スプラウト 会計のはなし、日々のはなし

名古屋市千種区の税理士法人スプラウトの税理士/社労士/CFP®が綴る日々の様々なこと。

会計の因数分解

2010-10-30 17:24:08 | Weblog
昨日、大阪で
「戦略MQ会計セミナー」を
受けてきました。

名古屋でも今週の火曜日に
行われたのですが
他の予定とぶつかっていたので
大阪に行くことになりました。

大阪は
名古屋から新幹線で1時間かからないので
あっという間に着きます。

戦略MQ会計というのは
私が去年から受けている
マネジメントゲーム(MG)の
開発者である西順一郎先生が
考え出された
実際の経営に役立つ会計理論です。

私が税理士試験の勉強で学んだ
制度会計は単なるカネ勘定であって
カネ儲け(経営)にはあまり役に立ちません。

とくに中小企業の決算書は
何のために作っているかというと
・税務申告のため
・銀行から融資を受けるため
で終わっていることがほとんどです。

戦略MQ会計は
社長の意思決定に役立つ会計であり

1.科学的(数学的)
2.戦略的
3.誰でもわかる

という特徴があります。

特に3の「誰でもわかる」が重要で

いくら優れていても
専門家しか理解できないような
内容であれば
実際使えないわけです。


私が最初に戦略MQ会計に
出会ったときに衝撃を受けたのは

売上を
P(プライス)×Q(クオンティティー)

というように
単価と個数に因数分解して考えることで
売上を増やす方法が見えてくることです。

「売上」を「P×Q」と表現することで
いろんな戦略が見えてきます。

売上を増やすためには
「P(プライス)」を上げるという方法と
「Q(クオンティティー)」を増やすという方法があり

通常Pを上げるとQは減り
Pを下げるとQは増えるため

・Pを下げてその分Qを増やす戦略でいくのか(薄利多売型)

・Qが減るのを覚悟でPを上げる戦略でいくのか(専門店型)

と売上を増やすといっても方法は様々であることがわかります。
(他にもいろいろな戦略がありますが省略)


でも売上が最大になればいいかというと
そうではなく

粗利(M(マージン)×Q)が固定費(F(フィックスドコスト))を超えなければ
儲けは出ないわけなので、粗利(MQ)が最大になるような
戦略をとる必要があります。


モノが売れないからと言って
何の戦略もなく値下げしている会社は
売上が増えたとしても儲かりません。

基本的に薄利多売型の商売は
かなりの個数を販売しなければならないため
大資本の会社でないとうまくいきません。

中小企業がとるべき戦略ではないわけです。

中小企業が生き残るためには
あまりP(プライス)を下げなくていいように
競合他社にない付加価値をつける方法しか
ありません。

付加価値の付け方は
前にマーケティングの本(「売れる会社のすごい仕組み」)
に書いてあった
「密着軸」という差別化
が現在の日本のような成熟社会に
一番合うやり方だと思います。

「密着軸」とは
「顧客の個別ニーズ」を満たすような
商品やサービスを提供することで他社との差別化を図る
方法で、顧客ニーズの分だけマーケットが多様化するため
その分生き残るチャンスも多いわけです。


あと利益を出すために
原価を削ったり、固定費を削ったりしても
いい結果を生むとは限りません。

原価を削っても
その分、提供する商品やサービスの
質が落ちてしまったら
お客さんは買わなくなります。


固定費についても
一律に何%カットするなんていう
何の戦略もないコスト削減は
一番やってはいけません。

固定費の中には
将来の売上の獲得に貢献する
例えば
・研究開発費
・広告宣伝費
・教育研修費
のようなものがあり

これを削ると
将来の売上がどんどんジリ貧になっていきます。
(この辺はMGをやると実感します)

でも他の固定費よりも削りやすいので
ここから手をつける会社が多いのですが・・・


固定費のうち
ただのコストはどんどん削るべきです。

人件費でも例えば
本当に必要な残業代は仕方ないですが

何となくの残業は
会社にとって何の意味もありません。

同じ金額を払うにしても
頑張った成果を賞与という形で
支払った方が従業員のモチベーションアップに
つながるはずです。


今回のセミナーで
すごくヒントになったのは

経営にとって大事なのは
「時間当たり付加価値(MQ/H)」を上げること

そのためには業務の流れの中で
「ボトルネック」となっている箇所を見つけること

「ボトルネック」を見つけるために
業務フロー分析をすることが大事である

業務フロー分析で
「ボトルネック」が見つかったら
ここを改善することで

「時間当たり付加価値(MQ/H)」が上がる

ということです。

改めて戦略MQ会計は奥が深いと思いました。

ちなみに戦略MQ会計については
利益が見える戦略MQ会計」という
素晴らしい本があります。

興味を持った方は是非読んでください。


ドラッカーブーム

2010-10-22 18:13:35 | Weblog
最近本屋さんに行くと
ドラッカー関係の本が
山積みされていたりして

ちょっとしたドラッカーブームに
なってますね。

ブームのきっかけとなったのが
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
という本です。

高校野球のマネージャーが
マネージャーの仕事を理解しようと
本屋さんで勘違いして買った本が
ドラッカーの「マネジメント」。

この「マネジメント」に書いてあることを
野球部にあてはめて実践することで
弱小野球部を躍進させる、という話で

私も読みましたが
ドラッカーをこういう切り口で
紹介した本は(私の知っている限りでは)今まで
なかったですし、何より読みやすい
ところが受けたんだと思います。
(表紙はちょっとオタクっぽくて個人的には好きじゃないですが・・・)

来年の3月にはNHKでアニメが
放送されるようです。

他にもドラッカー関連の本で
面白いものが出版されました。
ドラッカーと会計の話をしよう
です。

著者は
餃子屋と高級フレンチではどちらが儲かるか?」や
美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?」で有名な
林總氏です。

利益とは何か?というのが
今回の本のメインテーマで

あるレストラン経営者が
うまくいっていない自分の店の買収話をするために
東京からロスへ向かう機内で
カリスマ経営者と隣合わせになり

飛行機が着くまでの間
いろいろな話をすることになります。

レストラン経営者は
毎期利益を出していたのに
資金繰りは火の車だということを
カリスマ経営者に話します。

カリスマ経営者は

自分が過去
経営の目標は利益を追求することだ
と考えていたが、利益を追求しても
経営がなかなかうまくいかず、
利益とは一体何なのかがわからなくなったこと、

そんなときにドラッカーの著作に出会い
「利益を強調することは事業の存続を危うくする」
と書いてあるのを見て衝撃を受けたこと、を話し

「利益というものがいかにいい加減な代物か」
ということを伝えます。

このカリスマ経営者は
システム手帳に
ドラッカーの言葉を
書き込んでいて

レストラン経営者と話をしながら
そのドラッカーの言葉をもとにして
「利益とは何か?」
「経営とは何か?」の
答えを出していきます。

結果
レストラン経営者は
自分の店の経営がいかに
間違っていたかを認識することになります。

著者である林氏は
公認会計士であり管理会計の専門家ですが
この本の登場人物と同じように
利益や会計がわからなくなったことがあり
そんなときに答えを出してくれたのがドラッカーだった
と述べています。

ドラッカーは超一流の
経営学者、社会生態学者であるだけでなく
実は会計学者としても素晴らしかったわけですね。





解雇について

2010-10-15 18:59:00 | Weblog
社労士登録をしてから
おかげさまで
いろいろと社労士関係の仕事も
やっています。

今週1週間は特に頭の中が
労働基準法になっているため
今回は「解雇」についてまとめてみます。

会社が従業員を
解雇する場合

何も考えずに
解雇してしまうと
あとでいろんな問題が発生します。

問題となるポイントは大きく2つあります。

まず一つ目が
「解雇予告」について。

解雇する場合は
30日前に解雇の予告をする必要があります。

または

30日分の給与に相当する解雇予告手当を
支払えば、即時解雇できます。


この解雇予告手当を支払わずに
即時解雇すると
あとで労働基準監督署から呼び出されて
解雇予告手当の支払いを指導されることもあります。

そういえば解雇予告手当については
TVドラマの「カバチタレ」でも
出てきましたね。


試用期間中の解雇は
解雇予告や解雇予告手当が
いらない、という勘違いも結構多いです。

試用期間でも14日を超えて解雇する場合には
解雇予告や解雇予告手当が必要になります。

この規定を悪用して
14日間は真面目に仕事をして
14日を過ぎてから
解雇されるようにわざと仕事をさぼりだして
解雇予告手当をもらって解雇されることを
いろんな会社で繰り返しやっている人もたまにいるようです。

ちなみに解雇予告手当は
税務上、退職所得として取り扱われます。
(給与所得ではありません)

二つ目は
「解雇の事由」について。

労働契約法で

「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、
 社会通念上相当であると認められない場合は、
 その権利を濫用したものとして、無効とする」

と定めています。

つまり
解雇には合理的な理由が必要で

合理的な理由がなく解雇した場合は
解雇自体が無効とされる可能性があります。

この解雇事由の部分でトラブルにならないためには

①就業規則に解雇の事由を書いておき、その事由に基づき解雇すること

②会社が解雇を避けるための努力をしたこと

が重要になります。

①については
まず就業規則に記載する解雇の事由が
正当なものである必要がありますが

その事由に当てはまっているという
客観的な証拠も残しておいた方がいいです。

例えば何か従業員がトラブルを起こしたことについての始末書を
とっておくなどです。

②については
例えばある仕事で能力が発揮できない人を
他の仕事に配置換えしたりすることで
解雇を避けるための努力を会社が行ったかということです。


というように
一回本採用してしまうと
解雇することは難しくなるのですが

試用期間中の解雇については
解雇の事由についてあまり厳しく問われません。

試用期間は3ヶ月くらいで設定していることが
一般的に多いですが
会社としては少し長めにしておいた方が
有利です。
ただし長くても6ヶ月くらいが限度かと思いますが。
(試用期間の長さについては法律の定めがありません)


あとは
雇用保険の離職票に
離職の事由を書く欄があります。

ここに会社都合の離職である旨の記載をすると
雇用保険の助成金がしばらくの間受けられなくなりますので、
助成金を受ける予定の会社は注意が必要です。



腹筋3000回って・・・

2010-10-08 17:38:36 | Weblog
8月の終わりくらいから
健康のため
夜近所を走っています。

過去にも走ろうと思ったことが
何回もあり
それがだいたいいつも同じタイミング。

きっかけは
7月に受ける健康診断です。

健康診断の結果を見て
「まずいなー」と反省し
ただ、暑いのでなかなか
運動する気になれず

夜少し涼しくなってきた
8月の終わりくらいから
走り出し

寒くなってくるとともに
だんだんフェードアウトするという

我ながら無意識のうちに
同じ考えで同じことを繰り返しているなと
思います。

いつも何キロくらい
走っているんだろうと思い
ネットで調べると
マピオンの「キョリ測」という
サイトがありました。

いつも走っているルートを
地図になぞっていくと
結果が表示されました。

距離は3.9キロ
ジョギングだと
おにぎり2.3個分の
消費カロリーのようです。

そして
家に帰ってからは
腹筋を50回やるように
しています。

結果、前よりも
1キロくらい痩せました。

ちなみに
少年隊の東山紀之氏は
毎日腹筋1000回、月100キロ走るのを
23年間続けていて

レアルマドリードの
クリスティアーノ・ロナウド選手は
毎日腹筋3000回やっているそうです。

私はまだまだ甘いですね。

今の季節は夜涼しいので
ランニングしていても気持ちいいですが

問題は涼しいから寒いに
季節が変わってきてからです。

今年は
寒くなってもフェードアウトしないよう
頑張りたいと思います。



初めての研修

2010-10-01 18:33:34 | Weblog
社労士登録して
1ヶ月経ちました。

今日は
社労士として初めて
社労士会の研修を受けてきました。

会場はウィンクあいちの大ホールで
研修のテーマは
「改正労働者派遣法の動向」でした。

会場に入って周りを見ると
税理士会の研修よりも
やや平均年齢は低そうで
女性の比率が高い気がしました。
(税理士業界は平均年齢60歳)

講師をされていたのが
大学の先生で
私よりも5歳くらい若い女性の方でした。

その先生の肩書は「助教」だそうで
昔は
「教授・助教授・専任講師」と呼んでいたのが
今は
「教授・准教授・助教」と
名前が変わったそうです。

研修はまず
派遣についての
歴史的な流れから始まりました。

今は
派遣労働者として
仕事をされている方が
たくさんいますが

派遣という形態が
認められるようになったのは
1985年で
適用対象となる業種も専門的なものに
限られていたようですが
その後徐々に
適用対象となる業種が拡大していき
一番大きかったのが
2003年の製造業への派遣解禁です。

企業にとっては派遣を使うことにより
・正社員の場合固定費となる人件費を変動費化できる。
・派遣会社へ払う対価が消費税の課税仕入れとなり有利。
というようなメリットがあるため

多くの製造業が
工場の労働者を派遣に切り替えていきました。

景気がよく派遣でも仕事が
たくさんあるうちはよかったのですが

リーマンショック以降
多くの企業が業績を落とし
そのしわ寄せが
正社員よりも調整しやすい
派遣社員にいきました。

政府の行った規制緩和が
裏目に出たわけです。

そのようなこともあり
現在もう一度
労働者派遣法を規制緩和から
規制強化へ改正するように
動いています。

その先生が講義の最後に
「労働法というのは
過去不利な立場にあった労働者たちが
血を流して作り上げてきたもので

私は労働法の専門家として
それを研究し伝えていく責任がある」

と言っていたのが印象的でした。

現在の経済状況の中
企業に昔のような余裕はなく
従業員に将来の安定を約束するのが
難しくなっているのが
労使の信頼関係を弱くしている気がします。

昔のように
会社が終身雇用を約束する代わりに
従業員は会社に忠誠を尽くす
というのは
今思えば非常に幸せなことですね。