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ふゆはふる、ふゆはふえる

2020年12月12日 | 教育ノート
 ちょっと難しそうな?本を読んでいる。意識的にゆっくり読み進めているが、なかなか入ってこない部分も多い。『三位一体モデル』(中沢新一)というその本は、章ごとの見開きに、格言というか箴言というか、偉人や著名な学者の文章が引用されている。第二章は折口信夫の「古代研究(民俗学編1)」からだった。

ふゆは触れることである。
ふゆとふるとは同じ事である。
ふゆは物を附加する事であるが、もとは物を分割する意味である。


 この三行目を読み、教職の時にこの時季になると何度か全校児童の前で「冬」の語の意味を話したことを思い出した。流れとしては、次のようなパターンだ。

◆「冬」と「寒」の漢字を出す
◆下部が似ていて、「ヽヽ」が「こおり」を表していることを話し、上の部分について説明する
◆「ふゆ」という語のでき方について話す(以下のように、★はパワーポイント画面もしくはフリップ)

ところで、★この「フユ」という言い方についてお話します
どうして「フユ」という言い方をするか、なんてふだんは考えないでしょうが
一つの言葉ができるにも、ながい時間がかかるのですよ。

「ふゆ」といういい方は、まず 
この★「ひえる」という言葉がもとになっているという話があります。
この★「ひえる」という言い方が、だんだんに「ひゆる」という言い方にかわってそして、この「ひゆる」がだんだんと「ふゆる」という言い方に変わって…★「ふゆ」となったということです。
それに似た言い方で「ふる」がありますが、この「ふる」がもとになったという話もあります。

実はもう一つ…「ふゆ」いう言い方は
この言葉をもとにしているという話もあります★「ふえる」
いろいろなものがふえていく、量や数がいっぱいになるということですね。
このふえるの「ふえ」が…★この「ふえる」が、だんだんと「ふゆる」という「ふゆ」に変化して、「ふゆる」となったということです。

どれが正しいかはわかりませんが、さっきの「ひえる」から変わったと考えるより、「ふえる」から変わったと考えたほうが、面白いなあと先生は思っています。言い方に変わってきたんだ、と考える人たちもいます。
「ふえる」という言葉を、自分に置き換えてみると、それは★「ふやす」ということですね。冬は春、夏、秋に比べて少し外で活動することは減るかもしれませんが、その分、校内でじっくりと取り組み、いろいろなことができる季節でもあります。
本をいっぱい読んでほしいし、漢字やことばを調べて知識もふやしてほしいと思います。また縄跳びの技をたくさんマスターすることもいいでしょう。
それから、友達といろいろな活動をすることを通して、協力する心もふやしてほしいと思います。


 と、まあかなりコジツケっぽいが、二学期のまとめに向かう子どもたちへの励ましとしては、ふさわしいと言っていいだろう。

 ところが大人としては、折口信夫の文章を読むと、少し考えざるを得ない。
 文章はこう続く。

ふるはまな(外来魂)を人体に附加する事で、
冬になると総てのものをきり替へるので、
魂にも、外から来る勢力ある魂を附加するのである。


 冬に「ふる」となれば、雪しか考えられない地域に住み続けている。
 それも「まな」となり得るかと問えば、その厳しさが与えてくれる「魂」はあるだろうと…前向きに考えたい。


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