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さらされなければ,力は…

2013年12月17日 | 雑記帳
 今朝のラジオ番組は、ちょっと驚いてしまった。今日のゲストはこう語った。「風邪が流行る季節に、手洗い・うがいは控えめに。すると子供には丈夫な免疫がつき、大人になったら丈夫な体になります。」ええっ、これは私達の通常の「保健指導」を覆す考えである。免疫学の権威、新潟大学の安保徹教授の発言だ。


 「風邪をひかない体づくり」がテーマだった。学校に限らず、普通に考えれば、まず「手洗い・うがいの励行」があり、その後に運動面・栄養面・安静面が語られるはずだし、自分も数えきれないほど繰り返してきた。教員であれば同様だという方が圧倒的だろう。それは何のためだったか問われるような考えである。


 医学上の専門的なことはさておく。妥当な手洗い、うがいの機会、頻度について明らかにしようという方向でもない。考えてみたいのは、この発言に見る「人間の力はいかにして身につけられるか」という論理である。つまり「さらされなければ、抵抗する力は備えられない」ということではないか。ここが基本だ。


 飛躍するが、生徒指導上の問題であっても、結局のところはそういう場にさらされるからこそ、解決のために自分が何をなすべきか考えられる。生きている以上トラブルはつきものだし、誰かに守られての回避ばかり続けたときに、それがどんな思考を生むかは明らかだ。そんな子育てを良しとする人はいないだろう。


 しかし、現実は手洗い・うがいの励行であり、罹ったらすぐに投薬治療である。そこに自分の免疫がつくられる余地があるのか。学校という場で基本的に「予防」姿勢の果たす力は大きい。しかし、あまりに徹底した問題発生回避や、迅速な問題処理は、教育として機能しているのかと問いかけてみなくてはいけない。


 そんなことは理解している、しかし…という現実に私達は生きている。いくら職員集団の合意がなっても、それが法規の範囲でさらに諸機関や地域社会、保護者の理解がなければ困難だ。それでも、多様な価値観が渦巻く現況、ポピュリズムに迎合するかのような施策の中で、最初の対応者がかける一言は大きいと思う。

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