すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

カラフルとネーミングと

2015年03月04日 | 読書
 【2015読了】26冊目 ★★★
 『カラフル』(森 絵都  文春文庫)

 途中から予想した結末通りになったが、面白かった。中学生程度でも十分わかる読みやすさで、自分の程度にあっているか。題名に表されるシンプルな主題も、実は重いけれど暗さを吹き飛ばす面もあるので、読後感がいい。「あそこでみんなといっしょに色まみれになって生きていこう」…色欲とは少々違うが、齢をとっても色があることは一つの大きな救いだ。

 
 阿川佐和子が解説を書いている。映画化されていて出演者の一人だったそうな。なるほど、様々なことに興味を示す母親というのは適役かもしれない。調べたらアニメ映画もありかなり有名な作品であることがわかった。脚色しやすい部分が多いのではないか。表現がくどくないので想像が広がるよさがある。色づけと同時に、タッチという面の巧みさがあるのだ。



 【2015読了】27冊目 ★★
 『すべてはネーミング』(岩永嘉弘  光文社新書)

 「名づけ」は、自分にとって興味深い分野?の一つである。商品等のコピーライティングも含めているが、それ以上に例えば市町村合併時の名前のつけ方、また人はなぜ名前にこだわるのか、とか整理しないままではあるが、関心をもって考えていることが多かった。言霊を持ちだすまでもなく、人は名前に反応するし、名前はつけた時点で存在の一部となる。


 著者は第一人者であるそうな。ネーミングとは「商品」が主流だから、いかに売れるかが、様々な視点から検討される。ある程度は予想したことが多いが、一つなるほど世相だなと感じたのは次の記述。「あ!あれたべよ」や「ごめんね」という食品を例にこう書いている。「店員とは口を利かない前提でネーミングされているんですね。」確かに店頭では言いづらい。

 
 過日書いた「品位ある社会」にも共通することがあるかもしれないと思ったのは、国家の「ブランド作り」ということだ。ネーミングによってイメージ化を図る最大級の規模の一つは国家だ。著者は書く。「理念という、物ならざるものに名付けるのが何よりも難しい」それを行うのがリーダーの大きな役割だろう。政治に関わるネーミングはアイデアより信念だ。

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