スプラウト 会計のはなし、日々のはなし

名古屋市千種区の税理士法人スプラウトの税理士/社労士/CFP®が綴る日々の様々なこと。

志高く

2011-06-28 08:20:00 | Weblog
ソフトバンクの孫正義氏の

自伝的な本である
志高く 孫正義伝(完全版)」を読みました。

その昔
孫氏がMGをやっていた
という話を前から聞いていて
どんな人なのか興味がありました。

この本を読む前から

すごい人だとは
思っていましたが

私が想像していた以上でした。

まず
中学3年生のときに猛勉強して
超難関の「久留米大附設高校」に入学

そしてせっかく入った
この名門高校を
高校1年の1学期で
中退してアメリカの高校に留学します。

この留学の前に
藤田田氏に会いに行き
アメリカで何を勉強してくるのがいいのかを
聞くと、藤田氏は「これからはコンピュータを勉強するのがいい」
と答えたようです。
(1970年代の前半に今のような時代がくることを
予見していた藤田氏もすごい。)

アメリカの高校へ入ってからは
飛び級であっという間に卒業し

その後
「カリフォルニア大学バークレー校」へ

大学在学中に
音声機能付き他言語翻訳機を開発し
それをシャープに1億円で売り込み

その資金を元手に

日本では下火になっていた
インベーダーゲームを
日本から安く輸入して
アメリカで商売し
これも大成功しました。

でも、このビジネスは
友人に譲って

大学卒業後
日本に帰国して
ゼロから
ソフトウェアの卸売りなどの商売をスタートします。

病気などもされて
いろいろ苦労もあったようですが

電話の際に一番安い回線を選ぶ装置を発明したり

インターネット黎明期にYahoo!に出資し
その後米Yahoo!と合弁でYahoo!Japanを
設立したり

ナスダックジャパン(現ヘラクレス)を米ナスダックと共同で立ち上げたり

ボーダフォンから
携帯電話事業を買収したり

野球チームのオーナーになったり

とすさまじい活躍をされています。

東日本大震災でも
個人で100億円と
これから引退までにソフトバンクから受ける
役員報酬の全額という
とんでもない金額の寄附をすると
発表されていました。

どれだけお金を稼いでいても
ビジネスをしている以上
孫氏も将来の不安やリスクを
考えたはずです。

でもそんなことよりも
目の前で困っている人たちを
助けたいという気持ちが勝つのが
素晴らしいですね。

人間としてものすごく
スケールの大きい方ですね。







ことわざとマーケティング

2011-06-20 17:47:12 | Weblog
ことわざで鍛えるマーケティング脳(佐藤義典著)」を
読みました。

数あることわざは
世の中の本質を見事についていますが

この本を読むと
マーケティング理論と同じことを言っている
ことわざもたくさんあることがわかります。

ことわざは
マーケティングという考え方の
ない時代から使われていますので
それだけ普遍的ということですね。


「餅は餅屋」
   ↓
餅は餅屋がついたものが一番うまい
   ↓
自分のビジネスの事業領域に集中したほうがいい


「ローマは一日にして成らず」
   ↓
大きな仕事をするには長期的な努力が必要
   ↓
他社に真似されない独自資源の育成には時間がかかるが
だからこそ長期間維持可能な差別化になる。


「凡事徹底」
   ↓
単純なことを徹底的に行うことが重要
   ↓
組織全体で単純で当たり前のことを徹底すること、
この積み重ねが簡単に真似のできない独自資源となる。


「多芸は無芸」
   ↓
何でもできる人は何も突出したものがないということ。
   ↓
何でもやろうと思わず
自分の得意分野を選択しそこに集中することが重要。



「十人十色」
   ↓
人は一人ひとり違うものである
   ↓
お客様によって求めるものは違う。
そのニーズの違いを踏まえた売り方をしなければならない。


「二兎を追うものは一兎をも得ず」
    ↓
2つのターゲットを狙うと結局両方に逃げられる
    ↓
顧客ターゲットは絞らなければうまくいかない。


この本では
全部で18個のことわざが紹介されています。

ことわざをうまく生かして
マーケティング理論をわかりやすく
説明しているこの本のアイデアは
すばらしいと思いました。


誰もが知っていることわざで説明することで
読んでいて理解がしやすいですし

誰かに説明するときにも
ことわざを使ったほうが
きっと伝わりやすいですね。


せっかくすばらしい本なのに
残念なのは
(新品がないのか)
アマゾンではマーケットプレイスでしか扱っておらず

現在の値段は定価780円(税抜)よりも
高くなっています。







MG盤購入

2011-06-13 16:04:54 | Weblog
先日
長年念願だった
MG盤をついに購入しました。

MGの開発者である
西先生にお願いしたら
じきじきにお電話をいただき
もう翌日には事務所に届きました。

用紙の注文方法も
教えていただき
早速手配をし、手元に届きました。


私が
最初にMGを知ったのが
2008年の秋くらい。

人事屋が書いた経理の本」を貸して
もらって読んだのがきっかけです。

2009年1月に
ワンデイのMGに
初めて参加しました。

2009年の8月には
MGシニアコース(インストラクターコース)
を受講し、インストの仮免許をもらいました。
(今は「仮」が外れて、正式な免許をもらっています)

その後は
(のんびりペースではありますが)
名古屋、滋賀、東京、伊勢と
各地のMGに参加しています。


初めてMGや戦略会計に
触れたときから思っていましたが

経営や会計を勉強するのに
MGほど効果のある教材はないと思います。

会計の勉強っていうと
一般的には「簿記」の
勉強から始めますが

簿記の勉強だと
仕訳をしてB/S、P/Lを
作ることができるようになれても
会計数字を
商売に役立てることはできません。


経営者にとって重要なのは
数字の組み立て方ではなくて

商売に役立つような数字の読み方です。


経営の勉強は
経営戦略とかマーケティングとか
ほかにもいろいろありますが

理論的には優れていても
すぐに商売にいかすには
至難の業です。


MGは昭和51年に
CDIというソニーの子会社で
開発された
会社経営をミニチュアにしたゲームです。

このゲームに
戦略会計STRACという
西先生が考えられた
経営に役立つ会計理論が
セットになっています。

MGでは自分が社長となって
会社経営をします。

1期ゲームをやった後で
自分で決算を組んで
B/S、P/L、C/Fを
作成し業績を把握します。

経営計画を立てて(PLAN)
 ↓
ゲームをして(DO)
 ↓
決算を組む(SEE)

の流れをゲームの中で
行うことで
どのような意思決定をすると
経営がうまくいくのか、あるいは失敗するのか
を身をもって体験できます。

ゲームなので
現実の経営よりも
単純化されていますが

単純化されているからこそ
大事なことが強調されて見えてきます。

MGは一度だけでなく
何度も繰り返しやることで
効果があるものであり

MGがいくら優れたものだと言っても
残念ながら一度やっただけで
会計や経営が完璧にわかる、なんてことにはなりません。

本当に役に立つ能力は
身につけるのに時間がかかりますが
その分一度自分のものにすると
長期にわたり効果が継続します。

MGはゲームとしても
本当に面白いので
何回もやるのは苦痛ということはなく
逆に何度もやればやるほど面白くなります。

MGは頭で理解するよりも
体で覚える、という感じで使うものです。


今後
スプラウトで
MG盤をどのように
いかしていくのかは
まだ考え中ですが

とりあえずは
社内で一度やってみたいと
思います。


損益分岐点比率

2011-06-07 08:34:37 | Weblog
財務分析の指標は様々あって
それぞれに(ある程度)意味のある
傾向の数字が出てきますが

企業にとって
もっとも重要な指標は何か?
と言われれば

私は
「損益分岐点比率」と答えます。


損益分岐点比率とは

損益分岐点売上/実際の売上 で求められます。
(損益分岐点売上=固定費÷(1-変動費率))

MGでは損益分岐点比率のことをF/M比率と言い
もっと簡単に
固定費F/粗利M で算出します。

こっちの方が全然わかりやすいので
以下MG式で説明します。

固定費Fが100で粗利Mも100の
損益トントンの場合の
損益分岐点比率は100%となります。

固定費Fが100で粗利Mが200の会社だと
損益分岐点比率は50%、

固定費Fが100で粗利Mが80の会社は
損益分岐点比率125%と

損益トントンの状態の100%を中心に
黒字の会社ほど割合は低くなり
赤字の会社ほど割合は大きくなります。

損益分岐点比率が125%の会社は
赤字にしないためには
粗利が現在の125%必要であるということです。

原価が一定だったとして
粗利を今よりも25%増やすためには
販売単価を25%増やすか
販売数量を25%増やす必要があります。
(もちろん両方を組み合わせてもいいですが)

販売数量を減らさずに
販売単価を上げるためには
研究開発投資等を行って
商品の付加価値を今よりも高くします。

販売単価が現状のままで
販売数量を上げるためには
広告宣伝等を行って販売力を高めます。

粗利が固定費よりも少ないから・・・
ということで
固定費を削ることも大事ではありますが
そればかりではうまくいきません。

粗利の獲得に貢献するような固定費は
どんどん使うべきだし
そうではない固定費は
逆にどんどん減らすべきです。


損益分岐点比率が50%の会社は
粗利が現在の50%になっても
赤字にならないということを意味します。

少し違った角度から見ると
損益分岐点比率が50%の会社は
1年のうちの上半期で固定費を粗利で
回収できてしまったことになり
下半期の粗利は全て利益になるわけです。

このような会社は余裕があるので
将来のためにどうするべきかを
前もって考えることができますね。


実際の企業の
損益分岐点比率
はどんなものか・・・

ということで
主要外食産業の
数字を見つけたので列挙してみます。

・王将フードサービス 73.5%
・サイゼリヤ 75.7%
・日本マクドナルド 80.9%
・あみやき亭 82.9%
・くら寿司 84.6%
・カッパ寿司 88.1%
・ワタミ 88.9%
・松屋 92.6%
・すき屋 92.9%
・吉野家 100.9%
・大庄 103.5%

MGでは
損益分岐点比率を
次のようにランク分けしています。

S   ~ 59% 超優良企業
A  60~ 79% 優良企業
B  80~ 89% 普通企業
C  90~ 99% 危険水域
D 100~199% 赤字企業
DD 200~  倒産路線


さきほどの主要外食産業を
このランクに当てはめてみると

王将、サイゼリアがA優良企業
マクドナルドからワタミまでがB普通企業
松屋、すき屋がC危険水域
吉野家、大庄がD赤字企業
となります。

牛丼屋さんが
3件入っていますが
2件がC危険水域
1件がD赤字企業
と結構厳しい状況ですね。

理由はわかりませんが
もしかすると
低価格競争のしすぎが
原因かもしれませんね。