スプラウト 会計のはなし、日々のはなし

名古屋市千種区の税理士法人スプラウトの税理士/社労士/CFP®が綴る日々の様々なこと。

大学デビュー

2012-10-25 19:14:19 | Weblog
来年の1月まで
の約3ヶ月間
某大学にて
FP3級の講義を
させていただくことになりました。

講師業は結構長くやっていますが
大学で講義をするのは
今回が初めてです。

FP3級は
試験自体は難しくありませんが
学習する内容は
結構難しいところも入っています。

あと今回は
大学生が対象ですので
お金に関する基礎知識が
何もないところからのスタートです。

そういった部分も配慮して
講義をする必要があるので
なかなか大変です。

こういう資格試験の講座は
一番初心者向けのものが
実は教えるのが一番難しいんですよね。


FP3級の合格率は
8~9割くらいのため
合格のみを目標とした授業ではなく

せっかくなので
受けてもらっている大学生に
興味を持ってもらえるような
授業にしたいと思っています。


お金に関することって
人生において大変大切なことなのに

今の学校教育では
全くと言っていいほど
教えてもらえません。

みんな
社会人になってから
いろいろな体験を通じて
何となく知識を得ていきます。

ただし
それは体系的な知識ではないので
「わかっているような、わかっていないような」
という感じの方が多いのではないでしょうか?

大学生が
FPの勉強をすると
社会人になってから
仕事面で役に立つこともあるでしょうし

もちろん自分自身の人生でも
役に立つと思います。


昔のように
「終身雇用」で「年功序列の賃金」
だったら
お金のことはあまり考えずに
済んだのかもしれませんが

今は残念ながらそういう時代では
ありませんので

自分で自分の人生はコントロール
していかなければなりません。

知らないと損をすることや
知っていると得をすることは
意外とたくさんあります。

私自身、FPの勉強は
大変面白かったので
今回の大学生たちにも
今回の講座を通じて
面白さを感じてもらえればと思います。



税理士 名古屋/名古屋の税理士法人スプラウト

不定期講座第3弾

2012-10-18 19:18:56 | Weblog
スプラウト会計チームの方から依頼があって
私が講師として行う簡単な社内研修である
不定期講座の3回目を行いました。

テーマは本当は
「決算から申告に関する流れ」という
要望があったのですが

私の個人的な都合により
「社会保険」をテーマにさせてもらいました。


スプラウトは税理士法人ですが
社会保険労務士事務所も併設しています。


一部のスタッフは
労働保険や社会保険の業務を
経験していますが

今回は全員に
「社会保険のおおまかな仕組み」を
理解してもらうような内容構成にしました。


日本の社会保険制度は
「国民皆保険・国民皆年金」という
全ての国民が保険にも年金にも
加入する形をとっています。

よって病気になった場合に
保険証があることで少ない自己負担で
病院に行くことができますし

老後には全員年金がもらえるように
なっています。
(保険料を滞納していなければですが・・・)


世界を見渡しても
日本の社会保険制度は
かなり充実していると思います。

ただし
最近の少子高齢化により
社会保険制度が財政的にピンチになっています。

その昔は「胴上げ型」といって
一人の老人をたくさんの現役世代で
支えるという、まさに「胴上げ」のイメージ
だったのですが

現在は「騎馬戦型」という
3人の現役世代で
一人の老人を支えるという形に変わってきています。

つまり現役世代一人に係る負担が
大変重くなっているのです。

これが将来的には
一人の現役世代で一人の老人を支える
「肩車型」になると言われています。

当然このままではまずいわけですが
我が国の社会保険制度の未来は
今のところまだ見えていません。


講座の方は
サラリーマンと自営業者等で
適用関係が違ってくるといった
社会保険制度の全体像を説明したうえで

各論として以下のような話をしました。

1.健康保険
(1)被保険者等と療養の給付、高額療養費
(2)出産手当金・出産育児一時金
(3)傷病手当金
(4)退職時の医療保険(任意継続・国保・家族の被扶養者の選択)

2.介護保険

3.労災保険

4.雇用保険
(1)基本手当
(2)高年齢雇用継続給付
(3)育児休業給付

5.公的年金制度
(1)公的年金の全体像
(2)1号の保険料免除制度
(3)老齢基礎年金・老齢厚生年金
(4)障害基礎年金・障害厚生年金
(5)遺族基礎年金・遺族厚生年金

6.保険料の計算と納付

これだけの内容を
2時間で説明しました。
(広く浅くです)


反応がよかったのは

「退職後の医療保険は任意継続か?国保か?」
という部分と
「老齢基礎年金は繰り上げ受給すべきか?」
といったところです。

退職後の医療保険については
お客さまからも聞かれるところですので
判断のポイントを説明しましたが

老齢基礎年金の繰り上げ、繰り下げは
どちらが有利かは判断が難しいという
話をしました。



現在の日本の社会保険制度は
自営業者等に比べサラリーマンが随分手厚く保護
されています。

参加者は皆
健康保険・厚生年金に加入していて
日頃から毎月の給料から天引きされている保険料が
「高いな~」と感じていたようですが

今回の講座を聞いて
保険料が高い分
手厚い給付が受けられるということを
理解してもらえたのではないかと思っています。



税理士 名古屋/名古屋の税理士法人スプラウト





間に合うのか?(たぶん間に合わない)

2012-10-11 18:00:00 | Weblog
昨日は一日
税理士会の研修で
金山の日本特殊陶業市民会館に
缶詰めになっていました。

日本特殊陶業市民会館は
この前まで
中京大学文化市民会館だった
名古屋市民会館です。

ネーミングライツは
一度契約したら
ある程度長期間続けてもらわないと
市民が混乱しますよね。

今回の研修の案内文書には
「日本特殊陶業市民会館(名古屋市民会館)」
のほかに「旧 中京大学文化市民会館」と
会場名が3つも書いてありました。

メンドクサイですね。


今回の研修は
午前が「知っておきたい給付付き税額控除、
社会保障、税共通番号制度について」

午後が「知っておきたい解散・清算の
税務実務のポイント」
というテーマでした。

午後の
「解散・清算の税務実務のポイント」
については

私が普段専門学校で授業しているような
マニアックな内容で

私は基礎知識がある分
内容はある程度理解できましたが

そもそも「解散・清算」というのが実務でも
そう頻繁に出てくるわけではない特殊論点ですし

ここ数年の税制改正で以前と内容が大幅に変わり

さらに講師の先生が
大変難しい部分まで突っ込んで
説明されていたので

今の解散の基本的な課税関係がわかっていないと
まったく話についていけなかったのではないかと思います。


午前中のテーマである
「給付付き税額控除」は
平成25年に予定されている
消費税率引き上げに伴い
低所得者の方の負担が重くならないように
手当する方法の一つです。

もう一つ「食料品等に対する軽減税率」という
方法もありますが

総合的に考えて
「給付付き税額控除」の方が
現状では一歩も二歩もリードしているような
気がします。

その「給付付き税額控除」の導入に欠かせないのが
通称「マイナンバー」と呼ばれる
「社会保障、税共通番号制度」です。

今のやり方では
個々人の所得の把握に限界があり

例えば
無職だが
預金をたくさんしていて
多額の利息収入がある人は

その利息収入については
源泉徴収だけで課税が完結し
確定申告する必要がないため

低所得者として認定されてしまう
可能性があります。

「マイナンバー」を導入すれば
少なくとも今よりは
所得の正確な把握が可能となりますので
消費税率のアップまでには
何とかしたいんだと思いますが

時間的に
もう間に合わない可能性が高いですね。

現在
各種の公的な手続きが
合理的に運営されているとは
とても言えませんが

「マイナンバー」が導入され
税務と社会保障その他を共通の番号で
管理することにより、様々な無駄を
省ける可能性があります。


例えば
会社が移転したからと言って
異動前と異動後の
所轄の税務署や異動後の県税事務所、市町村役場等
にそれぞれ(ほぼ同じ内容の)異動届を出さなければならないと
言ったようなことが、少しでも改善されることを
心から願います。



税理士 名古屋/名古屋の税理士法人スプラウト










プロ野球選手と税金

2012-10-04 18:17:54 | Weblog
10月になりました。

今年のプロ野球も
セ・パともに優勝チームが決まり
残りはクライマックスシリーズ
と日本シリーズになりました。


随分前に
プロ野球選手は労働者なのかどうかについて
ブログを書いたことがありますが

今回は
プロ野球選手の税金について
考えてみます。


まずプロ野球選手は
球団と雇用契約をしている従業員ではなく
あくまで個人事業主なので

税金計算上
給与所得ではなく

事業所得(総収入金額-必要経費)
として取扱われます。


総収入金額には
球団からもらう年俸のほか
新人選手の契約金
オールスターの賞金や賞品
CMやTVの出演料なども含まれます。

ちなみに賞品は
時価の60%で評価して
総収入金額に含めますので

仮に500万円の車を賞品としてもらったら
500万円×60%=300万円が
課税対象になるということです。

新人選手の契約金については
そのままだと大変な税額になってしまうので
平均課税という
所得税の負担が軽減できる方法を
とることができます。


次に必要経費ですが

野球選手の場合
一体どういうものが該当するのでしょうか?

まず思い浮かぶのは
バットやグローブ、スパイクの
購入費用。

ただしこれは有名選手の場合
用具メーカーと契約して
無償で提供されることも多いため
購入費用はゼロである可能性もあります。

その他
代理人やトレーナーと
契約している場合はその報酬や

選手会の会費なども必要経費になります。

あとプロ野球選手は
高級車で球場まで通っているイメージが
ありますが
この車の減価償却費も一部経費になります。

高い車を買うのは
自分の体を事故から守るためという理由だと
思いますが
税金対策も考えていると思います。
(勿論、ステータスもあるでしょう)

遠征の際の交通費や宿泊代
キャンプの費用などは
球団が出しているはずなので

これらは選手の側で経費には
なりませんね。


結論として
収入に比べて
経費はあまりないような気がするので

収入のほとんどが
事業所得になってしまうと思われます。


プロ野球選手は税理士や芸能人と同じように
1回の支払いが100万円までは10%、
100万円を超える分は20%
の所得税が源泉徴収され
確定申告の際に精算されます。

普通の人は
1年間の所得税が
源泉徴収された所得税よりも
少なくなるので
確定申告することで還付されるケースが
多いのですが

年俸の高いプロ野球選手は
源泉徴収された所得税では
全然税額が足りず
確定申告で足りない分を
納付するケースがほとんどと思われます。


あと売上が1000万円を超えると
原則としてその翌々年から消費税の
納税義務者となります。

ちょっと活躍している選手だと
年俸1000万円なんて軽く超えていますので
消費税の納税義務者となっている選手は
かなり多いのではないでしょうか?

売上が5000万円以下だと
簡易課税という

消費税の課税仕入を50%(サービス業)
で計算できる制度が使えるのですが

これは
年俸を何億円ももらっている
超一流選手の場合は関係ないですね。


活躍したら年俸大幅アップ
逆に期待を裏切ったら大幅ダウンの
プロ野球選手にとって
最も悩ましいのが住民税です。

所得税はその年の所得について
翌年の3月15日までに
確定申告し精算しますが

住民税は
その年の所得について
翌年の6月、8月、10月、翌々年の1月と
基本的に1年遅れで納税していきます。

去年の年俸は高かったが
今年は年俸大幅ダウンの選手にとっては

今の下がってしまった収入で
去年の高い住民税を支払わなければならず
大変お金がキツくなります。

(ちなみにこの状況は
一発屋の芸能人も経験することになります)


最後にプロ野球選手の税金を
簡単な前提をおいて試算してみます。

仮に年俸1億円の選手の場合
経費が1千万円、所得控除は200万円として
所得税・住民税の合計はいくらになるでしょうか?
(注)面倒なので所得税と住民税の所得控除は同額とします。

1.所得税
(1)総収入金額1億円-必要経費1千万円=事業所得9千万円
(2)事業所得9千万円-所得控除200万円=課税総所得金額8800万円
(3)課税総所得金額8800万円×40%-2,796,000円=32,404,000円

2.住民税
  課税総所得金額8800万円×10%=8,800,000円

3.合計
  1+2=41,204,000円

何と年俸1億円の選手で4千万円を超える税負担です。
すごいですね。


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