スプラウト 会計のはなし、日々のはなし

名古屋市千種区の税理士法人スプラウトの税理士/社労士/CFP®が綴る日々の様々なこと。

プロ野球選手と税金

2012-10-04 18:17:54 | Weblog
10月になりました。

今年のプロ野球も
セ・パともに優勝チームが決まり
残りはクライマックスシリーズ
と日本シリーズになりました。


随分前に
プロ野球選手は労働者なのかどうかについて
ブログを書いたことがありますが

今回は
プロ野球選手の税金について
考えてみます。


まずプロ野球選手は
球団と雇用契約をしている従業員ではなく
あくまで個人事業主なので

税金計算上
給与所得ではなく

事業所得(総収入金額-必要経費)
として取扱われます。


総収入金額には
球団からもらう年俸のほか
新人選手の契約金
オールスターの賞金や賞品
CMやTVの出演料なども含まれます。

ちなみに賞品は
時価の60%で評価して
総収入金額に含めますので

仮に500万円の車を賞品としてもらったら
500万円×60%=300万円が
課税対象になるということです。

新人選手の契約金については
そのままだと大変な税額になってしまうので
平均課税という
所得税の負担が軽減できる方法を
とることができます。


次に必要経費ですが

野球選手の場合
一体どういうものが該当するのでしょうか?

まず思い浮かぶのは
バットやグローブ、スパイクの
購入費用。

ただしこれは有名選手の場合
用具メーカーと契約して
無償で提供されることも多いため
購入費用はゼロである可能性もあります。

その他
代理人やトレーナーと
契約している場合はその報酬や

選手会の会費なども必要経費になります。

あとプロ野球選手は
高級車で球場まで通っているイメージが
ありますが
この車の減価償却費も一部経費になります。

高い車を買うのは
自分の体を事故から守るためという理由だと
思いますが
税金対策も考えていると思います。
(勿論、ステータスもあるでしょう)

遠征の際の交通費や宿泊代
キャンプの費用などは
球団が出しているはずなので

これらは選手の側で経費には
なりませんね。


結論として
収入に比べて
経費はあまりないような気がするので

収入のほとんどが
事業所得になってしまうと思われます。


プロ野球選手は税理士や芸能人と同じように
1回の支払いが100万円までは10%、
100万円を超える分は20%
の所得税が源泉徴収され
確定申告の際に精算されます。

普通の人は
1年間の所得税が
源泉徴収された所得税よりも
少なくなるので
確定申告することで還付されるケースが
多いのですが

年俸の高いプロ野球選手は
源泉徴収された所得税では
全然税額が足りず
確定申告で足りない分を
納付するケースがほとんどと思われます。


あと売上が1000万円を超えると
原則としてその翌々年から消費税の
納税義務者となります。

ちょっと活躍している選手だと
年俸1000万円なんて軽く超えていますので
消費税の納税義務者となっている選手は
かなり多いのではないでしょうか?

売上が5000万円以下だと
簡易課税という

消費税の課税仕入を50%(サービス業)
で計算できる制度が使えるのですが

これは
年俸を何億円ももらっている
超一流選手の場合は関係ないですね。


活躍したら年俸大幅アップ
逆に期待を裏切ったら大幅ダウンの
プロ野球選手にとって
最も悩ましいのが住民税です。

所得税はその年の所得について
翌年の3月15日までに
確定申告し精算しますが

住民税は
その年の所得について
翌年の6月、8月、10月、翌々年の1月と
基本的に1年遅れで納税していきます。

去年の年俸は高かったが
今年は年俸大幅ダウンの選手にとっては

今の下がってしまった収入で
去年の高い住民税を支払わなければならず
大変お金がキツくなります。

(ちなみにこの状況は
一発屋の芸能人も経験することになります)


最後にプロ野球選手の税金を
簡単な前提をおいて試算してみます。

仮に年俸1億円の選手の場合
経費が1千万円、所得控除は200万円として
所得税・住民税の合計はいくらになるでしょうか?
(注)面倒なので所得税と住民税の所得控除は同額とします。

1.所得税
(1)総収入金額1億円-必要経費1千万円=事業所得9千万円
(2)事業所得9千万円-所得控除200万円=課税総所得金額8800万円
(3)課税総所得金額8800万円×40%-2,796,000円=32,404,000円

2.住民税
  課税総所得金額8800万円×10%=8,800,000円

3.合計
  1+2=41,204,000円

何と年俸1億円の選手で4千万円を超える税負担です。
すごいですね。


税理士 名古屋/名古屋の税理士法人スプラウト

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