。)
 ・270日÷7日=約38人が借りられる
 ・38人×レンタル料100円=3,800円

1と2を合わせると
年間収入は21,800円となり

取得価額の5,000円を差引して
利益は16,800円となります。

実際は
1年間切れ目なく借りられることは
ほとんどないと思いますが・・・。


この計算をしてわかることは

・収入のほとんどは
 新作の3ヶ月間で稼いでいる。

・取得価額の5000円は
 13人に借りられたところで回収される。

・その後はレンタル料がすべて利益となる。

・レンタル落ちとして販売する場合
 原価ゼロのため
 どんなに安く売っても損はしない。


レンタル業の場合
回転のよい商品だけを集めて
レンタルするのがベストですが

利用者の側からすると
有名な作品から
マニアックな作品まで
幅広い品揃えをしているお店の方が
ありがたいので

どういう「品揃え」にするかが
難しいところですね。


在庫管理

2010-01-15 17:29:57 | Weblog
製造業や小売業、卸売業のような
在庫を持つ企業にとって
在庫を適正に維持することは
非常に重要となります。

例えば在庫が多すぎると
次のような問題が考えられます。

1.運転資金の固定化
  在庫がたくさんあると
  キャッシュが長期間寝ることになり
  資金繰りの悪化につながる。

2.デッドストック増加
  ライフサイクルが短い商品については
  時間の経過により商品の価値が下がり
  当初の価額で販売できなくなってしまうどころか
  最悪の場合廃棄のための処分費用までかかってしまう。

3.在庫関連費用の増加
  在庫を保管する為の
  倉庫の家賃や在庫管理のための人件費などが
  在庫の増加により増える可能性がある。

4.市場対応力・柔軟性の低下
  製造業の場合
  旧型モデルの材料や部品をたくさん在庫として抱えていると
  新製品への切替が遅れてしまう。


逆に在庫が少なすぎても問題が生じます。

1.品切れによる機会損失増加・信用度低下
  顧客が購入の意思表示をしていても
  在庫切れで販売のチャンスを逃してしまう。
  さらに在庫切れが多いと顧客の信用の低下を招く。

2.生産期間の長期化
  製造業の場合
  材料や部品が在庫切れになってしまうことにより
  (調達できるまで待たなくてはならない分)
  製造期間が長くなってしまう。

3.緊急調達増加によるコスト増加
  在庫切れにより緊急で調達しようとすると
  通常の場合よりも割高になってしまう。

在庫をあまりもたないように工夫した
ビジネスモデルもあります。

パソコンのデルは
BTO方式(Build To Order)
という顧客の注文を受けてから
パソコンの組み立てを行って販売するという
スタイルをとっているため
製品の在庫をかなり抑えることができています。

通常のメーカーだと
ある程度販売予測に従い
見込みで生産をしますが

パソコンは技術の進歩が早いため
見込みが外れると

 売れ残る → 価格低下 → 損失発生 → 新製品が出す余力がなくなる

という悪循環に陥る可能性があります。

でも製品在庫をほとんど持たないデルのやり方だと
このような悪循環が起こりにくいため
同業他社に比べて有利に戦えます。


トヨタが採用している
ジャストインタイム方式は

「必要な材料・部品を必要な数量だけ仕入れて生産する」
という生産管理の手法で
無駄な在庫を極力少なくすることを考えたものです。

MG(マネジメントゲーム)でも
強い人は
在庫の管理の仕方が抜群にうまかったりします。

企業にとって
在庫の適正化は
永遠のテーマですね。

平成22年税制改正大綱

2010-01-08 17:30:48 | Weblog
平成22年度の税制改正大綱が発表されました。

税制改正大綱というのは
税制改正のたたき台ですが

通常そのまま国会で可決されますので
事実上最終決定されたのと同じです。


まず、個人に関係する改正(主なもの)から。

所得控除に関する改正が多いです。

1.扶養控除

          (改正前) (改正後)
   0~15歳  38万円 →  廃止     
  16~18歳  63万円 → 38万円   
  19~22歳  63万円 → 63万円(変更なし)
  23~69歳  38万円 → 38万円(変更なし)

  0~15歳(中学卒業まで)の子どもがいる家庭については
  月2万6千円(初年度は1万3千円)の子ども手当が支給されるため
  扶養控除は廃止となります。

  16~18歳(高校卒業まで)の子どもがいる家庭は
  高校授業料が実質無償化されるため
  扶養控除が63万円から38万円に圧縮されます。

  この改正は平成23年からの適用となります。

2.生命保険料控除
  今まで「一般」と「個人年金」の2系統に分けて
  それぞれ最高5万円、合計で最高10万円まで控除されていましたが
  新しく「介護医療保険料控除」が加わって、全部で3系統になります。

  「介護医療保険料控除」は最高で4万円の控除になり
  3系統全部あわせると合計で最高12万円まで控除されることになります。

  この改正は平成24年以降に新たに契約した保険について適用されます。


3.寄附金控除
  今までは5千円の足きりラインがあったので
  5千円を超える寄付をしないと適用がありませんでしたが
  この5千円のラインが2千円に引き下げられます。

  この改正は平成22年以降にした寄付について適用されます。

4.少額の上場株式の非課税措置
  平成24年~26年までの3年間に
  新たに上場株式を取得し、
  非課税口座(取得価額100万円限度)
  の中に入れた場合には
  その非課税口座の上場株から発生する
  その後10年間の配当や売却益が非課税とされます。


次に法人に関する改正(主なもの)です。

1.特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度
  導入当初から批判の多かったこの制度も
  ついに廃止となります。
 
  そもそも平成18年の会社法の施行により
  最低資本金制度が撤廃され、
  会社が設立しやすくなったことにより
  個人事業主が
  節税目的で法人成りするのを防ぐ目的で作った制度ですが
  この制度に反対する動きが強く
  その後すぐに適用除外を拡大したりして
  結局現状は中途半端な制度になっていますので
  廃止されるのは妥当でしょう。

  この改正は平成22年4月1日以降終了事業年度より適用です。

2.グループ法人税制
(1)100%の関係にある法人間で
   資産の譲渡をした場合の譲渡損益を
   第三者に売却するまで計上しないようになります。

   この改正は平成22年10月1日から適用になります。

(2)親会社の資本金が5億円以上の
  100%子会社の資本金が1億円以下の場合
  従来は使えていた※中小法人の特例が適用できなくなります。

   ※ 中小法人の特例
    ・所得のうち年800万円まで18%の軽減税率を適用
    ・特定同族会社の留保金課税不適用
    ・貸倒引当金の法定繰入率
    ・交際費の年600万円の枠

   この改正は平成22年4月以後開始事業年度から適用されます。

3.解散の場合の清算所得課税
  廃止となり、通常の所得課税に移行するようです。

  この改正は平成22年10月1日から適用されます。

法人関係の改正は
基礎知識がないと難しいですね。
(だから我々の商売が成り立つわけですが・・・)

今年は
政権が交代して初めての税制改正ということもあり
大きな改正が多いですね。

その他に

・社会保障、税共通の番号制度の導入を検討

・税、社会保険共通で徴収を行う歳入庁の新設

・日本年金機構を廃止して、その機能を国税庁に統合

することを考えているようです。

これから何年間かで
いろいろな制度が大きく動いていきそうです。


新しい年

2010-01-01 16:35:06 | Weblog
新年
あけまして
おめでとうございます。

去年は
個人的に
いろいろ実りのある年に
なりました。

まず
社労士試験の合格

これは
平成18年から受けはじめて
かれこれ4回目にして合格しました。

2年目、3年目はいずれも
足きりの1点に泣きましたが

折れそうな気持ちを立て直し
あきらめずに受け続けてよかったです。

それと
MG研修を受けたこと。

名古屋で
ワンデイのMGを
最初に受けたのが去年の1月。

その後西研究所のMGジュニアを

4月に名古屋
5月に滋賀
6月に東京
7月も東京
で受け

そして
8月に
三浦海岸で
3日間のMGシニアコースを受講。

そこでMGインストラクターの仮免許を
いただきました。

MGといえば
新しくMG関連の書籍が出版されました。
利益が見える戦略MQ会計

早速購入しましたが
なかなかよい本です。

2010年の目標は

1.社労士の登録
2.年間50冊の読書
3.5キロ減量
4.MGインストラクターの本免許をもらう

1と4は絶対に達成したい。

2と3はここ数年毎年目標にしていますが
なかなか達成できないので今年こそ。

ここのところ景気が冷え込んで
日本全体あまり元気がありませんが

今年はいい年になりますように。