スプラウト 会計のはなし、日々のはなし

名古屋市千種区の税理士法人スプラウトの税理士/社労士/CFP®が綴る日々の様々なこと。

役員給与のルール

2009-05-29 18:08:25 | Weblog
前回のブログで

税負担を考えると
会社で利益を出すより
その分社長の給料を増やした方が
節税になる、

という内容の記事を書きましたが


今回は役員の給与の税務上の取扱いについてです。

法人税では

使用人の給与については
制限なく経費になるのですが(役員の親族である使用人は除く)

役員の給与については
様々な制限があります。


一つ目は
「役員に対する賞与は原則として経費にならない」

ただし事前に何月にいくら賞与を出す旨の届出をしておき
その届出どおりに支給した場合は
役員賞与を経費とすることが認められます。

届出してあっても、届出の内容と違う金額を支給したら
経費にはなりません。

二つ目は
「役員に対する報酬は原則として期中に改定できない」

役員報酬は毎月定額であることが前提なので
期中に報酬額を増やしたり、減らしたりすることは
原則として認められません。

ただし、例外として
期首から3ヶ月以内に改定する場合はOKです。

3ヶ月過ぎてしまってから改定する場合は
それなりの理由が必要になります。

例えば

 ①期中に社長が交代することになり
  今まで専務だった人が新しく社長に就任することに
  伴い給与を増額する場合。


 ②銀行との間の
  借入金返済のリスケジューリングの協議により
  社長の給与を減額することが条件となる場合。


 ③役員が入院することになり
  入院中職務の執行ができないので
  その期間だけ役員給与を減額する場合


のような状況であれば

3ヶ月を過ぎていても役員報酬の改定が認められます。


ただ売上が下がったからとか
一時的に資金繰りが厳しいからくらいの理由では
改定が認められませんので注意しましょう。


その他にも役員給与には
「過大な役員給与は経費にならない。」
「オーナー会社の社長の給与のうち給与所得控除に相当する金額は
 経費にならない。」

などいろいろな制限規定があります。


役員給与は利益調整に使われることが多いため
経費にするための条件が厳しくなっています。

できるだけ
期首の段階で1年間の業績を予測して

その予測に基づき
期首から3ヶ月以内のタイミングで
適正な役員報酬を決定しておくといいのですが

この業績のヨミがなかなか難しい・・・。



裏金づくり

2009-05-22 18:39:27 | Weblog
会社の利益には
大体30%~40%くらいの税金がかかります。

1000万円の利益が出ても
400万円くらいは税金でもっていかれるので
手元に残るのは600万円です。

まじめな社長は
会社のことを考えて
「自分の役員報酬を低く抑えて
 会社の利益をたくさん出そう」
と考えたりしますが
それだとかえってお金が残りません。

この場合に
例えば役員報酬を1000万円増やして
利益をゼロにすると

利益に対しての税金は
住民税の均等割(最低7万円)だけになります。


もちろん
役員報酬を増額した分だけ
社長個人の所得税や住民税の負担は増えますが

それでも通常は
会社の利益に対してかかる税額よりは
負担が低く抑えられます。


この考え方が
日本の中小企業の節税の基本となります。

間違ってはいけないのは
この場合の役員報酬は
「ただの数字」です。

社長が全部自由につかっていいわけではありません。

一度会社から社長個人の口座に振り込みしますが、
使っていいのは必要最小限の生活費だけ。

残りは会社の帳簿にはのっていませんが
実質的には「会社のお金」として
残しておきます。

これが合法的な「裏金」です。

調子がいいときに
将来のことを考えて
「裏金」を作っておくと

ピンチになったときに
その「裏金」に助けてもらえます。

ダメな社長は
たくさんもらっている役員報酬を
すべて自分のお金と勘違いして
贅沢してしまい

その結果、ピンチになったときに
あわててしまいます。

中小企業の場合
会社と社長は一体です。

社長自身のお金がいくらあるのかで
その会社の安定度がわかります。

でも貸借対照表にのっていないので
外部の人にはわからないですよね。

注記でもした方がいいかも・・・。

滋賀ダイハツにて

2009-05-15 17:56:01 | Weblog
先週の土日に
滋賀の栗東に
MG研修を受けに行ってきました。

今まではずっと
名古屋で開催するものだけ参加していましたので
今回が初めての遠征です。

4月にMG研修を名古屋で受けたばかりなのに
なぜ今回わざわざ滋賀まで行ったのかというと・・・

次の名古屋での開催が9月だからです。

しかもその9月は学校の授業の関係で出られない。

このMG研修は
「半年間、毎月1回、30期くらいになるまでは
集中して受けた方がよい」と言われています。

そうすると
戦略会計の考え方が体に染みこんでくるそうです。

確かに頭でわかっただけでは
使いこなせません。

戦略会計の考え方をMGの中で使ってみて
腑に落としていかないと
自分のものにできないなと思いました。

今回のMGは「滋賀ダイハツ本社」の3階で行われました。

この滋賀ダイハツの元社長をされていた
カリスマ経営者の後藤昌幸氏
の主催です。

後藤氏はダイハツの社長だった頃に
MGや戦略会計の考え方を使って
会社を再建しました。

ということもあり
参加者は非常に多く(ほとんどが初めての方)

全部で8卓で行われました。

初めての方が多いと
どんどん安売りになっていく
傾向があるんですが

私は安売り合戦にどう対応すればいいのか
戦略がうまく立てられず

数字としては大赤字で終わりました。

卓の履歴は
B → D → C( → C)
です。

でも楽しくなかったかといえば
そんなことはなくて
前回よりも余裕があった分
楽しくMGができたような気がします。

前回の名古屋で一緒だった方との再会もあり

新しい出会いもあり

私、普段は結構人見知りなんですが

MGをやっていると
自然と知り合いがたくさんできますね。

次はなんとかA卓デビューできるよう
頑張りたいと思います。

もとが取れるのか?

2009-05-08 17:55:57 | Weblog
お金の使い方は
ビジネス上、最も重要な意思決定の一つです。

個人でお金を使う場合は
支出額に対し
自分自身の満足が最大になるように
ということを中心に考えればいいのですが

ビジネスでお金を使う場合は
その支出した金額が
将来売上として回収できるかどうか
で考えなければなりません。


限られた資金をもとに
最大の効果を出すには
何にいくらつかうべきか?

ここの判断が会社の浮沈の鍵となります。

例えば
社長が必要以上の高級車に乗るのは
節税にはなっても
将来の売上の獲得には全く貢献しません。

「節税になるんだからいいじゃないか。」
という考えもあるかもしれませんが

節税のことだけを考えてお金を使う会社は
結局かえってお金を失うことになります。

その他に
売れると思って沢山仕入れた商品が
売れ残ってしまった
というように

売上に貢献させるはずが
見込み違いになってしまう場合もあります。

この場合は
もったいないと思わずに
さっさと処分するのも大事な決断です。

在庫は時間が経過すると
どんどん価値が下がって現金に戻りにくくなります。

そうなる前に
安くてもいいから売ってしまうことで

手元の資金は増えますし
売却損が出た分だけ節税にもなります。

お金を支出して
それ以上のお金を回収するのが
ビジネスのサイクルです。

将来の回収につながらない支出は
できるだけ少なくしないと
限られた資金はすぐに底をついてしまいます。

「お金がなくなったら銀行から借りればいい」

この考えも危険です。

確かに現状の資金繰りは楽になりますが
融資を受けることは
結局将来の資金を前借りしているだけです。

返済分だけ
将来、余剰資金を生み出さないといけないわけで
どんどん先の資金繰りは厳しくなっていきます。

支出をする前に

「その支出は売上に貢献するのか?」

これをよく考えましょう。





お風呂をイッパイにする。

2009-05-01 17:48:44 | Weblog
事業をする上で
損益分岐点を知っておくことは
基本中の基本です。

以前読んだ本の中に
「事業は固定費の回収作戦である」
というようなことが書いてあり

イメージ図として
お風呂にバケツで水を入れていくようなものが
のっていました。


・バケツ1杯が商品が1個売れたときの粗利

・お風呂が固定費

・お風呂をイッパイにできたところが損益分岐点

・お風呂から水があふれたらそれが利益


これがすごく印象に残り

今でもクライアントとお話するときに
よく例えに使って説明しています。


粗利については
大きいバケツと小さいバケツで説明します。

 「バケツが大きいと1回でたくさん水が入るけど
  重たくなるのでその分回数は少なくなる。」

 「バケツが小さいと1回あたりの水の量は少ないが
  軽いので回数が多くできる。」


固定費については
お風呂の大きさで説明します。

 「お風呂が大きいと
  イッパイにするのに時間と労力がかかる。」

 「お風呂が小さい方が
  時間と労力をかけずにイッパイにできる。」


利益については
お風呂からあふれた水で説明します。

 「お風呂がイッパイになり水があふれたら
  あふれた分は次の日のお風呂に入る。」

 「お風呂の水が足りなかったら
  誰かからお水を借りてこないといけない。」

必要以上に大きいお風呂にすると
水を入れるのに大変ですよね。

結構わかりやすいので
気に入って使っています。