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ギシギシと雪を踏みしめて

2020年01月26日 | 読書
 火曜の朝、久しぶりにギシギシと雪を踏みしめる音を鳴らしながら、職場へ歩いていく途中、「雪が降って、ほっとしたな。なんか気持ち悪くて…」と、除雪作業をしているご近所の方に声をかけられた。

 気持ち悪く感じる心がよくわかる。
 これだけ降雪が少ない年はめったにないし、なんとなく溜まり溜ってドカッとくるのではないかという不安がある。
 長年、この地で暮らしてきた人としてはごく自然かもしれない。

 もちろん、そのことを心配性というのは簡単だが、雪に限らず、昨今の自然災害頻発や被害の酷さを目にしていると、漠然とした畏れのような意識を抱いてしまうのだろう。

 ふと、連想が働く。
 人間はこのまま地球を牛耳るような姿勢で進んでいっていいのか。
 いわゆる環境問題を語るときに、根本にある一つの考えだと思う。
 所詮、私達人類が君臨している時期も、長いこの星からみれば、一瞬に過ぎないのだから。


 先日見た雑誌インタビューの記事を思い出した。
 原発絶対反対を掲げる『通販生活』に、田中俊一原子力規制委員会初代委員長が登場した。
 専門的な考察、判断についての是非はわからないまでも、彼の語ったこの潔さは心に残った。

Vol.184
 「千年先、二千年先のエネルギーの行く末を、今の人間が心配する必要はありません。100年たったら何が起こっているかわからないし、世の中もどうなっているか分からない。科学技術というのは当面100年ぐらい見通してもいいけれども、それ以上を考える必要はないというのが私の歴史観です。」

 一つの仕事に向き合い、突き詰めていったときに展望できる地点を、歴史観をもとに見通すこと。
 そういう心の中に、もしかしたら永遠が芽生えるかもしれない。

 雪を踏みしめて、ずいぶん遠いところに思いを馳せた。


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