すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

冬至までランドク

2021年12月22日 | 読書
 木曜定休なのでなかなか入れなかった某チェーン店。
 たまたま今週は曜日がずれたので、本当に久しぶりにラーメンを味わえた。




『NHK国際放送が選んだ日本の名作』(朝井リョウ、他  双葉文庫)

 長編小説が読めなくなってきている証拠のような選書。しかし、これはいい作品ばかりだったなあ。8人の作家の短編小説が載っていて、底本の一覧を見ると、重松清と東直子の書いたものは読んでいるはず。少し既読感があっても、読ませる魅力のある話だった。「国際放送」の選択基準に興味が湧く。予想する一つに「日本人ならではの感覚」という項目はありそうだ。「清水課長の二重線」「鍋セット」「迷子/物件案内」それに「アンデスの声」あたりは、しみじみとその感覚をなぞることができるように思う。


『VOWでやんす!』(みうらじゅん  宝島社文庫)

 マイ「今さらみうらじゅん」シリーズだ。まさにサブカルの象徴のような一冊。本(というか表現)を貫く典型は、最初の「クワガタ男のできるまで。」だ。近所の道に酔っぱらって寝ていた男に施す数々のデコレーション。その様子をまた緻密に記録し、編集する。結局、本人(被害者もしくはモデル)は気づかないまま起きてタクシー乗車。このストーリーは実に濃くかつ楽しく読める。「傍から見ればクダラナイと思えることに全身全霊を尽くす」といったサブカルの本質(本当か、おいっ!)が、そこに見えるのである。


『孤独のすすめ』(五木寛之  中公新書ラクレ)

 何年かに一度浸りたくなる大作家の癒しコトバ。年齢や現状に抗うなと言われている気がする。「そもそも、迷っている状態そのものが、生きていることなのではないか」「衰えていく(略)自分の体と相談しながら工夫することを、ひとつの楽しみにしていく」…周囲の喧伝するいわば経済的な雑音を遮断し、自分をよく見つめよと説いている。それにしても、この新書で繰り返される「嫌老」という語が気にかかる。社会全体がそうした兆候を見せている。その流れが作り上げる明日を回避するためにも、個々の細やかな工夫が必要だ。


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